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第57話:災害個体/それぞれの動き




 ダンジョンへ行くと、丁度良いタイミングだったようでミクロと吸血鬼は休憩していた。


「ミクロ、大丈夫か……?」

「う、うん!」


 蟹男が心配そうにのぞき込むと、地面に寝そべっていたミクロは跳ねるように起き上がった。


「全然大丈夫! 五体満足だよ!」

「いやそらそうだろ。 殺し合いじゃないんだから」


 蟹男が笑うと、ミクロはなぜか気まずそうに顔をそむけた。 違和感を感じたが、蟹男は吸血鬼に聞かなけらばならないことがある。


「聞きたいことがある」

「なんだ?」

「災害級モンスター、ジャイアント・ギガスって知ってるか?」


 その名前をを聞いた瞬間、吸血鬼の表情が固まった。


「ある。 見たことも、戦ったことさえある。 なぜそんなことを聞く?」

「まじか! 実は――」


 現状――モンスターが現れ、討伐の対策を練っている――を伝え、とにかく出来る限りの情報が欲しいと蟹男が言うと、吸血鬼は腹を抱えて笑い声を上げた。


「ははははははははは、何を言うかと思えば! あれを倒す? 人間、その中でも脆弱なそなたがか? 妄想にしてもひどいぞ」

「いやいや俺じゃなくて人類VSだ!」

「その人類とやらはどれくらい強い。 こやつより強いのか?」


 吸血鬼はミクロを、そして続いて自分を指さした。


「そして私より強いのか?」

「いや……分からないけど、強くはないと思うけど」

「それじゃあ無理だな。 なんせ私はソレに敗北をきっしている」


 それを聞いて蟹男は天を仰いだ。 吸血鬼にジャイアント・ギガスの弱点を教えてもらい、あわよくば手伝ってくれないかと勝手に期待していたのだ。


 しかしこうなっては蟹男にできることはもうない。


「……でも生きてるじゃないか」

「ふむ、逃げた。 そして奴が眠りにつくまで身を潜めていたのだ。 そなたらも諦めた方がいい、私にできる助言はそれくらいだろうか」

「身を潜めるって、一体いつまでだよ」

「100年。 長命種の感覚で、おおよそだが」

「まじ、か……」


 蟹男は言葉を失った。

 もしもジャイアント・ギガスを討伐できなければ少なくとも今を生きている人間は生涯そのモンスターから隠れながら生きなければならないということになる。


 蟹男は拠点があるからまだいい。 しかし他の人間はどうなる? 食料は? 寝る場所は? どこに潜めばいいのか?

 人類はそれに耐えられるのか、蟹男には分からなかった。


「……長すぎる」

「人間にとってはそうだろうな」

「ちなみにどうやって100年過ごしてたんだ……?」


 蟹男の疑問に吸血鬼は地面を指した。


「ダンジョンだ。 ダンジョンを攻略し、改造して住めるようにしていた」

「ダンジョン? 改造? どういうことだ?」

「ふむ、こちらでは未だ一つも攻略されていないのか? ダンジョン最深部のコアを魔力で満たせば、そのダンジョンの支配権をダンジョンマスターから奪うことができる。 そなたも似たようなものを持っているだろう?」


 吸血鬼はそう言って、蟹男が出入りしている拠点の入り口を示した。


「じゃあもしダンジョンを攻略すれば人類は生きる残れる……?」

「ああ、そうだ。 その時もそうやって一部の人間は生き残った」

「そうだったのか! ありがとう!」


 蟹男の中でジャイアント・ギガスとの戦闘に参加する選択肢は消えた。 元々、やる気もなかったが少なくとも目の前の吸血鬼より強いのなら、自分や今のミクロでは太刀打ちできる気がしない。 リスクが大きい割に、メリットを感じない。


「とういうことだ。 カルロス、ギルドはどう動くんだ?」

『お前の情報提供者は何者なんだ……?』


 話を終えて、自身の方針を固めた蟹男はカルロスに情報をありのまま伝えた。


「詳しくは言うつもりはない。 信憑性はあると思う」

『そうか。 アリスさんが何も言わないのだから、そうなんだろうな……はあ、どうしたものか』


 受話器越しから深いため息が聞こえてから、しばらく沈黙した。


「実際、ダンジョンの攻略ってどれだけ難しいんだろうな」

「さあ、どうでしょうね。 ドラゴンを倒すとかそれくらいじゃない?」

「それもそれで詰んでないか?」

『お前たちは呑気でいいな』

「責任がある立場は大変だなぁ」

「やることは決まっているのだから、うじうじ悩む意味がないじゃない」


 アリスの言う通り、方法はあって人類には取れる選択肢もないなら、ただやるべきことを淡々とやればいい。


(頑張れカルロス! 頑張れ人類! どうせ行きつく先がダンジョンなら俺はもういいや)


 すでにこの件が他人事になりつつある蟹男は、心の中でカルロスにエールを送った。


『分かった。 情報提供感謝する』


 通話が終わると

アリスたちは準備を終わらせ、さっそく近くの冒険者ギルドへ向かうようだ。 ただし、


「スキルの使えない結城だけは置いていくわ」

「ええ、ひどいですよ!」

「えぇ……」


 ということは諸々終わって、生きていたらここにアリスたちは戻ってくるということだ。 しかしお互い様とはいえ、最近迷惑をかけっぱなしな蟹男は何も言えなかった。


「さすがにそんな状態じゃ後方支援だとしても連れてくの怖いのよ」

「分かりましたよ……ちゃんと迎えに来てくださいね?」

「当たり前でしょう」


 そうしてアリス、藍、光の三人はダンジョンを去って行った。


「山河さん、お願いがあります」


 すると結城が真剣な表情で蟹男に言った。


「僕もミクロさんと彼女の鍛錬に参加させてください」











 読んでいただきありがとうございます!


 面白い、つまらないどちらでも構いませんので、小説ページ下部の☆ポイントを付けてくださると参考になります。


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