第18.5話「連絡」
「さてと、これからどうする」
俺は隣に立っている成実に向かって、そう呟いた。
目の前には、数日前に見た――といってもそれは、異世界にいて時間であって実際には一日どころかまだ8時間ほどしかたっていないのだが――阿倍の部屋。
「んー、どうするって言われても、やることなんてとくに何もないよ」
「ま、そりゃそうだよな。やることといっても母さんに『今日遅くなる』って伝えるぐらいだし」
「一応今日は泊まるかもって付け足しといたほうがいいんじゃない」
床に置かれた座布団に座りながら成実は言う。どうやら特にやることがないらしい。
「じゃあ、今日は遅くなるし、下手したら泊まってくるって言えばいいんだな」
「うん」
唯一やることができた。正方形のテーブルの成実の右隣りに腰をおろし、普段使用しているウエストポーチから携帯を取り出す。
「たびたび思うんだが、母さんに対してこういう連絡って普段全くしないよな」
そう言いながらも、俺は発信履歴から母さんに電話をかける。その時ふと見えた発信日時が、半年以上前だった。
1回。2回。……7回。8回。
コール音が鳴り続ける。しかし、母さんはいつまでたっても出ない。
仕方がないので、俺は電話を切った。そして俺は、母さんにメールを打った。
『今日は帰りが遅くなる。もし足したら止まるかもしれないから、そうなったときはまた連絡する』
と。
それから数分たっても返信は一向に来る気配がなかった。どうせまた酔って寝てるんだろう。
母さんは酔って寝てると大抵のことでは起きないので、返信はあきらめることにする。どうせ、わかったとかしか打ってこないだろうから。
「成実、準備はできてるか?」
座った姿勢のまま、こっちを見ている成実に問う。
「準備も何も、何もすることなかったから、何も準備なんてないよ」
少々の苦笑いが混ざりながらも、なるにが返事する。
「んじゃ、行きますか」
俺と成実は再び異世界へと旅立った.
今日は設定上成実の誕生日です。
なので、この時間に投稿しました。
おそらく、1月10日にも似たようなことするかも……