第5話:俺の専属秘書になれ!
このお話は主人公、奈々の目線で語り口のように綴っております。
私は顔を上げた時、社長がいきんなり話を始めた。
「君の部署の部長には話をした。聞いていると思うが、異動を命じる。俺の専属秘書になれ。」
そう言った社長の顔は怖いくらいにイケメンだった。
「────は?」
「は?!」
「……………っあ、すみません。あまりにも驚いてしまって。秘書課付けとは聞いておりましたが社長の専属秘書だとは思っていなくて……………。」
私は本当に驚いたのだ。それなのい社長はいたずらっ子のような顔をして大笑いしだしたの。
「ハハハッ!」
ちょっと悔しくて
「社長っ!そんなに笑われなくても……………。」
と言ってしまった。だけど社長は咎めるどころか
「普通、秘書課と言われたら専属秘書を連想するだろうに。君はやはり相当な慌てん坊のようだ、これからビシバシ鍛えてやるから覚悟しろよ?」
「……………へ?」
何だろう……………。この蛇に睨まれたカエルの気分というのかしら……………。緊張していたのはどこかに行っちゃったし、だけど何だかとんでもないことに巻き込まれてるような気がしてきたわ……………。それなのに社長ったらまた大笑いしてる。ふぅ、あの怖いイメージが蓋を開けてみればそうでもないだなんて……………。よくある話だわね。
「そうそう、仕事については金山、教えてやってくれ。」
「はい。」
その声に驚いて思わず後ろを振り向いてしまった。
〝い…、いつからそこに…?〟ずっと社長と二人っきりだと思っていたからすごく驚いたのだ。
金山健司(33)。社長のいとこだとかで気心がしれてると有名だ。しかも彼も社長に負けずとイケメンなのだ。頭脳明晰なのがあの眼鏡姿のカッコよさからよくわかる、社内でも社長派と金山さん派とで派閥があるほどの人気ぶりだ。彼の魅力の一つはあの眼鏡だ。
そんな二人に囲まれて仕事ですか?!ヤバイ~~~、絶対、また陰口を言われるに決まってるじゃないですか!誰よ、そんな人事したのは!?先が思いやられそうで私は内心ガッカリしていた。
「では、春川さん、改めて金山です。暫くは僕に同行してもらいます。それで少しずつ覚えて行きましょう。ちなみに秘書経験、もしくは資格とかは?」
金山の眼鏡の奥には私に対する期待が読み取れた。だが残念なことに
「いえ…待ったくないです。それなのにいきなり秘書だなんて、驚いてます。」
私がそう言うと金山さんは凄く驚いた表情をしていた。わかっていての抜擢じゃないの?え?一体、どういう経緯での人選なの?
そう思いつつ金山さんの方を恐る恐る見ると何やら社長の方を見ていた。というよりも睨みつけていた。
ま…まさか社長の独断なんてことは…。そんな少女漫画のようなね…。私がそう思っていたら何故だか社長が咳払いをしていた。あぁ……………。終わった……………。
「えー、コホン、とにかく、明日は8時に出社して下さい。それまでに使いやすい手帳を用意すること。社長の予定を管理するために必要です。レシートを提出頂ければ経費としてお支払い致します。」
「わかりました。それでは失礼します。」
そう言って私は社長室を退室し、ドアの外で思わず大きなため息をついた。
〝ハァァァァァ……………。滅茶苦茶緊張したぁ~~~~!明日から私大丈夫なんだろうか……………。〟
ご覧下さりありがとうございます。奈々はいきなり社長から自分の秘書になれと言われて、戸惑います。どうして急に社長は奈々を秘書に抜擢したのか、今後明かされていくはず…。




