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身長48メートルの巨大少女ですけど普通のJKさせてもらっても良いんですか!?  作者: 穂鈴 えい
Ⅰ 入学

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17/35

ビルみたいに大きなアイドルなんて見たことないでしょ? 1

「良かったね、学校すっごく楽しそうだった」

その日の午後、部屋に戻って2人になってから、小鈴ちゃんに話しかけると、小鈴ちゃんも小さく頷いてくれた。


「わたし、ここならなんだか普通の子みたいだった……」

「小鈴ちゃんは普通の子でしょ?」

そう答えると、わたしのほうに思いっきり近づいてきた。


「身長43メートルの女子のどこが普通なのよ!」

「そんなこといったら、わたし48メートルもあって、小鈴ちゃんより背高いよ! わたしも凄い子じゃん!」

ちょっとドヤ顔で言ってみたら、小鈴ちゃんがため息をついた。


「あんたのそのポジティブシンキングにも、きっとそのうち慣れるのよね」

「小鈴ちゃんもポジティブにいこうよ!」

「はいはい。でも、わたしが月乃みたいになったら、貴重な常識人のSAKIさんが不憫だから、適度なポジティブシンキングしかしないわよ」

「まるでわたしが非常識みたいな言い方……」

わたしが頬を膨らませると、小鈴ちゃんが「まるで常識人みたいな言い方」と揶揄ってくる。


「じゃあ、やっぱり非常識なんじゃん!」

わたしがギュッと小鈴ちゃんに抱きつくと、「やめてよー」と小鈴ちゃんが笑っていた。2人で戯れているだけなのだけれど、小鈴ちゃんはなんだかとっても嬉しそうだった。


「ねえ、わたしたち、ここならこんなこともできるのね!」

「どういうこと?」

「だって、街中でやったら大惨事よ? いくつも建物壊しちゃうし、ちょっと当たっただけでビルだって崩れちゃうかもだし、下手したら大事件になっちゃうかもしれないのよ。でも、ここならちょっとはしゃいだくらいなら、どうってことないなんて、楽しすぎるわね」

小鈴ちゃんが大きな口を開けて笑い出した。

「小鈴ちゃんが楽しんでくれてるみたいでよかったよ」とわたしは話を合わせておいた。


「ね、月乃。一緒に写真撮りましょうよ」

「写真?」

「そう。わたし、今まで一人でしか撮ってことないから!」

そういえば、大きくなってからは一度も写真は撮ったことがなかった気がする。そもそも、特に撮る必要性も感じられなかったから。

「わたしは構わんよー」と呑気に答えておいた。


わたしは小鈴ちゃんの横でピースをする。子どもみたいに胸も前でやる一番正統派のピース。インカメの中にわたしと小鈴ちゃんが収まっているけれど、小鈴ちゃんの顔が強張っていた。わたしの準備はできたけれど、小鈴ちゃんの手が震えて、うまく撮れないみたい。


「どうしたの? なんか震えてるけど。腕痛いの?」

「ち、違うのよ。わたし、この大きさになってから、友達と一緒に写真撮るの初めてだから、なんか緊張しちゃって……」

「なるほど」

わたしは頷いてから、小鈴ちゃんの首元に手を回して、ギュッと抱きついて、頬をくっつける。

「小鈴ちゃんの頬っぺた、柔らかいね」


「な、な、何のつもりよ!」

「緊張ほぐそうと思って」

「余計緊張するじゃないのよ!」

そう言って、小鈴ちゃんは急いで写真を撮ってしまった。


「はい、撮り終わったから、さっさと離れなさいよ」

小鈴ちゃんはわたしの体を無理やり引き離した。小鈴ちゃんの体を抱きしめるの気持ち良いから、もうちょっとくっついていたかったのに。

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