第9話:悪夢の昼休憩
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
その日はずっと金山さんと一緒に行動をしていた。彼は見た目通りの真面目な人だった。そしてもの凄く厳しい!そんな彼の見た目だけでキャーキャー言ってる人たちに変わってやりたいと思うくらいだわ…。
そしてあまりにも沢山の物事を頭に入れていかないといけないので、私はすっかり今朝の出来事を忘れていた。やっとお昼になり、ホッとしながら秘書課に戻ってきた。すると石川さんが既に戻ってきていて、午後からの準備を確認した上でランチに行こうとしていた。そして私と目が合って
「あら、春川さん。」
「あ、お疲れ様です!」
「ふっ、あなたも大変ね。」
そう言って私の肩をポンと叩いて彼女は部屋を出て行った。彼女は会長秘書だからか、私に対して特にやっかんだりはしなかった。だけど実際問題、どう思っているかはまだわからない…。
「では春川さん、午後からの確認をしてからお昼に向かって下さい。5分前には戻って来て下さいね。」
金山さんはそう言って秘書課を去って行った。
う~~ん、午後からの確認て、金山さんのこのレターケースの中をチェックしておけってことよね。事務の人が予め整理してくれてるから、それが間違ってないかを兼ねて確認していけばいいのよね。
私は確認作業に慣れていなかったから、ふと時計を見ると既に30分が過ぎていた。
「わ、これじゃあ休憩がなくなっちゃう!どうしよ…。」
慌てて残りも確認して、金山さんのレターケースの「確認済」の方へと資料を移した。そしてお弁当を持って食堂へと向かった。
その時、すれ違いで既にランチを済ませた秘書たちが秘書課へと戻ろうとしていた。
「あら、今から?社長直々の抜擢だからもっと早く処理出来るのかと思っていたわ。」
誰かがそんな一言を他の人にも聞こえる声でわざと呟いた。
「あらぁ、駄目よ。そんな厳しい事を言っちゃ。初日なんだから~。」
「それでもよぉ、出来る人だから期待値が高いんだけど?」
「それ以上、言ったら可哀想よ、あはは…。」
そう言って三人はその場で大笑いした。……………!悔しいっ!
私は両手をギュッツときつく握りしめ、唇を噛んだ……………。
「ほら、そこで突っ立ってないで、早く午後からもあるんだから、食堂行ったらら?!」
そう言われたので、悔しいけど、私はペコリとお辞儀をしてからその場を離れることにした。
遠くに彼女たちの私を嘲笑う声が聞こえてくる…。あぁ…嫌だ、こんな環境で私、やっていけるのかしら…。
結局、泣きそうな気持になった私は食堂には向かわず、建物の裏手にあるちょっとした庭でお弁当を食べることにした。
「次からは片手でも食べれる物にしなくちゃ……………。」
私は悔しい気持ちを必死で我慢した。秘書の経験がない。知識もない。それなのにいきなり社長秘書に抜擢されたんだから、長年その地位を夢見て来た人にとっては面白くないだろう。その気持ちも理解出来ないわけではない……………。だからと言って私にあたるのは違うと思う…。
そんな風に半べそをかきながらお弁当を食べてる姿をまさか5階の社長室からあの人物に見られていたなんて思いもしなかった……………。
ご覧下さりありがとうございます。やっかまれる方は災難ですが、やっかむ者の気持ちもわからなく複雑な気持ちの奈々でした。




