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彼女の名前

 翌朝俺たちは会話もないまま朝飯を食べていた。

 

 さっきの一件はなかったことにする。


 という方面で彼女は決めたらしく、少しも怒っているような気配はない。


 それもなんだか気まずいがそれも気にならないくらい上手い朝飯だった。


 彼女は以外にも料理が上手い。


 「今日はどうするんだ?」


 「そうね、今考えているわ」


 「お前の分の荷物はないのか?」


 「えぇ、ないわ」


 「・・・そうか」


 やっぱり少し怒ってる。会話がすぐ切られる。


 かなりきまずい、間が持たない、何か考えるんだ。


 ごはん美味しいよ。


 ・・・違う、そんなことじゃなくて

 

 「・・・そうだ」


 「どうしたの?」


 まだ聞いてないことがあった。そう、とても大切なこと


 ◇◆◇◆◇◆◇


 「瑠維子、よく聞いてくれ。これから私は大きな仕事を任される。


 よかったら手伝ってほしいんだ。」


 「私でよければなんでもします!」


 「そうか、それはよかった」


 男は霧島にやさしい笑みを浮かべた。


 霧島は男に精一杯の笑みを返した。


 「”あいつ”に会ってもらいたい」


 やさしい声でやさしい笑みを浮かべたまま言った


 「あ、”あいつ”に?」


 霧島の笑みは崩れていた。


 綺麗な線を描いている鼻を汗が伝った。


 「・・・会って何をすれば?」


 「そうだな、とても簡単なことさ」


 ◇◆◇◆◇◆◇


 「コウジは散る花と咲けない花、どちらの方がみじめだと思う?」


 「俺が聞いたのはそんなことじゃないぞ」


 「そうね、でも先に今の質問に答えて頂戴」


 「・・・・・」


 ”俺が聞いたこと”はそんなことじゃない。


 なぜ”彼女”はそんなことを聞いてきたんだ?


 「そうだな、咲けない花かな」


 「ふぅん」


 そっとちゃぶ台に箸を置いて感嘆の声をあげた。


 「さぁ俺の質問にも答えてくれ」


 俺も箸を置いて彼女を問い詰めた。


 「答えにくいことじゃないだろ?なんでさっさと言わないんだ」


 「・・・・・私は」


 ゴクリ。生唾を飲み込んだ


 だいそれたことを聞いているわけでもないのに、どうも緊張してきた。


 手汗が尋常じゃない。


 「私は、散る花の方がみじめだとおもうわ」


 「ガクッ!今のはこっちのに答える流れだったろうが!」


 「そうだったかしら?」


 「そうだよ!」


 「それはごめんなさい、じゃあ答えるわ」


 生唾も手汗もどこか行ってしまったがまた緊張してきた。


 「・・・私の名前は」


 「名前は?」


 「・・・なくしてしまったわ」


 「・・・・・・は?」


 名前をなくしただと?馬鹿なことを言うなよ、そんなことがあるわけ・・・


 「二度と味わうことのできないような夢に溺れたわ、しかもとっても長い夢、


 甘くて柔らかで温かい夢よ」


 懐かしい初恋の話でもするかのような少し滑稽さを含んだような、それでいて柔和な思いでを


 語るように”名を無くした女”は話してくれた。


 「でもね、長く眠りすぎてしまった。夢が覚めたときベットの外の景色は変わっていて、


 しかも夢の中に”名”を忘れてきたしまった。」


 夢の中に名前を忘れてきた?


 「名乗る名があったらコウジをトイレに押し込んだ時名乗っていたわよ」


 「そ、そんなことがあるのか?」


 「あるからこうなっているんじゃない、」


 彼女はずいぶんと前にふっ切れていたようでコロコロと笑っていた。


 ・・・・・名前を忘れたのか。


 

 

我が家に光回線が来ました。しかし、いろいろと手違いが重なってかなりの間ネットが繋がらずにいて投稿が遅くなりました。申し訳ありませんm( )m

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