第3話:デジャヴ?一日に二回目の…?!
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
「春川、すまなかったな。で?どうだった?」
笹川はヘラヘラとしながら私に言ってきた。その様子にも苛立ちを覚える私。
「笹川さんの引継ぎミスじゃないですか…。私、30分以上は怒られっぱなしでしたよ、あれだと私以外の方でも対応出来るじゃないですか。」
……………よし!今日こそ言ってやった!私は自分を褒めてあげたいと思った。だが、笹川は相変わらずの調子で答えて来た。
「いやぁ~、春川だと何でも頼みやすいんだよな、わかるだろ?」
「わかりません。今日こそハッキリ言います。迷惑です。」
私は怒りの心境を維持したままやっとの思いで今まで溜まった気持ちを込めて笹川に言った。とてもドキドキしている…。だけどそんな私に対して笹川は
「おおー、お前でもそういう事言えるんだ!?だが、こう言っちゃなんだけど、同じ同期でも俺のように男性だと出世も早いけど、お前のように女性だと雑用しか出来ないから出世なんて出来ないだろ?俺が贔屓して使ってやるから感謝しろよ?」
茶化してくるのだ。
「は?最悪なんですけど!?」
私は笹川の言い方や考え方が理解出来ず、思わず反論していた。握った手がぷるぷると小刻みに震えている…。だが、どれだけ言葉に出したところで、奴は営業するくらいだ。頭の回転も速くのらりくらりと交わされる。それに私が本気で怒っていると伝わらないようだ。いや、例え本気で怒っているとわかったところで、自分の相手になるレベルではないと高を括っているんだろう。
私はそれだけ言ってこれ以上、この部屋で感情的にならないようにと、部署の部屋を出た。そして泣き出しそうな、悔しい顔を誰にも見られないように俯きながら一人になれそうな場所を探した。
悔しいかな、結局トイレしか思いつかなかったのだ。
向かってる途中でまたもや誰かにぶつかった…。
──────────ドン!
〝今日はついてないな…。二度目だなんて…。〟
「ごめんなさい!」
咄嗟に謝ったが、返ってきた言葉が
「ああ、本当に……………。」
〝────この声‼〟
その声に驚き、思わず顔を上げると更に驚いた!
「しゃちょ…!」
同じ日に二度も同じ人物と衝突するという事があるのだろうか…。
「すみません、さっきと今、重ね重ね、言葉になりません。」
私は必死で謝罪した。すると社長は大きな声で笑い出した!
「ハハハ……………ッ!」
私は目がパチクリ状態だ。
「しゃ、社長?」
「君はいつも前を見ないで歩くのか?こんな、同じ日に二度も………ハハハ!」
「あ、いえ。たまたま今日はちょっと色々あって……………。普段はこんなことは……………。」
私が申し訳なさそうに言う。すると社長は速攻でツッコミを入れて来た。
「ああ、そうだろうな。普段からこれじゃあ、君は怪我だらけだ。ハハハ!」
すごくよく笑う人だなぁ……………。いつもはすましているから元々整った顔立ちのせいで怖く見えるけど、こうして笑ってる顔は…どちらかというと好感が持てるような……………って、私ったら何考えてるのよ?
「こんなに笑ったのは久しぶりだ。そうだ、あとで社長室に来てくれ。」
「はい?」
「必ず今日中に尋ねてくるように!」
「は、はい。」
そう言って社長はスタスタと歩いて行った。私はあまりにもの出来事にさっきまでの悔しい気持ちや怒り、悲しみの気持ちがどこかに行っていた。
〝あれ……………。すごく緊張したせいか、さっきまでの気持ちが楽になってる。〟
ホッとしたのも束の間、
〝社長からの呼び出しじゃないの!え。どうしよっ!さっきは笑ってたけど、こっぴどく怒られるのかしら……………。〟
私は急に緊張してきた。これは早めに尋ねるべきなんだろうか……………。だけど、今すぐに来いとは言われてないからいいのかな?などと悠長に構えていた。
ご覧下さりありがとうございます。自分の会社の社長に一日に二回も体当たりするとは思わない奈々。現実的に中々そんな事故は起こりません。しかし、奈々には起こってしまったようです。




