第28.5話「けーやく、ふたたび」
体を包んでいた光が消え、目を開くと、そこは何もない空間だった。
天と地の境があいまいで、自分がどこに立っているのかも定かではない。
辺りを見渡しても、果てしなく広がる白一色で覆われている。
そしてそんな空間に浮かぶは、三つの人影。
一人目は俺、二人目はアイリス、そして三人目は見たことのない少女だった。
「久しぶりね、アイリス。最後に遭ったのっていつだったっけ?」
「確か、200年前だったはず。……というか、我がこっちに来たのは200年ぶりにだからそれくらい気づくだろうに」
アイリスと、少女のそんな会話が聞こえる。
「えっと、つかぬことをお伺いいたしますがどちらさまで?」
とりあえず、アイリスの関係者っぽいが一応聞いとくのが筋だろう。
あちらもこちらの意図に気付いたのか、軽くうなずいた。
「あ、自己紹介がまだでしたね。申し遅れました私リッカと申します。以後お見知りおきを、新たなる主よ」
へ? この人今なんと?
「まあ、リッカとは古い付き合いでな。昔から8人でよく過ごしていたんだよ」
アイリスが俺の心を読んだかの如く補足説明をしてくれる。
そこでふと、違和感を覚えた。
「8人?」
どういうことだ? アイリスとその少女――リッカ――とで二人だろうに。
「ああ、我と『七神の(・)宝具』。ある意味、それで一つの封装なのだよ」
「『七神の(・)宝具』?」
「そうだ。そして、今までたった一人しかすべてを手にすることができなかった究極の封装。来るべき時まで、そう思ってくれればいい」
「……それって、どんなやつだったんだよ」
「『月明かり(ムーンライト)の(・)魔女』って人物だ」
「その人って……」
「異世界より召喚された七人の勇者の一人で、生き残り、伝承に残った四人の内の一人。主に光属性の魔法を中心とした攻撃を得意とし、その美しくも儚げな姿からこの通り名がついたとされている」
「まあ、いずれわかるさ」
アイリスがそう言うと同時に、周りの世界が消滅した。
はい、久々感のある.5シリーズをお届けしました、マチャピンです。
今回も次話に書こうとして結果的に短くなってしまったのでこのまま出します。
そして、いつも通りにいくと近々29話を公開します。
最後に、恒例のご挨拶を。
――――帰ってきたら、お兄ちゃんが沢山誤字ってあげるからね。
――――最近意味が通じなくなってきた気が……