第18話:カッコイイ!この瞬間、私だけのヒーローのようだった!
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
それからというもの、社長と二人で出かける事が増えた。二人と言っても専属運転手がいるから実質三人ではあるが…。社内はいつも緊張状態。それを察してか、社長が時々悪ふざけをすることがある。この人が皆に怖がられてるだなんて…!石川さんじゃないけど、私も思わず〝くすくす〟と笑ってしまいそうになる。
本当はこんなに気遣いの出来る人なのに……………。私は時々社長が気の毒に思える。
実際、社長にもその事を話したが、
「別に誰に何を思われていようと構わない。俺は仕事さえ上手く回っていればいい。」
と言うものだから取り付く島もない。はあー。
そしてその日は挨拶周りで遅くなってしまったので社長が近くの駅まで送ってくれることとなった。
「ありがとうございました。お疲れさまでした!」
私はお礼を述べて車を降りて社長の車が会社へと戻って行くのを見送ったあとで、駅へと向かうことにした。歩いていると、男の人に声をかけられた。振り向くと相手は二人いて
「ねえ、ここ行きたいんだけど、この辺りよくわからないんで連れて行ってくれないかな?」
なんと案内を頼まれたのだ。いや…まさかナンパ?一応警戒しつつ答えた。
「あの、私もあまり詳しくは…。」
だが、男たちは引かない。
「じゃあさ、そこのカフェでお茶しない?」
「え?道がわからないんじゃ…?」
「そんな事、どっちでもいいじゃん、俺たち、君みたいな子とお茶して話したいんだけど。」
そう言って男が私の腕を掴もうとした時────!
「何してるんだ!?」
そう言ってサッと私の前に割り込んできた人物がいた。
────助かった!
正直、そう思った瞬間、よく見ると社長だった。
「俺たちはこの子とお茶しようとしただけだ!」
「そうだ。邪魔すんな!」
二人はそれでも私の腕を掴もうとしたので社長がその手を振り払って
「彼女は俺の連れだ!とっとと失せろ!」
そう言って凄んだ!
「──────────っ!」
それを見て男たちは諦めたようで
「チッツ!男連れか!」
と捨て台詞を吐いて去って行った。
〝良かった、助かった。〟そう思って
「社長、ありがとうございました!」
深々とお辞儀をしてお礼を述べた。
「ああ、それよりも怪我とかないか?」
「あ、はい。大丈夫です、…ですがどうして…?」
私は疑問に思った。あのあと車は会社に向かったはずだ。
「ああ、明日使う資料を預けたままにしていたと思ってな…。」
「え?…あ!」
私はさっきの会社で預かった書類をそのままサブバックに入れたままにしていたのを思い出した。
「それで来て下さったんですね、すみませんでした。」
私がそう言って謝罪すると社長は髪をかき上げながら
「いや、来て良かったよ。ああいう輩は何かと面倒だからな。女性一人だと絶対に引かない奴らだからな。危なかったよ。」
社長はそう言って少し考えてから
「どうせだ。車で送って行くから来い。」
そう言って社長は私の手を取った。私はびっくりしつつも握られたその手がとても熱く逞しく感じていた……………。
ご覧下さりありがとうございます。共に行動するようになって相手の事がより一層見えてくることがあるものです。




