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影のある相棒

 「俺はあの改札から出る、しかしお前は切符がないから捕まる。ここでお別れだ」


 「どうかしらね?」


 「どうかしらも何もない。お前は捕まって俺は捕まらない」


 「ふふふ」


 「何がおかしい?」


 特急列車で出会ったこのただ乗り女は駅に着いた今も俺の横にいる。


 「ほら、切符なしはどっか行け」

 

 「いやよ、アンタと一緒じゃないと捕まるもの」


 「俺が知ったことか、あっち行け」


 「いやって言ってるでしょ」


 「迷惑だ離れてくれ」


 「っふんしょうがないわね」


 やっと離れた。が、今までのしつこさの割にすんなり離れたのがどうも気になる


 何か企んでいるのか?彼女を見ると・・・


 「っふふふ」


 笑っている。


 やばい。


 どんな手を使う気かは知らないがこのままじゃハメられる。


 歩幅を広く改札口に俺は歩き出した。


 やつが何かする前に改札を通ってしまえばこっちの勝ちだ。


 歩幅を広く改札口に俺は歩き出した。


 振り向くな、あいつが何をしてくるか分らん。

 

 歩幅を広く改札口に俺は歩き出した。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 「ありがと、貸しひとつね相棒さん」


 「うるさい、金返せ、それに俺はお前の相棒じゃない」


 「お金は返せないわ。お金がないからただ乗りしたんだもの」


 「あ~、じゃあもういい、どっか行け」


 「何を言っているのかしら?コンビは常に一緒でしょ?」


 「だから、お前とは組んでない」


 あろうことか今俺とこいつは三条駅の東口から出たバスターミナルにいる。


 こいつは捕まらなかったのだ。


 「第一俺はお前の名前すら知らない、こっちも名乗ってすらいない、つまり俺は


 お前のことを知らない。知らない人に付いて行くな。お前もそう言われたことが


 今までにあっただろう?」


 「そうね。言われたわ。でもあたしはあなたの名前も何をしているかも知っている」


 「どういうことだ?」


 「これよ」


 クスクスと笑いながら彼女がポーチから出したのは俺の財布。


 「っな!なんで持ってる!?」


 「落ちてたのよ」


 「そんなわけがあるか!」


 「そうね。そんなわけはないわ。」


 「ふざけんな!いつ盗った!?」


 「お兄ちゃんと取っ組み合いしてるとき」


 「っお前!」


 ◇◆◇◆◇◆◇


 歩幅を広く改札口に俺は歩き出した、が、後ろから声がした。


 「待ってお兄ちゃん!!」


 ついこの前にも味わった感覚。


 またもガシッと腕を掴まれたと思うとそこには


 「待ってお兄ちゃん!あたし切符なくしちゃった!!」


 ただ乗り女がいた。


 「やめっ!こんの!離れろ!」


 「待ってよお兄ちゃん!」


 「俺はお兄ちゃんじゃない!」


 何を考えているのか分った、さっきとは一変してロリロリ声で騒ぐこの女。


 早く振りほどかないと!こいつの策は察した。だから、はやくしなければ!


 「ちょっと君たち?何してんの?他のお客さんの邪魔でしょ!」


 来てしまった!


 「あ、駅員さん!あたしどっかで切符なくしちゃったの!」

 

 「ちょ!やめろ!巻き込むな!」


 「お兄ちゃんと一緒に来たんだけど、だめかな?」


 だめかな?じゃない、いいわけがあるか。


 このままじゃ面倒なことに・・・


 「あ~分かった分かった、切符代また払ってくれたらいいから」


 「助かったねお兄ちゃん!」


 「助かってない!俺はお前の切符代なんか払わんぞ!」


 「君たち、あんまり騒がれても迷惑だから。妹さんもお金持ってないんでしょ?


 お兄ちゃんならしっかりしないと。切符代払ってくれたらいいから。」


 「いや、違うんですこいつ妹じゃありませんから!」


 「お兄ちゃん早く切符代払っておばあちゃんち行こっ!」


 「ほら、今からおばあちゃんち行くとこなんでしょ?妹さんも行きたがってるから、


 切符代払って貰うだけだから」


 「っくぅ」


 ◇◆◇◆◇◆◇


 「あぁもう分かったから!財布返せ!」


 「何が分かったのか分からないわ、ちゃんと言って」


 「なんだよもう!」


 「ちゃんと言って、ごまかされては敵わないわ」


 「はいはい、あなたと組みます!これでいいだろ?」


 「うん。それでよし」


 「ほら財布返せ」


 「はいどうぞ」


 面倒なことになってしまった。仕事があるっていうのに・・・


 だいたいこいつは何を追っている?名前はなんだ? 

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