第19話:どうしてこうなった?!私の目の前で社長がお茶を飲んでいる…。
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
会社がある都会から見れば私が済んでいるこの地域は「田舎」に思われるだろうか…。簡素な住宅街を通り抜けた山に近い所にある二階建てのアパートだ。少し手前で車を停めてもらえばよかっただろうか…。そう思いながらも私はちょっと、いや、かなり後悔している。
だって…。
今、目の前でお茶を飲んでいるのがうちの社長だなんて…!
────何でこうなった?!
思い返してみるとアパート前で降ろしてもらった時、
「社長、回り道してまで…すみませんでした。お陰様で安心して帰ることが出来、ありがとうございました。」
そう述べた時だった。車が着く頃から社長は外の景色をジッと見ていた。そして今も辺りを見回して
「そうだな、せっかくだから茶の一杯でもよばれようかな。」
と言い出したのだ。
────何ですと!?
私は驚いて
「お…。お茶ですか?」
「ああ、流石にお茶はあるだろう?俺がここまで来たんだ、頂こうとするか。」
と、半ば強制的に社長は私の部屋に来たということだ。
私は仕事に明け暮れているから幸運な事に部屋の中は綺麗に片付けてあったので、急な来訪にも対応は可能だった。だから社長を部屋に上げ、希望されたようにお茶を出したところだ。
「普段は何茶を使ってるんだ?」
「え?茶葉にはこだわってるので普段からこれです。」
「ほぉ、玉露とは…。よほどお金を使う所がないみたいだ。」
「そんな…。あまり飲む回数もないですし、自分へのご褒美みたいなものですから…。」
「なるほど。ご褒美か。それなら納得だな。まあ、お前の働きぶりは評価出来るから今度給料を上げてやろう。」
「え?本当ですか!?嬉しいっ!」
私がそう言って喜ぶと社長はにんまりと笑って見ていた。ちょっとだけドキッとときめいたのは社長には内緒。
そして明日使うと言っていた資料をその場でパッと目を通して私に意見を求めてきた。
「ここの部分、お前ならどう判断する?」
「………………これについて、詳しく書かれていませんよね。今日の訪問の時も特に話がなかったような気がするのですが…。」
「そうだ。ちゃんと話を聞いていたんだな。関心した。」
「それは勿論聞いておりますよ。時々、わからない言葉とか出てきたらメモして後でちゃんと調べるようにしているんです!」
「なるほどな。お前はそういうやつだろう。」
「そう言えば私を抜擢した時に調べたと……………。」
私は社長にその時の事を聞いてみた。
「ああ、各部署の前を通るとよくお前の名前が出ていたんだ。皆が口を揃えて〝面倒見がいい〟やの、〝なんでも前向きにチャレンジする〟とか、とにかく評判がよかった。だから前から名前だけは知っていたよ。それでその課の者たちに聞き込みをしたんだ。まあ、営業課でこき使われてるとはな…。勿体ないと思ったんだ。」
「そうでしたか…。」
「だからお前はもっと自分に自信を持てばいい。今のまま、自分をもっと誇れ!その努力を続ければいい。」
「ありがとうございます。社長からそう言ってもらえると私は自分に自信がつきます!」
「ハハッ、当たり前だ。俺が選んだんだからな!」
そう言って社長は大笑いしていた。
ご覧下さりありがとうございます。突然の社長の提案で断る事が出来なかったが、有意義な時間を過ごせているようです。




