パーティ追放
よくあるパーティ追放。さて、どうなるやら。
「えっと、すみません。望持さんにはこのパーティから出て行ってもらいたいんです」
パーティリーダーの兼光が、申し訳なさそうに話を切り出した。
居酒屋の6人掛けのテーブルに、ジョッキは6つ。中央にサラダがおいてあるが、まだ取り分けられてはいない。
5人の視線が、1人、望持に突き刺さる。
ジョッキを握って飲む準備万端だった望持は、みんなに見つめられてちょっと照れた。
「なんで照れてるわけ?」
「追放ですよ、追放。意味わかってます?」
「えー、あんた何やったの…」
「あっちゃー」
それぞれがそれぞれに声を発する中、望持はジョッキをにぎったまま、まだ照れていた。
「つい?(↑) ほう?(↓)」
「有り体に言えばそうなります」
「り、理由は?」
「本当はこういう話は個別にした方がいいんですが、どうせすぐにバレます。望持さん、あなた、女性を妊娠させて逃げてるらしいじゃないですか。パーティとして、そういう揉め事はちょっと」
周囲の温度が3度下がった。主に女性メンバーの水源と川原のまわりが。
「俺に責任をとれと?」
望持の目が細くなる。
さらに温度が3度下がった。
「えー、男としての責任はお任せしますが、このままではパーティの活動に支障がでます。」
川原がサラダを取り分け始めた。
望持の皿は空いたままだ。
「どこからそんな話が出たんだい?」
林田が枝豆を食べながら疑問を口にした。
「女性の方から直接、接触がありました」
「そんな話を間に受けるのか?リーダーは」
望持の表情は能面のようだ。
「望持さんはこのパーティの優秀な盾役だぜ?
少々のトラブルくらい金でなんとかしてあげても…」
林田の前からサラダの皿が取り下げられる。
「実際のところはどうなんですか? あなたの反論も聞いておきたい」
兼光は望持に迫る。女遊びの噂話の多い望持だ。女性からの訴えにはそれなりに信憑性がある。
「相手は誰なんです…?」
絞り出すような望持の声。
「それは言えません。というか、そんなに心当たりがあるんですか?相手に」
「遊ぶのはいいけど避妊くらいしろよ…」
「責任を取るにしろ、逃げるにしろ、このパーティにはいられない、ってことですね?」
「そういう事です。ちなみに、ギルドの受付嬢さんから話が回ってきましたので、ギルドの方でも応対が冷たくなるかと…」
「公私混同は勘弁して欲しいな、まったく。」
女性陣の視線が鋭くなった。
「分かりました。パーティを抜けるのは仕方ない。
でも今日の宴会くらいはご一緒しても? お別れ会でもいいですよ?」
望持の手はジョッキを握りしめて白くなっていた。
「あんたはブレないねぇ」
海野がため息をつく。
「ちゃんとその女性と話し合うんですよ」
川原がサラダを取り分けた。
「おいおい、俺のサラダ返してくれよ」
林田
「どこのだれだか分かったら教えてくれよー」
水源
「じゃあ、俺のお別れ会ってことで。かんぱーい」
「かんぱーい」✕4
「...かんぱい」
兼光
宴会は遅くまで続いた。
普段はムードメーカーの兼光も、今日ばかりは望持の悪ふざけに振り回されていた。
珍しく海野が中性的な声で恋のはかなさの唄をうたい、水源がハープで曲をあわせていた。
みんながいい感じに酔いが回ったころ、それぞれが帰路につく。
「じゃあ、な」
全然素面の望持が、誰にともなく呟いた。
続くのか?続かないのか?




