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星の令嬢は永遠のまどろみに愛される〜一日六時間しか起きられない病弱令嬢が、四人の男たちに囲われ、やがて永遠の眠りにつくまで〜  作者: 真白しろ


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幕間:『鏡の中に灯った光』

鏡の中に映る自分を見るのが、大嫌いだった。

「気味が悪い」「呪われている」「不吉な色だ」

実の親から浴びせられた言葉のつぶては、幼い僕の心を、ずたずたに引き裂くには十分すぎる威力を持っていた。

だから僕は、いつも俯いていた。長い前髪で視界を遮り、自分の瞳が何を映しているのかさえ、誰にも悟られないように。

僕にとって、自分の体は「恥ずべきもの」であり、この世に存在してはいけない証拠だった。

あの日、アストレイア侯爵家に引き取られた時も、僕はただ、次の地獄を待っていた。

「名門の家柄を汚すな」と罵られるのか、それとも見えない場所で折檻を受けるのか。

けれど、目の前に現れた「お姉様」は、僕の予想をすべて裏切ったのだ。

春の光をそのまま形にしたような、柔らかな桃色の髪。

吸い込まれるほどに澄んだ、深いあおの瞳。

そして、今にも倒れそうなほど儚げなのに、僕を守るために車椅子から立ち上がった、その凛とした姿。

『あなたのその髪、ふわふわでお日様みたいな、とてもいい色がするわね。綺麗……』

生まれて初めて、僕の存在を肯定してくれる言葉を投げかけられた。

それも、これ以上ないほど純粋で、慈愛に満ちた笑顔とともに。

その瞬間、僕の世界を支配していた暗闇に、たった一筋の光が差し込んだのを覚えている。

……けれど、知ってしまった。

僕の光であるお姉様が、重い病を抱えていることを。

彼女が僕に向けてくれるその笑顔も、優しく髪を撫でてくれるその手も、彼女が削っている「命の時間」の欠片なのだということを。

「……っ、はぁ……っ、嫌だ、来ないで……!」

あの夜、僕はまた過去の悪夢に捕まっていた。

暗い部屋で一人、冷たい言葉に震えていた僕を救いに来たのは、やはりお姉様だった。

本来なら、一度眠れば翌日まで起きられないはずなのに。

あんなに顔を青白くして、肩を震わせながら、お姉様は僕を抱きしめてくれた。

自分自身の平穏よりも、僕の心の平穏を優先して。

(どうして……。どうして、僕なんかのために、お姉様の大切な時間を捨ててしまうのですか……!)

情けなくて、申し訳なくて、けれど、抱きしめてくれるお姉様の温もりが、これ以上なく愛おしかった。

僕の背中を叩く優しいリズムが、僕の中に渦巻いていた呪いを、一つずつ消し去っていく。

腕の中で再び深い眠りに落ちたお姉様の、穏やかな寝顔を見つめながら、僕は誓った。

もう、自分の姿を恥じたりはしない。

お姉様が「綺麗」だと言ってくれたこの容姿を、僕は誰よりも誇りに思う。

そして、お姉様が起きていられる貴重な時間を、一秒たりとも無駄にはさせない。

朝になり、僕は自らハサミを手に取った。

視界を遮っていた前髪を切り落とすと、そこには決意を宿した新しい僕がいた。

「お姉様……」

眠り続ける彼女の手を取り、その柔らかな指先に、誓いの口づけを落とす。

お姉様の隣に立つのは、誰にも譲らない。

いつか現れるかもしれない王太子だろうが、高名な騎士だろうが、関係ない。

お姉様が目を開けた時、真っ先にその碧い瞳に映るのは、僕だけでいい。

お姉様が僕の人生を照らしてくれたように、これからは僕が、彼女のすべての夜を払い除けてみせる。

たとえそのために、僕のすべてを捧げることになろうとも。

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