第30話:ドキドキ!緊張のお詫び訪問!
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
そして翌日────
私は社長の迎えにより、無事予定していた新幹線に乗る事が出来た。
予定していた木ノ内商事へと到着したのは13時だった。先方の社長との面談だ。
私と社長は受付を通り、木ノ内の社長と会う為に応接室へと通された。
────緊張する…
私は手に汗を握った…
こちらのミスによるお詫びに伺っているのだ。要さんは私にも同行するようにと言ったけど、私は何をしたらいいのか…。共に頭を下げてくれればいいと言われたけど…。
私の表情がこわばっていたからか、要さんが声をかけてくれた。
「そんなに緊張しなくても俺がいる。お前はただ、俺が頭を下げた時に一緒に下げてくれるだけでいい。和やかに話が進み出したところで〝お詫びの印として手土産とわが社の新たな商品〟を添えて出せばいい。」
と言ってくれた。それでも緊張はする。
ほどなくして応接室をノックする音がし、扉が開いた。
──────────来た!!
私は社長と共にスッと立ち上がり、
「この度は大変申し訳ございませんでした。」
そう社長が言った時に
「申し訳ございませんでした。」
と言って深く頭を下げた。
木ノ内社長は小さく息を吐き、そして
「取り敢えず座って下さい。」
そう言ったのでチラっと社長の方を見て
「失礼します。」
と言って社長が着席したので同じようにして私も着席をした。
空気が重く感じて息が少し苦しくなった。胸の鼓動がドキドキと激しく打っていた────
私達が着席したのを見届けた木ノ内社長は再び小さく息を吐いて
「はぁ、今回の事はこちらが在庫を補充する前に気が付いたから問題にはならなかったですが、どうしてこのようなミスが発生したのですか?!」
そうキツイ口調で言った。
「申し訳ございません。社内調査をした所、仕分けする際に入れ間違えたという単純なミスでございました。再発防止に出荷梱包する前に外箱と中身の確認をするように仕組みとして取り入れて今後の対策としております。」
木ノ内社長がお怒りになっていても要さんはひるむことなく、毅然としてそうお詫びをした上で説明をした。
その説明で納得したのか、木ノ内社長の表情が少し和らいだ。
「お宅とは長い付き合いですしね、再発しないようにキチンとしてくれているのなら、今後も続けていきたいと思っているのですよ。」
「仰る通りです。企業として再発防止に努めるのは必須ですから、次がないように最善を尽くす所存です。」
「まあ、今回は未遂に終わりましたし、こうして社長自ら正規品を持って来てくれたのですから、このお話はこの辺でお終いとしましょう。」
「木ノ内社長、ありがとうございます。」
私も深くお辞儀をした。そしてここが社長の言う私の出番なのだと確信した。
「木ノ内社長。今回は申し訳ございませんでした。こちら、お詫びの気持ちです。」
そう言って私は用意していた手土産とわが社の新製品を一緒に木ノ内社長に手渡した。
「………………こちらは?」
「はい、今回わが社が開発した新しい商品でぜひお試し頂きたいと思いまして持参しました。」
「ほほう、駿河社長は若いがやり手だという話は本当のようですね。お詫び訪問してもしっかりと営業なさるとは…。ハハハ!頼もしい限りだ!」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。」
「しかもお試し品がこんなに沢山とは。お土産もあとで皆で頂くとしよう。」
「はい、ぜひ感想を頂ければ嬉しく存じます。」
こうして緊張で幕開けしたお詫び訪問は和やかに終了した。
ご覧下さりありがとうございます。実際、社長自らのお詫びってどんな感じになるのかわからないのですが、社長だからこそ、解決も早い部分もあるのかな~と思いながら書いてみました。




