第33話「第一の刺客」
一時間ほど掲載が遅れたことをこの場を借りてお詫び申し上げます。
目の前に現れたのは、氷でできた一つの槍だった。
それをつかみ取る。思ったほど冷たくはなく、むしろひんやりとした冷気が心地いいくらいだった。
それを支えにして立ち上る。不思議と、さきほどまで感じていた痛みが吹き飛んだかのように体が軽かった。
「ほう、まだ戦えるというわけか」
敵の男は動ける敵のほうが危険度は高いと踏んだのか、風音さんへの攻撃を一時中断して俺のほうを向いた。
「まあいい。その身体でどこまで戦えるか試してやろう。<鋼鉄装甲><加速魔法>」
複数の自己強化魔法をかけながら敵が急速に接近してくる。
「<鋼鉄拳舞>」
おそらく、さきほど風音さんに発動した技と同じ技であろう。同じ技を発動させてきたのは、その一撃で決める自信があるのか、それともそれしか使えないのか。
どちらにしろ、回避なり迎撃しないとまずいので、とりあえず槍を前に突き出す。
初めて扱うはずなのに、身体が自然と動く。
俺の呼びだした封装は、最適の軌跡を描き敵の元へと伸びてゆく。
だが、あと一歩で切っ先が敵に当たるといったところで、敵の身体が突然姿を消した。
さきほどまで敵がいたところを、槍の先端がむなしく通り過ぎる。
そのとき、背後から男の声が聞こえる。
「甘いよ、その程度の攻撃で『北方防衛隊』の副長であるこの俺が倒せるとでも? <鋼鉄装甲波>」
衝撃は、その直後にやってきた。
男の周りがドーム状に吹き飛ばされた。
その一撃で、さきほどの成実と同じく、壁に衝突してから地面に落下する。
しかし、なぜかあまり痛みは感じず、周りを見る余裕さえあった。
そこでふと、とある事実に築いた。
「なんだ、その程度か。立ち上るだけの体力はあるようだからもう少し楽しめるかと思っていたのだがな。まあいい。簡単に仕事が終わることはいいことだからな」
男はゆっくりとこちらに近づいてくる。
そのためか、まだ気づいていないようだった。
背後で復活した風音さんが自身に対して魔法を発動しようとしていることを……。
「草木をなびかす風の精霊よ。その力をここへ示せ。<フェアリーズ・バインド>」
風音さんの魔法が発動する。
視角からの一撃。無警戒だったその背中にそれは命中した。
男はあっけなくその一撃で地面に伏せることとなり、俺のもとにはわずかな余波が流れてくるだけだった。
「さてと、これ以上続けるか?」
立ち上り、グングニルを敵ののど元に近づけながら俺はそう男に言った。
しかし、暫く待っても返事は返ってこなかった。
「風音さん。こいつ返事しないんですけどどうします?」
とりあえず、場慣れしているであろう風音さんに指示を仰ぐ。
「それならたぶんあと1時間は意識を失ったままだからそのままにして置いてもいいと思うよ」
そして帰ってきたのはこの一言であった。
風音さん曰く、自身が編み出した束縛系の魔法らしい。それを先に言ってくれれば、こんな行動を足らずに済んだのに。
まあ、警戒することの重要さは今回の戦闘で十分理解したことだし、プラスに考えることとしよう。
「……で、この二人どうしましょう?」
俺はさっきの戦闘(と、厳密に言えばその前も含めて)攻撃を受けて倒れている二人に目を向けた。
「成実ちゃんは助けるとして、圭ちゃんは……」
流石の風音さんでも、この変態だけは見捨てたいと感じたようだった。
しかし、こんなんでも一応は役に立っていたので、二人に敬服系統の魔法をかけることとなった。
「あらかじめ言っておくけど私の場合は、実戦では無いよりはましって思える程度だから、過信はしないこと。本当は、桐峰先輩にやってもらうのが一番なんだけど、流石にこんなところにはいないだろうしそもそも彼女は……」
風音さんが何か言っているが、おそらくは七校内での話だろう。
「とりあえず、今はこの二人を回復させたほうがいいんじゃないですか?」
「え? ああ、ごめんね。ちょっといろいろ考えてたの。で、回復だったよね?」
そう言って風音さんは気絶している成実に手をかざした。
「<魔法回復>」
ほのかな緑色の光が発生し、成実の中へと溶けてゆく。それを数回繰り返したころ、成実は眼を覚ました。
「えっと、なにがどうなったの? 私は一体?」
突然こうできされたため、記憶があいまいになっているようだった。
「……そうだ、たしたお姉ちゃんに言われて……って、そう言えば今私ってこっちの姿何だった」
成実はそんな微笑ましいというか、むさくるしいといった感じの行動の後、結局元の姿に戻ることにしたらしい。
「さてと、アレをどうするかってことだ」
「気にしなくてもいいと思うよ?」
俺が倒れている阿倍の処分方法について聞くと、成実からそのような回答が返ってきた。
「まあ、俺はマイハ二―のそんな態度も嫌いじゃないんだけどね?」
と、いつのまに回復したのか阿倍が会話に参加してきた。
その後、再度気絶させられ、装備をはずしてから回復させたことはまた別のお話。
はい、テストのために全くないも書いてない状態から執筆したために遅れたと、言い訳を発動するマチャピンです。
それはさておき、今回のお話で名称だけ登場した桐峰先輩は今のところ出す予定はありません。こちらには、ね?
さて、本日はこの辺で筆を置かせていただきます。
では、最後はいつも通りへんなので
俺が誤字修正を終わらせるくるまで、絶対にここを動くんじゃねえぞ?
----とっとと、修正しろと皆さまの声が聞こえる気がします…………