第10話「Other Side1.阿倍圭一」
ここは、どこだろう。
見慣れない景色がそこには広がっていた。
俺の横に生えている、そよ風になびいている色とりどりの花は、見たことのない種類の花だった。
俺の視界を遮っている木になる果実は知らない実だった。
その木にとまる鳥は、青い体色をしていた。
起き上がり、辺りを見回すと、四方が山に囲まれていた。
・・・・・・そして、魔力を感じる。
もう一度言う、ここはどこだろう。
けさ、教室で由紀と会話していたところは覚えている。
その後、世界が変になって、それで・・・・・・
友紀はどこだ。
辺りをもう一度見渡してみると、つい先ほどまで一緒にいた友紀の姿がどこにもなかった。
そんじゃ、友紀を探しますかね。
そう決意して歩きだしたとき、ふと、自分の右手の指輪が光っているのに気がついた。
むかし、父に聞いたことがある。
「封装は、神装と違い周りの魔力を吸収することもある」、と。
へー、これが封装なんだ。なんか、微量な魔力しか感じないと思ってたけど、今の魔力は今朝とは比べ物にならないくらい増えている。
ということは、中の精霊の力が強まってる証拠だ。
ならばここで、この精霊に1つ挨拶でもしますか。
「よう、精霊さん。早速だがあんた、何属性だ。」
――――お前さん、わしが地属性と気付いたのではないのか?
「そうかそうか。気づいてたのか。なら話が早い。この世界の属性は、元の世界と変わらないのか?」
俺の世界には、4つの下位属性があり、火>風>地>水>火、といった風になっている。
上位2属性についていえば、光>闇>光、となっている。
――――ああ、基本的にはそれでいいが、この世界はちと違う。
「例えば何だ」
――――地属性に強くなった代わりに火属性に弱くなった水属性の変属性、氷属性とかが有名だな。あと上位属性も時属性とか幻属性とかが存在しとるが光や闇以外は有利不利がないな。
「なるほど、ありがとな。しかし、契約してないのにそこまでしてくれて、すまないな」
――――ああ、そのことか。実はなわしら、プレイヤーのところにわたった時点で、仮契約を交わしたことになっているのだ。
「それでか。契約自体は?」
――――お前さん、地属性だろ。わしとも相性もいいし、契約しといたほうだいいと思うぞ。
「はじめからそのつもりだが」
――――いいね、お前さん。わしの名前はメサビュートとでもしとくか。
「まじかよ。精霊がこれとか。まあいい、俺は、阿倍圭一だ」
すると、今まで以上の魔力の流れを感じた。
体の中に、メサビュートの魔力が流れ込んでくる。温かいを通り越して暑苦しい魔力が。
――――契約成立だな。
「だな」
これだけ。たったこれだけで契約は終わる。
――――お前さん、そこになってる果実をくれんか。魔力を消費しっちまってな、
「自分でとれよ。それくらい」
精霊は、自分自身の魔力で実体化できる。
ただそのためには、
――――契約した時に、そっちに流したばかりだろ。実体化するのにも魔力使うんだ。そのくらい、わかってるだろ。
・・・・・・魔力を食うのだ。
仕方ないので、やたらと表面かつるつるしている幹によじ登り、何個か取ってやった。
メサビュートが実体化し、その実を食べようとしたところで、もう一度周りの世界が変わった。
そこには、小学生から高校生ぐらいの少年少女が100人近い存在していた。
そして、少し高くなった所から一人の少女がたって説明している。いや、その少女は、浮いていた。
「これより~、こんかいのげ~むの~せつめいを~はじめま~す。わたしが~こんかいのげ~むのがいよ~を~せつめ~させていただきま~す」
その少女は、こういうといろいろな説明を始めた。
簡潔にまとめると
この世界には5つの国があり、ここはそのうち1つ中央王国『光と正義の国アッシュフォード』の『原初の丘』っていうところ。他に東西南北1つずつ国がある。
5つの国々がそれぞれの事情を抱えているらしく、異世界から勇者をそれぞれの国に100人ずつ召喚し、4人ずつ25組のパーティを結成させた。
この世界には常に居続けるわけじゃない
ここが父の言っていた国か。いや、あの時はまだ国ではなく、自治州だったのか。
そんなことはどうでもいい。ここで父が・・・・・・。
この時点で、俺は説明を聞く気をなくした。ただ、どこのパーティの所属なのかは気になったので封装から、ギルドカードを取り出した。
・・・・・・うん。封装みて気付いたけど、メサビュートの行方は考えないようにしよう。契約者から離れることないと思うし。
カードを確認すると、そこには、予想していたいやなことが書いてあった。ほんとに忌々しいな。所属までここか。他のメンバーは物分かりのいいやつで、この国滅ぼすの手伝ってくれねえかな。
そう考えながら歩いていると見知った人物2人が、知らない人物と一緒に話しているのが見えた。
友紀はわかる。一緒にいたから。
で、なんで風音さんがここにいるの?
その疑問を聞こうと、その3人組に近寄った。
そしたら、「は~い。それでは~みなさ~ん、きょ~のかつど~はしゅ~りょ~で~す。あしたからは~いつでも~おこし~くださ~い」
そんな少女の声を聞き、俺は、
元の教室にいた。
――――――――――――――――――次回予告――――――――――――――――――
「えっと、これマイク入ってます?・・・・・・・はい、わかりました。さあ、はじまりました。俺の望むもの第一回次回予告。本日のお相手は、友紀ちゃんファンクラブ会員番号1桁にして裏切り者との悪名高いこの、阿部圭一と」
「同じく597番。友紀ちゃんの実の妹古泉成実が」
「「お送りします」」
「・・・・・・で、次回予告って何をすればいいんだ?」
「さあ、次の回でのお姉ちゃんの活躍を語ればいいんじゃない?」
「なるほど、次の回での友k」
「うそ、もうこんな時間。字数の都合でそろそろ終わりだって」
「なに、それじゃすべて語れないではないか。だがしかし、それでも語るのが友紀ちゃんを愛すr・・・・・・ぐふっ」
「ああ、もう。次回第2章「First Mission」お楽しみに」
第1章完結しました。
一応、この分は前の話に書こうかと思ったんですけど、一応この話の含むのかな?ということになったので、この回に書くこととしました。
この章は、所要人物をほぼ全員出すことを考えて書いた章です。
それと、いろいろな疑問を作りための章です。
阿部君何者?とか。
諸事情により次話が投稿できない可能性がでてきました。なにぶん受験生なので勉強しなければ。ここ最近成績下がってるからな。
最後に、誤字も報告などありましたら、報告お願いします