第1話ー遣(テイナー)
この街には、
夜に歩かない方がいい場所がありますよね。
もしあなたがそこを歩いた時
雪が降ってきたら.....
日常のどこか隣にあるあの世界を
みなさんも想像しながら読んでいただけたら嬉しいです
「境界線のテイナー」
よろしくお願いします。
太陽の街。ここはそう呼ばれている。
雪が降らない、暖かい地域。
あの日までは。
「ねえ、知ってる?この街には夜
"歩かない方がいい街"があるんだって、雪が降るとか?」
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
「ふぅ...終わったー。」
俺の名前は深結凛。
春から大学校へ進む18歳。
バイトがあった俺はいつもとは違う近道をして帰ることにした。
田んぼ道、のどかで春を知らせてくれるような生暖かい風が吹く草が生い茂った道を走っていると、
「なんか、臭ぇな。」
ツン、と鼻を刺すようなどこか酸っぱい臭い
それと同時に上から何かが降ってきた。
いや、降り立った。
「ンぐっ!!!」
俺は振り返る間もなく、濡れていてとても冷たく大きい手のような感覚に頭を地面に打ち付けられた。
何も分からないこの状況に俺は震えが止まらないし、声も出ない。
痛い、苦しい、
(声が出ないこわさってこのことかー。)
俺はなんとなくここが死なのかと思ってしまった、その瞬間
ズァン.......!!!
ーー割いた音がした。
この音ともに呼吸ができるようになった。
大きく深呼吸をしハッと顔をあげると、そこには
『大丈夫、?』
そこには、雪のように白く、太陽のような明るい髪の女の子が立っていた。
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
太陽の街。
そう呼ばれていたこの街に
その夜、初めて雪が降った。
・
・
・
・
・
「んん、?....何、ここ...?」
『おはよう、ここはね
.....統制局の医務室。って言っても今は分からないか』
「統制局.....?医務室.....??」
にしては病院特有の消毒液のような軟膏のような匂いはしない。
知らない天井。
知らない制服のようなもの。
なのに、俺を取り囲む様々な顔はどれ一つとして慌てていない。
『侵界種に触れられる子....ね。.....へぇ。』
彼女が少しだけ目を細めた。
「す、すみません。話が見えないのですが、、」
『私の名前は、ヘリオス。名前と言っても活動名みたいなものだけど』
「あ、えーと...俺は、深結凛です。」
「ヘリ..オスさん、?あの、助けていただいてありがとうございます。」
すると、スっとヘリオスさんは立ち上がって
『着いてきて。』
気づけば歩みを進めていた。
自分でも分からない。
でも何故か、体が着いて行きたがってるように思えた。
人は沢山いるはずなのに、妙に静かな廊下には
制服、スーツ、年代もばらばら
朝の駅のホームみたいに、色々な人が行き交っている。
なのに、自分だけ場違いというか、浮いているように錯覚してしまう雰囲気に俺は頭が痛くなった。
「あの、この人達は?」
『ここの人たちはみんな統制局の人達よ』
「その"統制局"というのはなんなんですか、」
『まぁ簡単に言えば
あなたを襲った"ああいうの" を処理してるところ』
「でも、今まで俺、そのバケモノ?みたいなあんなの見たことも聞いたことすらなかったんですけど...」
『まぁ...いつもは澱の中でするからね』
見たことがあったら困るわ
ふふふと笑う彼女の笑顔は雪のような柔らかさがあった。
長く少し気味の悪い廊下を歩いていると
ひとつの扉の前に着いた。
そこだけ空気が違った。
病院の診察室の前とも、
職員室の前とも違う。
上手く言えないが、
「失礼します」が必要になる空気。
先程まで話していたヘリオスさんも、
この扉の前では口数が少ない。
[いらっしゃい。おはいり。]
見透かされたように扉の向こうから聞こえたその声は
低く響き身が引き締まるのを感じた。
『おはようございます局長。』
[天穹直属とはな。珍しい]
「……?」
『局長、脅かさないでくださいよ』
ヘリオスさんは困ったように笑った。
けれど周囲の職員たちは、どこか緊張したような顔で彼女を見ていた。
[はは、申し訳ない。
ところで君、名前を凛と言ったな]
「はい....」
[君もならないか。遣に]
「........ぇ?」
『局長....!』
[ヘリオス。お前にもそろそろアテンダントが必要だろ]
たった一晩。
俺の人生が狂い塗り替えられた日。
それは、暖かい春の風が吹き始めた夜だった。
第1話
読んで頂きありがとうございます。
初めて小説というものを書いたので
上手くかけているかは分かりませんが
温かく見守っていただければ幸いです。




