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俺の望むもの  作者: マチャピン改三
第3章「命がけの救出作戦(ゲーム)」
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第29話「予見」

 目を開けると、そこはさっきまでの良くわからない空間でも埃っぽいあの部屋の中でもなかった。

 そこは、いたって平凡な街並みの一角だった。しかし空は赤黒くまた、焦げ臭い香りが辺りに充満している。

 地面は石畳のようになっているようだが、あちこちがひび割れ、所々隆起している。

目線をあげ、前を向くと向こうには大きな黒い影が見える。その影は空中に飛んでいて、辺りを旋回しているように見える。しかも、その数は一つではなく、ここから確認できるだけでも8つはある。

 さきほどから立て続けにこちらへ向かって走っている人々の顔には、皆恐怖が感じられた。

 まるで、未知の物から逃げているような、そんな感じのする顔だった。

 直後、熱い風が正面から吹いてきた。

 風速100メートルを超しているんじゃないか、そう感じてしまうほど強い風だった。

 事実、俺の周りにいた人々は皆例外なく吹き飛ばされ、辺りに転がる炭化物の一つとなった。

 俺だけがなぜか吹き飛ばされずに、その場所に立っていられた。

 地面の上で、焼けただれている死体の一つに近づく。

 あれだけの爆風を直撃したのだ、当然生きているはずがなく、肉の焼けるような音が響き、漂う臭いが一層強くなった。

「みんなは、みんなはどうした?」

 そう呟いてから、ふと気づいた。

 俺たちがあの追憶の館に行っている間にこうなったんだとしたら、他の3人はどうした?

 たしかに、フラーモ、サフランさん、グレアムさんはこれに巻き込まれたかもしれない。

 しかし、俺と一緒にいたはずの3人はどこに行ってしまったのだろうか?

 視線を横方向にずらす。

「っ!?」

 そこで俺は目を疑った。

 ここがあの裏通りだったと仮定するならば、そこには追憶の館が建っていたはずだ。しかし、今見るとそこにはさきほどまで見ていたのと同じく、建物と建物の間に隆起したところのある、石畳の道が続いているだけだった。

 そのとき、目前の建物が音を出して崩れ落ちる。

 まだ中に人が残っていたのか、かすかに叫び声もようなものが聞こえてきた気がした。

 しかし、怒号のように鳴り響く崩壊音によってかき消され、今となっては、本当にそれが誰かの叫びだったのか判別できなくなる。

 そんな現実から、目をそむけようとして後ろを向いた。

 そして気付いた。

 そこには二人ほど先客がいたことに。

 とはいっても、その二人とはアイリスと、リッカだった。

「おい、アイリス。ここはどこだよ」

 思わず俺は、そう叫んでいた。

しかし、肝心のアイリスは何も返事をしてこない。リッカも同様だった。

 不審に感じて、二人の正面に回ってみる。

ふたりとも、視線はどこか遠くを見ているようだった。まるで、その場に俺など初めから存在しないかのように。

 気になって、俺は視線をそちらに向けた。

 そこには、真っ黒に染まった6つの人影。その一つ一つが、少女のような姿をしている。「これは一体」

「これはいつか訪れるであろう避けられぬ未来よ。たとえあなたが『七神セブンの(・)宝具アークス』をすべて手にしたとしてもね」

 いつからそこにいたのだろうか?

 追憶の館にいたその人が、俺の漏らしたつぶやきに反応した。

「どういう意味ですか」

 一応聞いておくことにする。

「そのままの意味よ。やがてこの世界が滅びる。ただそれだけのこと。言っておくけど、これに関する質問は今は受け付けないわよ。いつかまた、教えてあげるわ」

 そう言って、その人は光に包まれた。

 完全消える間もなく、俺の意識はブラックアウトした。


どーもー、.5を公開するとたいてい翌日に更新するマチャピンです。

さてと、なんか今回はダークな雰囲気になっているような気もしないでもないですが、あくまでもアレですから。えっと、ほらアレ。アレですよ、アレアレ。……って、あれ? アレってなんだっけ?

そんなわけで、いつもの謎挨拶を。

――――考えるんじゃない、誤字るんだ

                  ――――毎度のごとく、人類には理解できなくなりました…………

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