第8話:────褒められた!
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
3つの重要な案件。それはどれも重要だと思った。だけどそこから一つだけを選べと社長に言われ、私が選ぶのは…。
「三つ目の案件です。」
思い切って出した答えを述べた。とても緊張する…。
「ほぉ、何故だ?」
〝この答えは合ってるの?間違ってるの?どっち?〟私は焦りながらも社長の問に答える。
「はい、間違った商品が店頭に並んでしまってからでは後の対応が大変になります。また、弊社の信頼も失われてしまい兼ねません。他の2件も重要ですが、先に3番目を指示してからでも間に合うと判断しました。」
「ふむ。金山、どうだ?」
「そうですね。」
そう言って金山さんは眼鏡を指先でスッと上げて答える。私は生唾をゴクリと呑んだ。
「私も同じ意見です。」
「だ、そうだ。もちろん、俺もその考えだ。よく答えられたな。」
────!褒められた!
「見る目はありそうですね。」
金山さんがそう言ったので私は何の事だろうと思っていたら
「当たり前だ。俺を誰だと思ってる。」
社長もそんな事を言っている。私一人が会話についていけてないのを悟った二人が
「君のことだよ。」
と、声を揃えて言ったのだ。
「へ?」
私ぽかん…。
「まあ、時々鈍いとことか、おっちょこちょいなとことかありそうだがな。ハハッ!」
そう言って社長はまた大笑いした。
「まあ、あれだ。誰かが何かを言ってきても、君にはちゃんと実力があるんだってことを信じて私についてきてくれればいい。」
金山がそう言って社長の言葉足らずな行動をフォローした。
「と、ところで!さっきの案件ですが、急ぎでしなくても大丈夫なのでしょうか?」
私はあまりにもこの場所がのほほんとしていたので、急に仕事モードに切り替わった。急ぎの案件のはずなのに…。
「ああ、大丈夫だ。私が社長に報告する前に既に通達してある。全て解決済だ。」
金山がそう言った。
「そうなんですね。」
「ああ、今日は社長から君へのテストをすると聞いていたからね、毎回こうとは限らないよ。」
「そうだったんですね。それでは、今後その案件はどうやって、有無の確認をしたらよいのでしょうか?」
私がそう尋ねたことで金山さんはパチクリと目を見開いて私を見た。
「早速仕事モード全開だね、こういう社長への意見や案件などは今は僕のデスクの上に置いている〝案件書〟トレーに置かれているんだ。そこへは秘書課の事務方の人達が各部署から預かって仕分けして必要な物に分けて回してくる。だから朝一番にそこを確認して、社長の指示がなくてもこなせる内容は先に手配するんだ。暫くは僕が一緒に目を通すから安心して取り組んでくれ。」
「はい、わかりました。」
「それから…。」
私は金山さんの教えをメモに取りながら一つ一つ確認しながら必死に覚えようとした。私達が熱心に話をしているのを後ろで社長が聞いることを、すっかり社長の存在を忘れていた私だった。
ご覧下さりありがとうございます。本格的に社長秘書としての教育が始まりました。奈々は熱く燃えて仕事に取り組んでいきます。




