第35話「第四の刺客(前)」
「おやおや、皆さんどうかしましたか? そんな、憎むべき敵を見るような顔をして」
グレアムさんが、近づいてくる。その表情は、ちょうど影に隠れていて、ここからでは判別することができない。
「……、フラーモを返してもらおうか」
阿倍が、いつもよりも声のトーンを下げて言った。
その声は、普段聞いているものとは全くの別物のように聞こえた。
「安心してください、王女ならまだ殺してはいませんから。もっとも、本人としては素直に殺された方がいい状態になっているかもしれませんけどね?」
だがグレアムさんはそれに怯むことも無く、言葉を放った。
刹那
突如として空中に一つの鳥籠が現れた。
中に閉じ込められているのは、フラーモ。
「っ!?」
そして、その鳥籠は地面へと落下して行く。
反射的に空気を操作して、地面との衝突を避ける風音先輩。
「フラーモ!?」
あわててそれに駆け寄ると、中の様子が見えとれた。
そこには、最後に見たときに来ていた服のままのフラーモがたしかにいた。
しかし、その服は赤黒い何かがべっとりとこびりついており、瞳の焦点はここではないどこか別のところを見ているかのようだった。
それだけを見ると死んでいるように見えてもおかしくはないのだが、かすかに動いている胸が呼吸をし、生きていることを物語っている。
視線を少し動かす。すると、風音さんが軽くうなずいた。
それを見て俺は、なにをしようとしているのかを一瞬で悟り、行動に出る。
「……グレアムさん、一つだけ教えてください。フラーモに何をしたんですか?」
この状態は明らかに普通じゃない。あのフラーモに一体何があったのか。
なんとなく、時間稼ぎのためにそう訊いたのだが、グレアムさんは律義にも答えてくれた。
「何をしたって言われても、ただ単に目の前で家族を殺しただけですけど? あ、サフランも殺したんでしたっけ?」
と。
その瞬間、風音さんの魔法が発動した。
「その程度の攻撃では、この私には届きませんよ」
が、いとも簡単にグレアムさんはこれを回避する。
一直線上にしか範囲がない魔法のために、対象が移動してもそのまま突き進む。
そこに何があろうともお構いなく。
直後、全身をなにかが包み込むような感覚が包んだ。
ためしに身体を動かそうとしても、全く動く気配はない。
そう、風音さんの放った拘束魔法が、俺に命中したのである。
「これは好都合ですね」
そして、この好機を逃すわけも無く、グレアムさんの攻撃が俺に襲いかかる。
……俺の記憶にあるのは、ここまでだ。
その後に何が起こったのかは、全くわからない。
ただ一つ言えること。それは……。
どうも、このごろ文章が少々アレなマチャピンです。
前回戦闘といいましたが、その後いろいろあって今回のような形になりました。
その辺は、次回書くかどうかですがとりあえず今回はこれにて。
あーたーらしいーごーじがきたー、きぼーおのごーじーだ♪
ちょっと学校で色々あったので、それをもとに