第10話:己を誇れ!ーそれが社長からの私への愛の言葉だった
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
それから午後の業務に戻った私は社長と金山さんと三人で社長室で業務を行っていた。
社長は黙々と自分の事をされていて、私は金山さんとマンツーマンで指導を受けていた。
社長が金山さんに
「おい、金山。三人分のコーヒーを買ってきてくれ。」
「は?今ですか?」
「ああ、今だ!」
「……………わかりました。それでは春川さん、ここまでの事を自分の中で整理しておいてください。」
「わかりました。」
そうして金山さんは社長の命令でコーヒーを買いに行った。私が行こうかと聞いたのだけど、どうやら社長御用達のショップがあるらしく、金山さんでないと駄目なのだそう……………。
だけど社長と二人っきりなんて……………。緊張マックスよ!
そんな風に私が緊張しているのに、社長ったら金山さんが出て行ってから、何故か視線を感じる…。き、気のせいよね?
そう思っていたら
「なあ、春川。」
────ドキン!社長が話かけてきた。
「はい…。」
私は更に緊張しながら返事を返した。
「お前、今回の件で秘書課でやっかまれてるのか?」
「え…。どうしてそれを…。」
私がそう聞き返すと社長は小さく息を吐き、
「大体わかる。朝よりもお前の表情が落ち込んでるからな。しかもさっきの休憩時間だって…。」
社長はそこまで言って黙った。
「………………すみません。」
私が謝ると社長は表情が険しくなって
「俺は、お前を責めているのではない。お前と二度もぶつかったあの日、お前があまりにもおっちょこちょいだから、お前の仕事ぶりを調べさせてもらった。」
「────え?」
「その結果、俺はお前ならこの俺の秘書として立派にこなせると判断したんだ。」
「……社長……………。」
私はどうして自分が選ばれたのか不思議だったけど、ちゃんと仕事ぶりを評価した上での期待だった事を知って感動した。社長は言葉を続けた。その顔は真剣そのものだ。
「だから、もっと己を誇れ!お前は忍耐強くて努力家だ。だから他の秘書よりもメンタルも強く、立派に成長出来ると俺は思っている。だからもっと自分を誇れ!お前はもっと評価されるべきだ!」
「────社長!」
私は思わず涙が溢れていた。それは今までの私の努力をちゃんと見ていてくれた人たちが、社長に進言してくれるような人たちがいたんだという安堵からだった。ずっと同期なのに無慈悲にこき使われる毎日だった。だけど、そんな日々でも他の人たちはちゃんと見ていてくれたんだ……………。諦めていたのに、嬉しい!
「ほら、泣き止め。そろそろ金山が戻ってくるだろう……………。」
「はひ、すびまでん……………。」
「ははっ、ハハハッツ……………‼」
私の返事があまりにもおかしかったので社長は大笑いしていた。もうっ、こっちは感動して涙が止まらなかったのに……………!
そう思っていたら、本当に金山さんが戻ってきたのでビックリした。社長、エスパー?これくらいでないと社長って務まらないの?って、本気で私、思ったのよね……………。
「ただいま戻りました。」
何も知らない金山さんは、どうやら社長室の空気が違うと感じたようで頭の上にクエスチョンマークが目に浮かぶような顔をしていたの。それを見て私、口角が上がっていたわ。
うん、こんな職場なら、悪くないわね!
ご覧下さりありがとうございます。社長に秘書に抜擢した動機を伝えられて感動した奈々でした。
「自分を誇れ!」の一言が更に奈々を今後強くしていきます。このお話の題名としております。この社長の言葉が後々奈々の気持ちの原点となるのです。




