第17.5話「宿泊地」
そこで俺たちは、さっそく襲撃者の捜索を開始した。
……と、言いたいところだが、俺たちは襲撃現場からさらに約半日ほど進んだところにあるここレクラドム高地ではそこそこ大きな町でしばらく休むことにした。
ここでいったん現実に戻るためだ。
フラーモはここに残る以外の選択肢はないので、俺と成実、阿倍と風音さんの二組に分けて、片方が現実に戻りもう片方がここに残ることとなった。滞在時間は、それぞれ二時間と決まった。
「悪いな、じゃあ俺たちが先に戻らせてもらうぜ」
「ああ、気を付けてな」
「むしろ二人が気をつけないといけないんじゃないの?」
「大丈夫大丈夫、わたしとお姉ちゃんがいるから安心して行ってきて」
「わかった、時間に余裕があったら予定より早く戻ってくるから」
「りょーかい、じゃ、いってらー」
「じゃあな」「またあとで」
瞬間、こちらに軽く手をあげていた阿倍と、軽く降っていた風音さんが光に包まれそして、消えた。
へえ、時限跳躍のときはあんなふうに消滅するのか。初めて知った。
ふと、隣を見てみる。事前に俺たちがこの世界の人間ではないと教えていなのにもかかわらず、フラーモの表情は驚きが浮かんでいる。浮かんでいるのだが、
「転移魔法とはちがう!? そもそもあの術式は行きたい場所に自由にいけるようなものではなく、あくまで一度おとずれたところ、しかも、転移中継となるポイントと転移対象となるポイントに専用のマーキングをほどこさないといけないし……」
それはどちらかというと、未知の魔法に対しての衝撃というか、いや、衝撃は衝撃なのだろうが、何というかまるで太古の遺跡を見つけた考古学者のように、遍く好奇心や探究心と戯れているようだった。
「……いや、まって。広場とかにある共用のポータルを使えば今の転移も……」
「あのー、フラーモさん。そろそろ宿屋の方に」
「え? ……あ、すいません。つい熱中してしまって……」
「大丈夫だよ。だってまだ今日の宿決まってないから」
「そうなんですか。確かこのあたりはカトラエルさんが副業でやってる宿があったはずだから、そこに行きませんか?」
「わかった。だが、今は少し日が落ち始めているぞ。いまからいって、部屋が空いているのか?」
「大丈夫だと思いますよ。カトラエルさんの宿は、はじめてくる客も泊まれるので、普通の部屋ならもう埋まってるかも知れませんが、常連さんたちのための部屋なら空いていると思いますので」
「なら、今日はそこにとまるか。成実もそれでいいよな」
「お姉ちゃんに任せるよ」
成実も特に異論が無いようなので、俺たち三人はそのカトラエルさんの開く宿へ向かった。
またしても間話。
たぶん明日の夜にもう一度更新すると思います。
なんかもうめんどくさくなてきたので、最後の挨拶は少し省略させていただきます
誤字脱字などございましたら、ご報告お願いしま(以下略)




