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職場の先輩は素敵な人でした。  作者: まるねこ


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 突然の驚きに忘れていました。


 私の名前は佐野 彩。年は22歳。大学を卒業し、堅実真面目を売りにこの春から某企業の一般職に就職したの。


 先ほどの声の主は私の教育係に抜擢された田野畑 勇気さんだ。彼の容姿は艶のあるやや長めの黒髪にすらりと長身だ。顔は中性的のせいかよく女性と間違われるのだとか。


 勇気さんは丁寧に説明しながら手早く書類をまとめている。勇気さんの仕事をする姿を見て、私は彼を好きになったの。




 ――私が初めて会社へ出勤した日。


 私の教育係に勇気さんが付いてくれることになった。


 初日と言うこともあって私は必死にメモを取り、仕事を少しでも覚えるように動いていく。


「お疲れ様、今日はもう上がろうか」

「もうそんな時間だったんですね」

「夜も遅いし、駅まで送るよ」

「ありがとうございます」


 私は鞄を持って、勇気さんと一緒に会社を出た。駅近くの雑居ビルに会社があるため、私たちはすぐに駅に到着する。


 改札を入り、「じゃっ」と別れるかと思いきや、あれ? 方向が同じ? 不思議に思い勇気さんに聞いてみた。


「あれ? 勇気さんもこっち方面ですか?」

「彩さんも? 俺は渡り橋駅なんだ」

「私も同じ駅なんです。そこから川を越えた先の港町まで歩くんですけどね」


「近いな。俺は隣の富士見町なんだ」

「そうなんですか? すっごい偶然ですね!」

「じゃあ、途中まで一緒に帰ろう」

「はい」


 私たちは近所に住んでいることを知り、駅周辺の話で盛り上がりながら帰宅した。


「ふぅ、やっと帰宅~♪」


 玄関に鍵を置いてなだれ込むように部屋に入った。


 さすがに初日は緊張していただけあってとっても疲れた。結っていた髪の毛を解き、靴下も脱ぎ捨てる。


「うーん。このまま寝たい。でも、汚いままベッドに入る自分が許せそうにない」


 重い身体を揺り起こし、脱ぎ捨てた服をかき集めて洗濯物へ放り込んだ後、さっとシャワーを浴びる。


「さっぱりした! このままだらだらスマホ見てたいけど、明日も早いし寝なきゃ……。あーだるーい」


 一人ごちながらベッドに入り、今日のことを思い返してみる。


「今日一日頑張った。勇気さんかっこよかったな。真剣に取り組む姿にドキッとしちゃった。私も早く勇気さんみたいにならないとね!」


 こうして私の初日はなんとか無事に終わった。


 翌日からも私は勇気さんの説明を受けながら仕事をこなし、帰りは途中まで勇気さんと近所のお店の話で盛り上がりながら帰宅する。


 そうして勇気さんの下に付いて二週間が経った金曜日のこと。いつものように仕事を終えて二人で帰る準備をしていると、勇気さんから声がかかった。

「彩さん。週末だし、居酒屋大将でちょっと飲んでいかないか? 俺、あそこの刺身が好きなんだ」

「あそこ、海鮮が美味しいって聞いたことあります。一度行ってみたかったんですよね」


 私と勇気さんは仲良く居酒屋大将へと向かった。

「仕事を始めて二週間が経ったけど、もう慣れた?」

「んー。なんとなく一日の流れは掴んだような感じなんですが、この書類はどこの課に持っていくとか、電話の対応が難しくって……」

「あー、電話対応か。俺も苦手だったな。あれも慣れだけどな」

 そんな話をしながらここのお店の刺身をつまんでいく。

「美味しい!」

「だろ? ここの刺身は鮮度がいいから好きなんだ」

 刺身の美味しさに感動しながらお酒を飲んでいく。

「美味しいですね! お酒によく合う」

「おいおい、そんなに飲んで大丈夫か?」

「大丈夫です! 私、強いんで。それに家も近いですから」

「まあ、それならいいんだが」

 ここのお店は刺身の他も美味しかったの。カマンベール揚げなんて衣サクサクなのに中は熱々でとろーりとチーズがとろけてこれまた美味しかった。

 ワインにも合ってたのよね。でも、今にして思えばちゃんぽんしちゃったのがいけなかった。私は店を出る頃にはすっかり酔ってしまっていた。

「彩さん、大丈夫か?」

「ふぇっ? 大丈夫れす! 家も近いんれ!」

 酔いに酔った私はなんとか正気を保つように一点を見つめ、しっかり歩いた、つもりでいた。

「ちゃんと歩けてないじゃないか。仕方がない。俺の家の方が近いから家で少し休憩して彩さんの家に帰ればいいか」

「ふぁい!」

 ふわふわないい気分で私は勇気さんに手を引かれて歩き出した。もしかして勇気さんと手を繋いでる!? ぐらぐらと揺れる視界を余所になんだか楽しくなってくる。ついつい鼻歌も出てしまう。


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