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身長48メートルの巨大少女ですけど普通のJKさせてもらっても良いんですか!?  作者: 穂鈴 えい
Ⅰ 入学

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絵美莉の憧れの人 3

「5,4,3,2,1……」

カウントダウンが始まる。今出た方が良いのかな。それともジッとしておいた方が良いのかな……。


絶対的な力を持っている少女相手に選択を誤ってしまえば致命傷になってしまう恐れがある。それこそ、飛び出してしまった瞬間にスニーカーで踏みつけられてしまう可能性だって十分にあるのだから。


そうやって、悩んでいる間にも、小鈴は容赦なくカウントを終わらせてしまう。


「0……。はい、時間切れ。わたしは歩くから。それも、わたしたちが普段歩かない、あんたが隠れるには最適な獣道をね」

獣道といっても、それはわたしたちにとっての話。木々が無数に生えていても、それは小鈴にとってはちょっと丈の高い草が生えている程度の認識だろう。無数に木々が生い茂っていたところで、小鈴にとっては簡単に歩ける場所なのだ。


(まさか、本当に登るわけじゃないよね……?)

この期に及んで、楽観的に考えてしまっていたわたしの予想を裏切るための一歩が踏み出される。自動車よりも巨大なスニーカーが周囲に大量の砂を巻き上げながら、軽々と持ち上げられる。あんなに重たそうな巨大な物体も小鈴にとってはただの靴でしかないのだ。わたしたち普通サイズの人間と巨大少女の間にある絶対的な力の差を思い知らされる。


そのままスニーカーを動かせば、ズゥン、と大きな音を立てて、足が踏み出される。

たった一歩で木をまとめて数本へし折ってしまう。小鈴が一旦靴を持ち上げて、裏面を確認してから、小さく息を吐いていた。


「ねえ、本当に出て来ないと知らないわよ? わたしたちが人を踏み潰しても、罰されないんだからね? 怖かったら早く出てきなさいよ」

冷たい声を出しているつもりなのだろうけれど、小鈴の声が少しだけ震えていた。


もしかして、彼女には人を踏み潰してしまうことを悪とする倫理観がきちんと備わっているのだろうか。それなら、今出ていけば、もしかしたら話が通じる可能性も? そんなことを思っているうちにも、小鈴がもう一歩足を踏み出した。


ズゥン

今度はわたしのすぐ近くにスニーカーがやってくる。バキバキバキと木々が何本もへし折られる大きな音がした。重機を使っても大変な作業を、少女は片足を踏み出すだけでやってのけてしまうのだ。地面が大きく揺れた。それこそ、立っていられないような激しい揺れが起きる。


「ひゃうっ」

思わず変な声が出てしまう。すぐ目の前に振り下ろされた巨大なスニーカー。その迫力に圧倒される。多分小鈴の本来の身長的に、21センチか、22センチくらいの小さな靴なのだろうけれど、わたしにとっては6メートルを超える、車すら潰せてしまいそうな巨大なスニーカーなのだ。


わたしの上に小鈴の影が包み込む。たった一人の少女が周囲一帯に影を作っていた。真下から見上げる、自分に敵意を持っている巨大少女。そんな存在が怖く無いはずがなかった。ただ足元から震えながら見上げることしかできない。


さらに彼女が一歩を踏み出すために足を持ち上げると、その足はわたしの頭上でぴたりと止まる。

「や、やめてぇ……」

すぐ真上に翳された足。今すぐに逃げなきゃいけないのに、膝が震えて立つことすらできない。あの足が地面に踏み出されると、わたしの身体が潰されてしまうのだ。もはや、今のわたしにできることは命乞いくらいだろうか。


「ご、ごめんなさい!! 本当にごめんなさい!! 助けて!!! 踏みつぶさないで!!!!!」

必死に叫び声を上げた瞬間に、足の動きが止まった。そして、慌ててわたしの上から影が退けられたのだった。無事を確認して、小さくホッとしたように息を吐き出したのは、わたしも小鈴も同時だった。


まあ、小鈴のほうがずっと大きな音を立てて息を吐き出していたのだけれど。肺活量が大きすぎるせいで足元の木々を思いっきり揺らしてしまっている。とりあえず踏み潰されずに済んだことにホッとしたけれど、次の瞬間に思い出す。彼女に存在が気付かれると、また別の問題が発生するということに。


上空から、しっかりとわたしの居場所が見下ろされていた。顔に浮かぶ、不自然なくらい作られた、張り付けられた笑顔。その表情は純粋な笑みからはほど遠く見える。

「見ぃつけたぁ」

その声が酷く恐ろしげに響いていたのだった。


小鈴が地面にしゃがむ。その瞬間、彼女の身体の動きに合わせて激しい風が発生して、わたしの体が転がる。


「ひっ……」

すぐ近くから見下ろされている。しゃがんだ状態であっても、わたしたち普通サイズの人間よりも圧倒的に大きな小鈴の影に包みこまれる。


わたしの一挙手一投足すべてを簡単に見下ろせそうな巨大な瞳。逃げなきゃ。震える足で必死に移動したけれど、彼女が手を少し伸ばしただけで、わたしの体は簡単に掴まれた。

「逃げても無駄なんだから、これ以上わたしのこと怒らせないで」

そんなことを宣言されて、ギュッと体を握られる。


「ぎゃうっ……」

怖くて、痛くて、お腹の底から声が出た。小鈴はそのままわたしのことをポケットに入れると、息を吐いてから立ち上がる。彼女はまるで何事もなかったかのように、巨大少女用校舎に戻っていくのだった。ポケットにわたしのことを入れたまま……

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