「父の日」
見た夢から話を書き上げました、だいぶ脚色しましたが
6月18日は父の日です
優子(今度の日曜日は父の日か、お父さんに何か料理でも作ってあげようかな)
優子「お父さんは料理、何が好き」
父「ビーフカレーだな、牛肉がホロホロと溶けるようなカレー」
優子「ホロホロ‥」
父(急に優子が好きな料理を聞くだと‥あ!父の日か‥まさかな‥だが)
父「だがな家のカレーも好きだ、というかカレーであれば何でもいい。想像したら食べたくなってきやがった」
優子(カレーかぁ、普通のカレー作ってもなぁ‥そうだ!クロエたちに相談してみよう)
学校
優子「お父さんカレーが好きなんだって、だから父の日はカレーを作ろうと思って」
クロエ「カレー‥ですか?」
あきら「カレーねぇ、じゅる、俺も好きだぞ」
クロエ「あきらさんは食べ物であれば何でも好きなのでは?」
優子「食べ物以外も食べるよね道端の草とか」
明「俺をなんだと思ってやがる、大体あれはれっきとした食い物だ」
優子「雑草が食べ物ねぇ‥」
クロエ「カレー…そうですわ優子さんにはいつもお世話になっていますし、わたくしの家で作りましょう」
明「!クロエの家だと!当然俺も行っていいんだよな!」
優子「コラ明、駄目だって」
クロエ「遠慮なさらないで、話を聞いて私もお父様にカレーを作って差し上げようと思ったんです。それにお二人にお家に来て頂きたかったし‥」
明「ほらクロエがこんなに言ってるんだ行ってあげようぜ」
優子「そ、そうだね、一緒に作って貰えるならありがたいし‥クロエちゃん家‥」
黒江家前
明「うっひゃーすげぇ豪邸、何だよこの門、なんつー大きさだ」
優子「ほ、本当に凄いね、案外貧乏なんじゃないかと思ってたけど本当にお金持ちだったんだね」
明「お前、結構性格悪いよな」
爺や「おや‥あなた方は美津子お嬢様のお友達では?ようこそいらっしゃいました、どうぞこちらへ」
優子「あれっ?この門は?」
爺や「いえ、そちらは儀式用の門になっておりまして‥」
明「儀式?儀式って何なんだ?ちょっとワクワクすんな」
門
明「邪魔するぜ」
優子「わ~すごい素敵なお庭」
明「本当にスゲェ‥花より団子の俺でもこれには圧倒されたわ」
クロエ「優子さーん、明さーんお待ちしておりましたわ~」
明「よう美津子、来てやったぜ‥ってスゲェ格好だな」
優子「そのエプロンすごい可愛い、クロエにとっても似合ってる」
クロエ「優子さん、ありがとう‥でもこれは私だけの物ではありませんお二人の分も用意致しておりますわ」
明「二人?ゲェーそれを俺も着んのか?俺はいいよ」
クロエ「いいえ、私を美津子と呼んだ罰ですわ、明さんにも着ていただきます」パンパン
クロエが手を鳴らすとメイドが現れた
クロエ「お二人にエプロンを着付けてあげて」
メイド「御意」
明「フン、じゃあ俺はおさらばするぜじゃな」
メイド「手荒事お許しください」トン
明「うっ…」
優子(あのエプロンを私に似合うかなぁワクワク)
着付け終
優子「こ、これが私!今まで自分のこと過小評価してたかも!」
クロエ「お似合いですわ、優子さん!これでお揃いですわね!」
メイド(お嬢と釣り合わせるための特殊メイク大変でした)
明「ふぁ~よく寝た、なんかここん所の記憶がないがここはどこだ?」
優子「?す、すごい美人!誰?クロエのお姉さん?」
クロエ「何おっしゃってるの?明さんよ、本当に綺麗‥」
優子「え~!明!どうなってるの?自分に酔ってた私が馬鹿みたいじゃん」
メイド1(2、特殊メイクやりすぎ)
メイド2(私は普通にお化粧しただけ、あれは彼女のポテンシャル)
明「おぅ変な格好してるがクロエ、優子じゃねぇか、なんだよ狐につままれたみてぇな顔して」
