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第58話:会議/救援再び



「好きにしたらいいんじゃないか? 本人に聞いてくれ」


 蟹男の言葉にうなずいた結城は、吸血鬼に尋ねるが、


「構わないぞ」

「絶対やめた方がいい」


 吸血鬼はどうでも良さそうだが、意外にもミクロが強く止めた。


「ミクロがそこまで言うって……どんな鍛錬してるんだよ」

「ひたすら実戦形式、それだけだ」


 吸血鬼はそう言うが、ミクロは言いたくないのか顔を背けた。


「もし辞めたいなら、やめるか?」

「ううん、やめない。 大変だけど」


 ドラゴンとの戦闘ですら聞かなかった感想に蟹男は驚くが、本人に続ける意思があるなら何も言うまいと口をつぐんだ。


「で、結城くんはどうするの?」

「……やらせてください。 僕はもっと強くなりたい。 スキルがなくても戦えるくらいに」

「ほう、それは良い心がけだ」


 吸血鬼は感心したように頷くが、ミクロは哀れなモノを見る目を結城に向けていた。


「じゃあ、結城くんは置いてく。 俺は拠点にいるから」


 そう言って蟹男は一人拠点へ戻るのであった。



***



「さてこの話を受けて……どうするか話し合わねばな」


 カルロス副ギルド長からもたらされた情報は聞いたことも無いもので、懐疑的な者もいた。 しかし本部長はカルロスの話――人がダンジョンに居住可能であること――を信じたかった。 なぜならまだ誰にも言っていないが、スマホに届いたメールの内容が原因だ。


『攻撃成功。 しかしダメージを負っている様子無し』


『勝てる見込みはない』


 密かに先遣隊として派遣していた、ギルドの最高戦力であるS級冒険者からのメール。 結果は最悪。

 S級でどうにもならないなら、例え全人類が束になってもどうにもならない。 S級とはそれほど強力な戦力なのだ。


この時点で本部長は討伐の可能性を切り捨てていた。


 後はどうやってジャイアント・ギガスを倒さずに人類が生き残るか。 本部長は議論をそちらに向けるため、口を開いた。



***



 夕飯の時間までSNSを眺めていた蟹男は、ぐったりとした結城を抱えて帰ってきたミクロに驚いた。


「えぇ? どうしたの?」

「壊れちゃった。 鍛錬が厳しすぎたみたい」


 ミクロは無情にも結城を床に下ろすと「ごはん♪ごはん♪」と、軽やかに風呂場へ向かった。


「……ぃ……」

「ん?」


 結城が何やら呟いているので、蟹男が近寄るとーー


「ゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてください」

「ひぃっ!?」


 呪文のような懇願を聞いて蟹男は飛び上がった。


「ホントに一体どんなことしてるんだよ……?」


 一方、元気な様子のミクロが本当に大丈夫なのか蟹男はさすがに不安になるのであった。


 いつも以上にご飯に貪るミクロ、そして箸を持ったまま結城は固まっていた。


「ちょっと食欲が……」

「ちゃんと食べないと明日もっと辛い。 強くなりたいなら食べるべき」


 ミクロはそう言って大皿からおかずをよそって、結城の皿へ追加した。


「うっす……あ、うま」

「いつのまにか運動部の先輩後輩みたいになっとる」

「山河さんはお代わり要りますか?」

「いや、俺はもう見てるだけでお腹一杯だ……」


 ある程度アイテムボックスから食材を出しておいたとはいえ、このペースだと在庫が心許こころもとなくなってきた蟹男は表情をひきつらせる。


「いっぱい食べてくださいね」


 最近、キッチンに立つことが増えたマルトエスが嬉しそうに言うので、蟹男は「抑えろ」とはとても言えなかった。


「うん、いっぱい食べるといいさ」


 蟹男はもうどにでもなれと、先のことは考えないことにした。







 それから三日後、蟹男の目の前に見覚えのあるホログラムが表示された。



『フレンド加賀アリスから救援要請です』


『受諾しますか? はい/いいえ』



「まじか……さて、どうしたものか」


 アリスからの救援要請に頭を悩ませる。 別行動になってから、状況報告的な連絡は二日前まで来ていた。


 最後のメッセージは、


『ダンジョン討伐隊に参加することになったわ。 場所はーー』


 蟹男と結城は未だにスキルを使えない。

 ミクロとマルトエスは戦えるとはいえ、状況が不明なため不安は残る。


「言うだけ頼んでみるか」


 蟹男はダメ元で吸血鬼を説得するため、二人もいるダンジョンへと向かうのだった。








 読んでいただきありがとうございます!


 面白い、つまらないどちらでも構いませんので、小説ページ下部の☆ポイントを付けてくださると参考になります。


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