第22.5話「襲撃と過去(2)」
「……『邪神殺し(ゴッド・キラー)』。本名、如月シン。わたしの、お父さん」
は? 風音さん今なんて言いました?
「これは意外だな。行方不明になったとされていた『邪神殺し(ゴッド・キラー)』が異世界に行っていたとは。ということは他にも『月明かりの魔女』や『白銀の癒し手』なんかもそっちに行ってるのか?」
「ええ、全員いますとも。四人全員」
「そうか」
襲撃者は少し頷いた。頷いて言った。
「よし、お前ら。簡単なお仕事だ、こいつらを無力化しろ」
と。
「危ない」
誰かの声が聞こえた気がした。
直後、衝撃が俺たちに襲いかかった。
「がはっ」
口から、空気他いろいろなものがこぼれる。とっさにアイリスが俺を守るために障壁を張ってくれなかったら正直危なかった。グッジョブだアイリス。
辺りを見渡してみる。阿倍や風音さんは俺と同じくガードしきれたみたいだ。しかし、成実はガードし損ねたのか、数十メートルほど後方に吹き飛ばされていた。ここからだと詳しくは分からないが、おそらくは死んでいない。そう思いたい。
成実の仇を討つべく襲撃者に特攻を仕掛けようとしたとき、襲撃者の後ろにいる男が大きくその剣を振るところが見えた。
おそらく、第二射。さきほどの攻撃とは違うだろうが、とにかく攻撃はくらわないようにしないと。
俺は、アイリスに頼み、前方に障壁を張ってもらった。
これで第二射は防げる。そのとき、
――チリーン――
鈴のような物の鳴る音が聞こえた。
直後、アイリスの張った障壁が消えた。
間に合わない。そう思った。しかし、何も攻撃は来なかった。
ほんのちょっと、安堵した瞬間、こちらに向かって、何かがとんできた。
それは阿倍のような形をしたもので、阿倍のような声を発していた。ともかく、誰かに投げ飛ばされたであろう阿倍が、地面に対して平行に飛んでくる。
迎撃する時間はなかった。阿倍の頭部が俺の腹部に突き刺さり二人とも地面に倒れる
痛みに苦しみ、意識を失いかけながらも、何とか立ち上がろうとする。
しかし実際に動くのは、せいぜい指一本程度。
風音さんはまだ戦ってるみたいだが、多勢に無勢。時期にやられるだろう。
そう思うと、なんだか無性に悲しくなってくる。
こんなところで死ぬのか。死にたくない。と。
しかし、思ったところで何も起こらない。それが現実。
風音さんの体が吹き飛ばされる。
「それでは、これをいただいていこう」
襲撃者が、荷物に近づいて行くのが見える。
そこで俺は、意識を失った。
ちょっと友紀ちゃんたち、弱くしすぎたかな?
でもそうしないと、物語が進まんのです。
さて、次回で、二章は終了します。ただ、終了しても阿部のときみたいにather seidを投稿するつもりではありますが。
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