白い窓
ある夜、友人と飲み会を開いていた。みんなで盛り上がった後、深夜になり家の中は静かになった。ふと、隣の部屋の窓に目がいった。外から差し込む月明かりが窓を白く照らしていた。その白さが妙に引っかかった。
「なんだか、あの窓が異様に白くないか?」と僕が呟くと友人も同じように感じている様子だった。
「うん、確かに変だな。昼間は普通だったのに、今はまるで光っているみたいだ。」
そこで、誰かが言った。「それ、気をつけたほうがいいよ。」
その言葉に、皆が不安そうな顔を向けた。話を続ける彼の顔は、普段と違って真剣だった。
「俺、昔同じような経験をしたことがあるんだ。夜中にふと窓を見たら、外が異常に明るくて……。よく見たら、人の顔が白く浮かんでいて目がこっちをじっと見ていた。」
その話を聞いた瞬間、部屋の中の空気が一気に冷たくなった。誰もが口を閉ざし、何も言えなくなった。しばらく沈黙が続いたが、ふと僕が気づいたことがあった。
「あれ、待てよ…… 窓、開いてるか?」
みんなが一斉にその窓を見た。その瞬間、みんなの息が止まった。窓は閉まっていたはずなのに、薄く開いているのが見えた。
そして、窓の外に、今度ははっきりと見えた――白い顔が、こちらをじっと見ていた。
その夜、窓を開けた記憶は一切無かった。