優子「ん!」姿見を指差す
明「あ!鏡がなんだってんだよ!誰だ、この姉ちゃん?」
クロエ「明さんですわ、明さんがこんなにお洒落が似合うなんて私も気づきませんでした。これからは一緒におしゃれを楽しみましょうね」
明「!これがお‥私!?…もう何がなんだか…」バタッ
明は卒倒した
優子「明!」
クロエ「うーん、これではいつまでもカレーが作れませんね」
クロエ「仕方ありませんわ、メイ、明さんを元に戻して頂戴」
メイド「御意」
優子「ちょっともったいないかも」
明「うーん、さっきから何なんだ?これは夢か現か?」
クロエ「明さんも起きたことですしカレー作りましょうか?…明さんいつか一緒にお洒落しましょうね」
明「カレー!!」
キッチン
調理人「!本当にお嬢様が調理場に!?」
クロエ「皆さん、ごめんなさいね。神聖な調理場をお貸しいただいて」
調理人「いえ、いいんです。お嬢様に使って頂ければ、調理場も喜びます」
優子「私達が使っていいのかな?」
明「な。俺なんか多分グチャグチャにするぜ」
調理人「お友達の方、お気になさらずに調理場は汚してナンボです。汚した分だけ料理が美味しくなります」
優子「そんなものなのかな?」
明「よっしゃ、そんじゃ盛大に汚すぜ」
調理人「…ただひとつだけお願いを聞いて頂きたいのですが、お嬢様」
クロエ「お願い?何かしら?」
調理人「我々と写真を1枚だけ‥」
クロエ「写真?構わないわ」
明「俺たちも入っていいのか?」
優子「コラ明!何でもかんでも入ろうとするのやめなさいよ」
調理人「ええ、お嬢様のご友人ならば大歓迎です!」
はいチーズ
優子「どんな写真が撮れたのかなぁ」
明「どれどれ‥う~ん、意気込んで混ざったはいいが、俺だけ浮いてるな…」
優子「ホントホント、それに比べて見てよこの私の可愛さ!クロエに負けてないでしょ~」
クロエ「明さん、ではもう一度着付けて撮り直しましょうか?」
明「!それだけはもう勘弁!さっさとカレーだカレー」
調理人「あ!料理長、お疲れさまです!」
料理人「お嬢様、お待たせいたし申し訳ございません。下々の家庭に合う食材の入手に手間取りまして、処分は如何様にでも…」
クロエ「ご苦労でした、石橋。我々が美味しいカレーの作り方を習得できれば不問と致します」
石橋「有難き幸せ」
明「下々の家庭ねぇ‥じゃあ一流料理人のお手前拝見と行こうじゃん」
優子「お手前拝見って、私達が作るんだけど…」
明「い、いいんだよ‥お手前のお手前で作ったカレーをだな…」
優子「はいはい、わかったわかった、さっさとやろうよ」
クロエ「それでは石橋、お願いしますね」
石橋「では、不肖イシバシ、ビシバシ行かせていただきますぞ」
優子「それ石橋さんの持ちネタ~ウケるw」
明「本当お前ちょいちょい性格悪いよな」
石橋「ぐっ‥ではビシバシ度MAXで…」
明「あ~あ、お前が余計な事言うから面倒なことに」
優子「あんたに言われたくないっつうの」
クロエ「石橋!ビシバシしごいて頂戴!ソッチのほうが燃えるわ!」
明「なんかこっちも変なスイッチ入ってるし、そういうの俺の役目じゃないの?」
優子「?役目‥?…もうなっちゃったもんはしょうがないよ頑張って美味しいカレー作ろう!」
明「引き起こした張本人がそれ言うか?」
石橋「まずはジャガイモの皮を剥いていただきます」
優子「ジャガイモの皮ぐらい剥いたことあります!」
明「俺だってそれくらいはな、さっさと剥いちまおうぜ…」ピーラーを取り出す
石橋「ノンノン、ちゃんと包丁で剥いてください」
明「何でだよ!剥けりゃピーラーでもいいだろ」
石橋「ビシバシ度MAXですからね。それに料理は手際です、すべて包丁で出来るようになってください。もしも手を切ってしまっても…」パンパン
