大ファンです! 死ぬまで推します!
『大ファンです! 死ぬまで推します!』
「すごいよなあ、その子。毎日ファンレター送ってくるんだろ? 今どき手紙とか珍しいよな。しかも、全く同じ文面って」
「うん。実は全部手書きなんだよ。嬉しいなあ」
「マジで? 俺だったら普通に引くんだけど」
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『大ファンです! 死ぬまで推します!』
「俺達も引退かあ。最後に武道館でライブできたのは良い思い出だよな。でも、例のファンレターの子とか相当ショック受けてんじゃね?」
「多分そうだと思う。相変わらず毎日手紙は届くけど……この子の中ではずっと現役ってことなのかな」
「いや……それ、かなりヤバい奴なんじゃないか? 大丈夫かよ」
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『大ファンです! 死ぬまで推します!』
「いい加減どうにかしてよ! 引退してもう5年じゃない!」
「そうだけど……この子も悪気がある訳じゃないと思うし……ずっとファンのみんなに応援してもらったからこそ今があるわけで……」
「だからっていつまで続けるつもり? 断れないなら事務所から転送せずに、そのまま勝手に破棄してもらえばいいでしょ!」
「そんなこと申し訳なくてできないだろ」
「……何もするつもりがないなら、今度こそ別れる。本気だから」
「……ごめん、分かったって。ちゃんと納得してもらえるように手紙を書くよ」
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『大ファンです! 死ぬまで推します!』
「昨夜未明、アイドルグループ●●●●の元メンバー●●●●さんがファンと名乗る人物に殺害されました。犯人は『彼を嘘つきにしたくなかった』などと意味不明の供述を続けており……」