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俺の望むもの  作者: マチャピン改三
第2章「First Mission」
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第22話「襲撃と過去」

 翌日――昨日カトラエルさんのもとに行って(若干の苦笑いを浮かべながらも)もう一泊させてもらい――昨日と同じ時間、同じ場所に向かった。

 昨日と違ったことは、グレアムさんが一人できたことと、あちらの方が早かったということだけだ。

 グレアムさんは俺たちを見つけると立ち上ってこちらに近寄ってきた。

「グレアムさん、おはようございます。今日からしばらくの間よろしくお願いしますよ」

 グレアムさんが近くに来たところで阿倍が挨拶をした。

「こちらこそ、よろしくお願いします。それではいきましょうか」

 それにグレアムさんが応じる。その後、軽い朝食を済ませ俺たちは出発した。


 出発してから二日間は、とくに何事もなく過ぎていき無事、最初の目的地であるトーラグに到着した。

 トーラグは、一見すると特にとりえのない農村だが実はアッシュフォード国内におけるバラコウモの実の生産率が四割を占めているらしい。らしいというのは、グレアムさんからの情報であるからである。

 俺たちはこのトーラグで一夜を過ごし、翌朝出発した。

 そして現在に至る。


 太陽の光が東に傾きかけてきたころ、俺たちは昼食をとるために荷馬車をとめていた。

「そういえばこのあたりでしたね、盗賊とすれ違ったのは」

 準備の最中、グレアムさんが干肉を切り分けながら言った。

「そうですか。では、食事の後にでも、詳しく状況を説明していただけませんか」

「もちろんですとも。われわれ商人は契約は裏切りませんから」

 そして二人はお互いの手を握り合った。……なんでこの二人はいつもこうなのだろうか。

 昼食後、俺たちはグレアムさんの記憶を頼りにその時の出来事を詳細に説明してもらった。

「これでだいたいですね。もっとも、この情報がなにかの役にたつなんてことはないと思いますが……」

 およそ二時間後、グレアムさんの説明は終了した。

「ではここからヴェイルドまでは一日あればつきますが半端な時間なので今日はここで休みますか」

 俺たちは、グレアムさんからの提案に応じようとした。

 そのとき、

「おいお前ら、積荷を寄こすかくたばるか、どっちか選べ」

 それは突然起こった。俺たちの横をかすめるようにして数多もの炎が飛んでゆく。そのうちの一つが大きくそれて、森の中へと消えていった。

 刹那、辺りに焦げ臭いにおいとともに温かい風が吹き抜けて行った。

「もう一度言う、荷物を寄こせば命までは盗らねえ。それとも、ここで永遠に眠るか?」

 襲撃者は笑う。笑いながら近寄ってくる。

「グレアムさん、一ついいですか」

 俺は、隣で腰を抜かしているグレアムさんに訊いた。

「この襲撃者たちと、交戦してかまいませんか?」

 返事はなかった。ただ、グレアムさんはわずかにうなずいた。

「おあいにくさま。この商品たちを待っている人たちがいるんでね。お前如きにこの商品はやらん」

 このときの俺には、少しの余裕があった。なんてったて、相手は一人。対してこちらは四人。たとえ相手がどれほど強くても数で押せば何とかなる。

「ふ、行ってくれるじゃねえか、嬢ちゃん。だがな一つ訂正だ」

襲撃者はさきほどから変わらずに笑っている。それは追いつめられたもの特有の笑い方ではなく、追いつめる方の、快楽から来る笑みのようだった。

なんだ、この嫌な予感。 

襲撃者は言う。

「今嬢ちゃんは『お前』といった。周りをよく見てみな。『お前たち』って言わないとこいつらに失礼だぜ」

 そこで俺たちは初めて気付いた。俺たちの周囲二〇メートルといったところを取り囲むようにしておよそ三〇人ほどが経っていた。

 全員がたまたまここに居合わせたといった風ではなく、明らかに悪意をまとった己の得物を携えていた。

「さあ、美しいお嬢さん方。そして、みすぼらしい男ども。この度は我がルーキフェル義勇団のパーティにようこそ。もっとも、義勇団を名乗っちゃいるが、やってることは専ら盗賊だけどな」

 そこで襲撃者は一礼した。

「いい響きだよな、ルーキフェルって。それとも、ルシフェルといった方がわかりやすいか」

「ルシフェル? どこかで聞いた気が?」

 成実がぽつりとつぶやく。

 ルシフェル、たしか……。

「堕天使長の名だ。どっかの世界の」

 そうだ、堕天使長だ。よく漫画とかゲームに使われてるからきいたことがある。

「何故お前たちがその名を?」

 阿倍がきく。

「そうか、お前たちはあの世界から来たのか。じゃあ説明しよう。我が義勇団は二百年もの歴史を持つ。その間に、何回人が召喚されてきたと思う?」

「答えたら、なんかあんのか?」

 つい聞き返してしまった。

「そうだな、今回ばかりは見逃してやるよ」

 相変わらず、襲撃者の笑みは崩れない。

「答えるまでもないし、見逃される必要もない」

 こちらのことを見下した態度が気に食わない。こうなったら徹底的につぶしてやる。

「そうか、それは残念だ。ちなみに答えは、今回を数えないとするとたったの四人。もう一つおまけで言うと、そのうちの一人がこの義勇団の結成にかかわったんだよ。名前を出せばわかるか? 『邪神殺し(ゴッド・キラー)』て男だよ」

「『邪神殺し(ゴッド・キラー)』っですって」

 フラーモの声が動揺しているのかわずかに裏返っている。

「なんだ? その『邪神殺し(ゴッド・キラー)』ってやつは?」

 俺は隣にいるフラーモにきいた。

 だが、答えは意外なところから来た。

「……『邪神殺し(ゴッド・キラー)』。本名、如月シン。私の、お父さん」


ほんとは21話で書きたかった戦闘シーン。

しかし今回もほぼかけてない。

さて、誤字脱字募集中!!

                         ……これはなんか違うな。

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