メイド「縫合はお任せください」
明「…何だよその物騒な工具は、ふざけんな!」
優子「だ、大丈夫、慎重にやれば手なんか切らないって」
石橋「ジャガイモには青くなった部分や芽には毒があります、ちゃんと取り除いてください。では私がお手本を見せます」スパ
優子「え?何があったの?皮が剥けてる?」
明「何がお手本だ、見えねぇじゃねえか!ちゃんと教えやがれ」
石橋「先生に対する口の利き方…史上最低の生徒だ」
石橋「メイ君手術の準備を」
メイド「御意」
明「ちょ、ちょっと待て‥何する気だ」
石橋「目がよく見えるようにちょっとした細工をね…」
明「わ、分かりました!先生!ダメな生徒でも見えるようにゆっくり剥いてください!」
石橋「分かればよろしい、ではゆっくりと」
優子「今度はギリギリ見えたよ!よし」スパ
石橋「ほう、優子君はスジが良いようだ。明君は…」
明「これでどうだっ!」
石橋「皮が厚すぎるやり直し!」
明「今度こそ!」
石橋「まだまだ厚いやり直し」
明「もういっちょ!」
石橋「駄目だな…メイ君手術の準備を」
メイド「御意」
明「つ、次こそ絶対成功させます!勘弁してください!」
石橋「そうか…料理人の腕に付け替えてあげようと思ったんだが…」
明「おりゃー!」スパ
クロエ「石橋ぃ、全然剥き方がわからないわ、教えて」
石橋「おお、お嬢様私と一緒にやりましょう…せーので」
クロエ「せーの」スパ
石橋「お嬢様、見事です」
クロエ「やったー、へへ」
優子(石橋が切っただけじゃん)目が慣れて見えた
明「おい先生!どうだ俺も切れたぞ」
石橋「これを明君が?本当かなぁ?もう一度やってみたまえ」
明「もう一度?いいぜ、そら…あれ?」
石橋「メイく…」
明「待った!おりゃー」スパーッ
石橋「やれば出来るじゃないか」
明「へっ、あたぼーよ」
優子(このくだり、あと何回続けるんだろう?)
石橋「では次はニンジンです、ニンジンは毒もありませんので鮮度が良ければ皮はたわし等でこすって落とすだけで十分ですね、ですが下々の食材を皮を剥かずに使うのは危険です」
明「また下々かよ…見てな下々の危険な包丁さばき」スパッ
ニンジンはバラバラになった
明「あれ?」
石橋「バカモン!ジャガイモと同じに剥ける訳があるまい、まずは見本をだな…」
クロエ「石橋ぃ、ニンジンも上手く剥けなーい手伝ってぇ」
石橋「はーいお嬢様一緒に剥きましょうねぇ」
石橋「ほら今お嬢様と一緒に剥くからお前らも見ておれ、はい、せーのでですよお嬢様」
クロエ「せーの」シュルル
優子「すごっ!あんなの真似できないよ」
明「さっきと違ってハッキリ見えたぜ。俺に任せな」
クロエ「フフーン、二人とも頑張ってね」
優子(クロエは何もしてないって)
明「明流人殺法・参」シュルル
石橋「な、なんだと…」ハラッ
優子「一体、何が…!」
クロエ「!キャー!メイ!お願い!」
メイド「御意」
石橋「見事だ、明君。気づかんうちに先生をひん剥くとは…そんな生徒は過去におらんかった、もしかしたら伝説の料理人になれるかもしれん」
明「っとスマンスマン、参はおっさん剥く奴だったか、もういっちょ!明流人殺法・弐」シュルル
ニンジンが綺麗に剥けた
優子「すごーい、じゃあ私も、よっと」シュルル
石橋「二人ともお見事!だいぶ上達したな、ビシバシした甲斐があったぞ」
調理人「流石お嬢様のご友人、只者ではない」
クロエ「そうですわ、私の大事な親友ですもの。一緒に苦難を乗り越えてカレーを食べるんです」
優子「親友…嬉しいなっ」(クロエは何の苦労もしてないけど)
明「おうよ絶対乗り越えて、先生をあっと言わせてやろうぜ」
石橋「うむ、友情は何よりも成長の糧となる」
メイド「お嬢…」
