プロローグ「近い未来のお話」
古い建物の内部。
暗く狭い廊下。
ロウソクの炎が薄く闇を照らしている。
ゆらゆらと揺れるそれ。
少しずつ減ってゆく蝋。
それは、ここに暮らす者の命のともしび。
漆黒の闇の中。
四つの人影。
決意のもと、一つの目的を果たすため彼らは歩く。
「しっかし、ほんとにそんなこと下らねえことのために俺たちを召喚したのかよ」
透き通った白銀の髪の少女が言った。
白を基調とした衣服に身を包み、その右手には、髪と同じく白銀の腕輪がろうそくの明かりを反射し輝いている。
彼女は、少し前を進む少年に話しかけた。
「お前の言いたいこともわかる。だが、その辺の脳みその腐った大人たちは自分の欲望にしか興味がないんだよ。残念ながら、そういう現実なんだ、この世界は。だが安心しろ、俺は俺の彼女の命は、俺の命に代えてでも守ってみせる」
その少年はまるで、ゲームのグラフィックで見るような典型的な勇者風の恰好でそう答えた。
剣を握り歩いていく様は、さながら魔王との決戦へと向かうように見えなくもない。
「確かに、そうなんだよな。ん?今俺のこと彼女って言ったのか?誰がお前の彼女だ。誰が!」
「誰もお前のことだとは、一言も言っていないんだけどな。それとも、ついに俺のこと彼氏だと認めてくれたのか?」
「ち、違う。俺はそんなこと一度も・・・・・・思ってなんか・・・・・・ない・・・・・・はず」
「そんなに顔を赤くしてたら説得力ないぞ。ま、そんなに恥ずかしがるなって。そういう所もかわいいんだがな」
「っ!?」
そんなやや緊張感に欠ける会話をしていると、前方から別の声がかかる。声の主は汚れのない白のブラウスに、青と白のチェックのスカートという、制服姿の少女。
「・・・・・・二人とも。夫婦漫才ならよそでやって。ここは仮にも敵地だよ。気を抜いたら死ぬかもしれないんだよ。わかってる?ちゃんと考えて行動してね」
声には非難の色がこもっている。
「すみませんでした」
「うちのハニーがすいません」
「誰がハ二―だ。誰が」
「・・・・・・だから、それをやめてって言っているのがわからないのかな?」
制服姿の少女は振り向き、近距離から軽く風を起こした。その一撃で、勇者風の少年は壁際まで吹き飛んで行き、そこで止まった。
彼女は、今の風で乱れた髪を直しながら、白銀の少女に声をかけた。
「とりあえず、変態は気絶させといたよ。あと、その装備早く外した方がいいと思うよ」
「そうですね」
「この装備、外すから手伝って」
白銀の少女はここまで会話に参加していなかった少年に声をかける。その少年の格好は動きやすさを重視した黒いジャージ。その首にかかるチョーカーには何もついていない。
「はいはい、わかったよ。姉貴に逆らうと・・・・・・いえ、なんでもありません」
少年はそういうと、両手に握っていた一対の剣の内、右手に持っている剣をもう一方に打ち付けた。
その一見意味のない行動によって、二本の剣は一つのコインになった。
コインを首筋のチョーカーにあてると、手品のようにすり抜け、普通に戻った。
少年が、気絶しているもう一人の少年に近づいたその時、先ほどまで誰もいなかった空間から突如男が現れた。
「いいけげんにしてくれませんか?こちらは忙しいのですよ。こんなところで暴れてもらっては困ります
初めから交渉する気がないのか、そういうと男はいきなり少年に斬りかかろうとした。
それに対して白銀の少女は一言、
「さぁ、お仕事と行きますか。<加速魔法>っ!」
そう言って謎の男に殴りかかった。
もうひとつのプロローグ。
ネタバレの恐れがありながらも、とりあえず投稿。
白銀の少女=友紀で構いません。
他の人の内2人は、たぶん皆さん気づいてるかと思います。
最初から隠す気ないですからw
後の一人ーー黒髪の少女は、まだ出していないキャラなので今後にご期待を。
たぶん後2、3をほど後には出てきます
最後にドジ脱字などございましたら、ご連絡いただけると幸いです。
16/8/29 3:35修正