第12話:憧れの女性!
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
翌日、出社すると昨日金山さんが言っていた通りに私の机も準備されていて、レターケースもセットされていた。それを見た時、私は目を輝かせた!
〝本当にある!私の机!〟
私は机をそっと手で触れて実感した。そして椅子を寄せてスッと着席して、早速書類の確認作業を行った。そうしているうちにゾロゾロと皆が出社してきた。
「春川さんの机が?」
そう言ったのはあの三人組のうちの一人、森山さんだった。確か専務秘書……………。
「あら、私の隣になったのね。」
そう言ったのは会長秘書の石川さんだ。こちらは安心する。
「はい、よろしくお願いします。」
「クスクス。わからないことがあれば何でも聞いて頂戴。」
「はい、ありがとうございます。」
石川さんは今の会長が社長の頃からの秘書だから社長秘書の業務内容もこなせるというわけだ。しかも隣の席だし、聞きやすい。頼りになる!
私はふと、森山さんの方を見ると悔しそうにしながら自分の席に着席していた。
他の二人も室内に入って森山さんと同じような反応をしていたが、騒いだ所でどうにもならない事を知っているし、隣に石川さんが座っていたので黙って自分の席に着いた。
金山さんが入室してきた。
「みんな揃っているな。では、今月ある会社の創業パーティーについての話を始める。」
────そう。今日はこの話のためにいつもよりも1時間早めの出勤となっているのだ。
私は必死にメモを取る。金谷さんから私は石川さんと組むようにと命令が出た。
「改めてよろしく。」
石川さんがそう言ってくれたので
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
と頭を下げたら、また〝クスクス〟と笑われた。どうやらこれが彼女のちょっとした癖のようだ。
会議が終わり、それぞれの業務に出向く。私は朝チェックした書類を持って社長室へと移動する。いつものルーティーンだ。こういう日が何日か続いたあと、とうとう金山さんから
「これで私が付き添っての指導は卒業ですね。あとは実践あるのみ。頑張って下さい。」
そう言って握手をしてくれた。私が今後を考えるとドキドキしたが、
「大丈夫、基本的な事は出来ています。あとはわからなければその都度、社長に聞きなさい。」
そう言って社長に視線を送った。
社長は〝コホン!〟と咳払いをして向こうを向いた。私は二人のやり取りをこの先見れないのが残念であった。
それからというもの、私は石川さんと隙間時間に行動する事が多くなった。それは創立記念パーティーの準備の為だ。そしてその合間に仕事でわからないことを聞いて教えてもらっている。
石川さんは相変わらずすぐに〝クスクス〟と笑うが、本当に深い意味なく笑っているようだった。
〝石川さんは本当に素敵な女性だわ。私もあんな女性になりたい。〟
そういう気持ちになるのは至極当然だった。
彼女のようにファッションを真似てみようとしたらやっぱり石川さんに〝クスクス〟笑われた!
「あなたは私の真似をする必要なんてないのよ?若いんだし、もっとこう……………。ああ、説明するのは難しいわ。今度見てあげるから一日開けておいて!」
と、まあ面倒見も良い方なのだ。
ご覧下さりありがとうございます。奈々もようやく順調に仕事が出来てそうです。