石橋「次は玉ねぎの皮を剥いていただきます」
明「さっきから皮剥いてばっかだな」
石橋「料理は下ごしらえが大半、これを乗り越えれば出来たようなもの。それに皮むき作業はこれで最後です」
優子「下ごしらえがこんなに大変だったなんて、今度から手伝おう」
石橋「良い心がけです」
石橋「見本ですが‥私も明君に触発されました、お見せしましょう」
明「先生の技か?盗めるかな俺に?」ワクワク
石橋「…秘技・空把連華散」パラッ
優子「!?全く見えなかった‥?いえ、あれは触ってない!」
明「あ~あ、期待して損した。そんなの真似できるわけねぇだろ」
明「もういいや、メイ手術の準備してくれ。どうせ無理だし」
メイド「御意」
石橋「フフ、まぁ待て、今のはだな…ただ自慢したかっただけだ」
明「自慢!?…ふざけんな俺の覚悟を返しやがれ!」
優子「ちょっと明!許してあげなってカレーが出来るまでは」
明「また黒優子が出たな」
クロエ「石橋ぃ、今の私もやりたーい教えて」
石橋「え?お嬢様今のをですか?じゃあ、せーのでですよ」
クロエ「せーの」パラッ
石橋「お見事です、お嬢様!」
クロエ「ムッ、馬鹿にしないでくださる、今のは石橋だけでやりましたよね私でも分かりますわ」
石橋「さすがにこれは…」
優子「ww余計な自慢とかするからそうなるんですよ、先生」
明「俺達は地道に剥こうぜ、下々の者らしく」
クロエ「早く教えて~石橋ぃ」
石橋「くっ…分かりました。ですがお嬢様…この技を習得するにはインドの山奥に行く必要が…」
クロエ「メイ!アレの用意を」
メイド「御意」
ジェット機格納庫
優子「クロエ、いってら~」
明「お土産よろしくな~」
石橋「お、お嬢様本当に行くんですか?」
クロエ「やると決めたら徹底的にやるそれが私の…いえ黒江家の家訓!」
メイド「お嬢、立派になられて…」
石橋「…分かりました、お嬢様の心意気私の心に響きました、お供しましょう」
石橋「お前達、戻ってくるまで自己研鑽に励むのだぞ」
明「ほ~い」
優子「早く帰ってきてくださいね、父の日終わっちゃうんで」
メイド「では、テイクオフ!」
明「…行っちまったな、それにしてもこの家は何なんだ、てかあのメイドは何者なんだ?」
優子「深く考えるのはよそう‥」
数時間後
クロエ(ただいま~)
明「おう、おかえりクロエ!」
優子「思ったより早かったね、よかったよ」
石橋「はぁはぁ、お前達のために必死でお嬢様に伝授したんだ感謝しろよ」
クロエ(じゃあ、ここでやってみせるわね、秘技・空把連華散改)パラッ
優子「!‥はいはい、お約束ね」
明「キャー!…これでいいか?メイ頼んだ」
メイド2「御衣」
石橋「お見事です!お嬢様、全員同時とは、さすがは黒江家次期当主」
クロエ(当然よ、もっと褒めて頂戴)
調理人「お嬢様、ステキ~ムテキ~」
優子「クロエはご満悦だけど…」
明「肝心の玉ねぎは剥けてないというね」
明「ま、俺達が大半剥いといたし、次に行こうぜ」
石橋「よし、では次は肉だな。一般の家庭ならばやはり豚肉だろう」
明「あれ?下々はやめたのか?」
石橋「お前達の奮闘努力に感銘を受けたからな、もう下々とは呼ばん」
明「そうか…ちょっと寂しい気もするな、あれで発奮してたし」
明「よかったな優子、もう下々とは呼ばないってよ」
優子「別に私は下々って呼ばれても構わないけど、一度も何も言ってないよ、見返してみなよ」
明「どれどれ…マジだ噛み付いてんの俺だけだったわ」
石橋「ゴホン、いいかな?豚肉の部位だが今回は時間もない切り落としで行こう」
明「先生が余計な事するからだろ!ま、楽なら俺は大歓迎だが」
石橋「すまんな、では下ごしらえについてだが…」
クロエ(あっブータン!)
