第23話「Other Side2:Secret 」
「これでいいんだろ」
狭い部屋だ。5歩程度あるいただけで端に辿りついてしまうような部屋。さらにその部屋の中央に大きな机が配置されているためかさらに狭くなっている。
そんな部屋の中、二つの人影。
そのうちの一方、20代後半から30代半ばといった感じの男がもう一方の椅子に腰かける40そこらの男に話しかけた。
「ああ、問題はない。流石はルーキフェル義勇団といったところだな」
初老というにしてはまだいささか早い気もするが十分な貫禄に満ち溢れた男はそのルーキフェル義勇団の(男の発言からの推測にすぎないが)団長を賞賛した。
「止してくれ。そもそもその名称はそちらが依頼しらときに提示した名だろ。依頼は終わった。ちゃんとした名で呼んでくれ」
団長が苦笑交じりに訂正を求める。男もまた、いつものように応じた。
「すまないな、確か…………血塗られた騎士団だったな」
男は少し考えて、ようやく団の名称を思い出したようだった。
「それは、そっちの提示した名の一つだ」
だが、思い出した名は別のもののようだ。
「まあいい。あんたの顔を見るのも今日で最後だ。最後ぐらいはちゃんと団の名前を言って欲しいものだったが……」
「そっちこと、今日ぐらいはその口調を改めてほしかったな」
「ちがいねえ」
そう言って二人は、声を出して笑った。
ひとしきり笑った後、団長は部屋を出ようとした。
「忘れものだ」
したところで、男に呼び止められた。
なんだろう、そう思い振り向こうとしたところで、背中に違和感を覚えた。それが背後から刺されたものだと気づくのにたっぷり3秒は要した。
視界が揺らぎ、団長は正面に倒れる。そのとき顔面をかたい床にぶつけたがそれを気にする余裕は団長にはなかった。新たに迫るナイフが、彼の首筋に当てられたからだ。
「……何をする」
その声には、困惑の色が浮かんでいた。いや、困惑しかなかった。
「言ったはずだ。邪魔する奴もろとも彼女を殺せと」
そういうと男は、足元に横たわる団長を蹴った。その一撃で、団長は気を失ったようだ。さきほどまで引死に抵抗しようとしていたのがまるで嘘のようにおとなしくなった。
「まあいいでしょう。そうですね、時間は十日後。王都にある処刑場を使うとしましょう。みなさん、出来る限り広範囲にこのことを伝えてください」
男の魔針には、誰もいないはずだ。それなのに男はあたかも誰かいるように話した。
「これはゲームです。時間内にゴールにたどり着ければ、あなたの勝ち。それ以外ならわたしの勝ちです。景品は、あなたの家族、すなわちあなた以外の王家の者全員です。対して掛け金はあなたの命。それでも参加しますよね。フラーモ王女?」
――――――――――――――――――次回予告――――――――――――――――――
「さあ、はじまりました。俺の望むもの第二回次回予告。本日のお相手は、友紀ちゃんファンクラブ会員番号1桁にして裏切り者との悪名高いこの、阿部圭一と」
「同じく597番。友紀ちゃんの実の妹古泉成実が」
「「お送りします」」
「で、前回の次回予告のとき結局何も予告できてなかったじゃないですか」
「確かにね」
「あの後作者にたっぷりと説教されて」
「ああ~、確かにあれはつらかったわ。『限られた文字数の中で次の話を紹介するのがお前たちの仕事だろ』って」
「そうそう、そういうんだったら、もうちょっとだけでいいから文字数増やしてほしいよね」
「激しく同意する。いや、友紀ちゃんにいたっては多く言葉を飾る必要はない。あの容姿はまるd……ぐふっ」
「ほら、また時間がない。次回第3章「命がけの救出作戦」お楽しみに」
第2章完結しました
前に22、23が前後編と言っていましたが、個人的に無駄と思われる部分を可能な限り削ぎ落したのが先の22.5話なのでこの話とは一切とは言いきれませんが関係はありません。
この章では、前章では出せなかった主要登場人物のフラーモを出すことができました。
なおこの話をもちまして、受験が終わるまでの約3ヶ月の間更新はしません。ですが、何回か短編をあげるかもしれないのでその都度活動報告にてお知らせします。
次回の誤字は12月25日に公開します。お見逃しなく。
……いい加減ネタがなくなってきた