豚が入ってきた
優子「何?…可愛いブタさん!」
明「なんだ?こいつが食材か?」
豚「ムッ!」
明「悪い悪い、そんなに怒るなよ」
クロエ(ブータン、待っててね。一緒にカレー食べましょうね)
明「こいつもカレー食うのか?共食いじゃねぇか、ギャハハ」
豚「プッツン!」
優子「あ~あ、ブタさん怒っちゃった。あんたも本当に余計な事言うの好きだね」
豚に追いかけられる明
明「おい!助けてくれよ~」
明「先生!神聖な調理場で豚が暴れてるんだぜ?止めてくれよ!」
石橋「すまん!ブータン様は我々よりヒエラルキー上位。直視する事すら許されん、自分でなんとかせよ」
明「は?そんなに偉いのこの豚!ごめん俺が悪かったから、許してくれ」
石橋「メイ君手術の準備」
メイド「御意」
明「ギャあああ‥」悲鳴が調理場に響いた
豚はイノシシを家畜化したものです、豚をいじめるのはやめましょうね
メイド「処置終了」
明「あ、ありがとうな‥メイ」
優子「え?指がほとんど取れてたように見えたけど、どうなってるの?」
クロエ(黒江家の医術を舐めないでよ、ね!ブータン)
明「ぶ、ブータン、本当に俺が悪かった噛まれてお前の痛みが分かったよ、後で一緒にカレー食べようぜ」
豚「ブー」
優子「仲直りできたみたいだね」
石橋「うむ…時間もない、豚肉は塩コショウで下味をつけるんだ」
明、優子、クロエ「はい!」
石橋「息も合ってきたな、いいぞ!」
石橋「最後はルーについてだが…本当はスパイスを調合するのがベストだ!だが今回はご家庭のカレー、市販のルーでいいだろう」
明「え~市販のルー?ガラムマサラとかじゃねーの?」
石橋「スパイスの道は奥深い、一朝一夕に会得できるものではない」
優子「そっかーそうだよね」
石橋「市販のルーには開発者のスパイスへの愛が詰まっている、それを噛み締め味わうように、さすればスパイスの道が見えてくる」
優子「スパイスの道‥」
明「料理ってこんなに熱いものだったんだな」
クロエ(話を聞いてたら早くカレーが食べたくなったわ)
豚「ブー」
明「んじゃあ、ちゃちゃっと食材を片付けてカレー作ろうぜ」
優子「う~ん、切って煮て持って帰って、夕飯に間に合うかなぁ?」
クロエ(もうお腹すいた~インドに行ってカレー食べなかったんですよ私)
石橋「…そんな事もあろうかと‥」
メイド「煮込んだものがこちらになります」
優子「お約束だね」
明「でもよ、これ持って帰って父の日ってどうなんだ?」
石橋「料理は愛情です、愛情を込めてルーを溶かすのです」
明「愛情ねぇ…よし、せっかく今まで頑張ったんだ、たっぷり愛情込めてやるぜ!」
石橋「ではお好みのルーを選んでレッツコトコトです」
3人「レッツコトコト~!」
石橋「ルーは回数を分けて投入しよう、混ぜすぎるとイモが煮崩れるぞ」
明「う~、結構難しいかも、苦手なんだよ地道な作業」
優子「作業に集中しちゃだめだよ、しっかり愛情を込めないと」
明「へいへい」
クロエ(メイ!一緒にやりましょう、お父様のためだもの)
メイド「御意」
石橋「とろみが付きはじめたら、後は焦げないようにイモが溶けないように、絶妙な加減で煮詰めていくぞ」
明「愛情、愛情…あーじれったい」
優子「口に出しても愛情は込められないって…」
クロエ(大好きなお父様への愛情…)
メイド(お嬢様の愛情が溢れてくる、私も頑張らねば)
明「お父様への愛情…な、何だこの感覚、これがクロエの愛」
優子「クロエちゃんの愛?…そういえばさっきからクロエちゃん喋ってないのに言ってることが伝わってたよね」
石橋「うむ、インドで念に目覚めたらしい」
明「そうか…頼むクロエ念を俺にも教えてくれ!それなら愛情込められそうだし」
クロエ(ん~感覚?ごめんね天才で、でもきっとできるわ二人も天才ですもの)
明「感覚か…俺にも出来るのか?クロエが俺を天才だってんならやってやる!」
優子「この展開、やっぱ私もやらなきゃだよね…う~ん念ねぇ」
石橋「優子君、明君、君達なら出来る、私の素晴らしい弟子達よ」
明「聞いたか優子、素晴らしい弟子だってよ」
優子「当然!じゃあ師匠に‥」
明「恥かかせるわけには行かねぇよなぁ、いくぜ!」
優子、明(料理は愛情!)
まばゆい光が立ち上る
クロエ(待ってたわ!いっけぇー!)
石橋「うむ、素晴らしい愛情、見せて貰ったぞ」
メイド「美しい」
カレー完成!
優子、明、クロエ「出来た!」
石橋「お見事!もう何も言うことはあるまい」
ぞろぞろ、使用人が集まってきた
明「な、何だ!?」
使用人「いや~いい匂いとものすごい愛が伝わってきまして」
石橋「客を呼び寄せただと!素晴らしい!お前ら配膳だ!」
調理人「おー!」
使用人「こりゃうまい!おかわり!」
メイド「お待ちを」
優子「私達が作ったカレーをあんなに美味しそうに」
明「ああ、嬉しいもんだなぁ」
クロエ「ブータン、美味しい?」
豚「ブー!」
石橋「お前ら、良かったら料理に…まぁいいか‥道は自ずと開かれる、スパイスのように」
メイド1,2「カレー完食につき終了でーす!」
使用人「え~本当ですか?俺も食べたかったのに‥」
優子「すごい人気だったね!」
明「ホント、あんなに作ったのにな」
クロエ「フフ、皆喜んでくれたみたい主として嬉しいわ」
優子(念しか込めてないけどね、料理は愛情だしいっか)
明「クロエ今日はありがとうな、すっげぇ楽しかったよ。料理の奥深さも知れたしな」
クロエ「いえいえ私は何も…礼は石橋に言ってやってくださいな」
石橋「いえ、私からお礼を言わせて頂きます。いい子達に出会えたありがとう」
優子「えへへ」
明「師匠…じゃカレー持って帰るか」
明「…って、鍋空っぽじゃねぇか…メイ!俺たちの分取っておいてくれたんじゃねぇのか!」
メイド3「い、いえ私は何も‥」
明「3?あー!あの野郎逃げやがったな」
優子「明、取っておかなかった私達が悪いよ‥」
クロエ「お父様‥」
石橋「大丈夫、お嬢様今の我々ならすぐ作れます」
石橋「明君、優子君、この具材を持って帰り今日培った技術でカレーを作るのだ」
優子「私一人で出来るのかな?」
明「父ちゃんに感謝伝えたいんだろ?やるしかねぇだろ」
石橋「それと、このスパイスを…」
明「師匠、スパイスカレーを作れってか?くっ…決意が揺らぎそうだぜ」
石橋「スパイスの道は…」
優子、明「自ずと見えてくる!」
石橋「さぁゆけっ!」
優子、明「はい!」
優子家
父「おう、お帰り」
優子「ただいま~今からカレー作るから待っててね」
父「今からカレーを?そんな短時間で作ったカレーが…まぁ優子が作ったカレーなら食べるが」
優子(よし!大体煮えたね‥スパイス、ここに直接入れるの?…クンクン、香りが足りない?)
優子(!分かった炒めるんだ!…ほら!香りが立ってきた)
父(なんだ?このいい香りは‥スパイス?優子にスパイスなんて使いこなせるのか?)
優子(見えたよ私にも、スパイスの道!)
優子(スパイスから師匠の愛が伝わる、ありがとう師匠‥後は私の愛を込めるだけ!)
優子(‥お父さん、泣いた時慰めてくれてありがとう、イタズラした時怒ってくれてありがとう、楽しい時一緒に笑ってくれてありがとう、最近はちょっと遠ざけててごめんね、でも大好きだよお父さん‥」
明(ん?優子の愛がここまで届いてきやがる、じゃあ俺もだな…父ちゃん、殴って殴って蹴って殴って、そんで投げて、あんた最高のサンドバッグだよ、ありがとうな父ちゃん)
明父(なんだ?なんか背筋が凍るな…まぁいいや、強くなれよ明)
クロエ「明さん…愛情の形はそれぞれですわね」
クロエ「では私も…でも私の愛はとてもヒトにはお聞かせできませんわ、メイ、お願いね」
メイド「御意」
メイド(ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー)
クロエ(、お父様だーい好きですわ~)
優子(クロエちゃん?ピーって何の音?お父さんへの愛は伝わったけど…まいっか、よし!出来た!)
優子「お父さーん、カレー出来たよー」
父「おっ!随分早かったな、ま、期待はできんが優子が作ったカレーだ、俺が責任持って食べてやるよ」
優子「ふっふっふ、腰抜かさないでよ」
父「ではルーを一口…」
優子「どう?」
父「………」
優子「アレ?美味しくなかった?おっかしいなぁ…」
父「…」ガツガツ
父は無心でカレーを食べている
優子「美味しいの?なんか言ってよ!お父さん」
父「…おかわり!」
優子「美味しいんだね!やったぁ、父の日大成功だね」
次の日
父「優子…カレーを作ってくれ…」
優子「え!今日も!そんなに私のカレー気に入ったんだ、いいよー」
また次の日
父(優子のカレーが恋しい、想像しただけで手が震える、もうあれ無しでは生きられん…)
……
石橋「…やべ、渡すスパイス間違えた、弟子なら解決できるか‥
何かお父さんの様子がおかしいと思ったら‥石橋のせいだったんだね
あんなヤツ師匠とか言ってたの取り消してほしいわ…で、どうすんだ?
石橋がご迷惑をおかけしてすみません‥ですが、こんな時のために秘策をご用意しておりますわ!
次回「父を救え、鋼の絆」