星の花畑
*空野奏多様の「ブルジョワ評価企画」参加作品です。
其所は、元々、がらんとしたただの土地でした。
種も植えられない、本当の岩だらけの土地でした。
わたしは、どうにかこの土地にお花畑を作りたかったのです。
まずは、岩だらけだったので、頑張って岩を1つひとつ手で退けました。
手は豆だらけになりましたけど、どうにか普通の土地になりました。
次に土地を耕そうとしました。
しかし、困りました。
岩は手で退かす事が出来ても、耕す道具が有りませんでした。
このままでは、ただの土地のままです。
そこでわたしは、隣の領地に助けを求めに行くことにしました。
隣の領地には、立派なお花畑が在りました。
元は、同じような、岩だらけの土地だと聞きました。
どうやって、こんな立派なお花畑を作れたのか、とても気になりました。
わたしも、こんな立派なお花畑を作ることを目指しているからです。
お花畑の花を一生懸命育てている人に出会うことができました。
「もし、お尋ねします」
「あら、初めまして。こんにちは。もしかしたら、隣の領地のお方?」
その人は星の花束を抱えてにこりと笑いました。
申し遅れましたが、ここでわたしの自己紹介を。
わたしは、星の花畑をというお花畑を作ろうとしている者です。
この世界では、星の花が咲くことで有名でした。
しかし、星の花を育てるのは、コツがいることで有名です。
「初めまして。あの、わたしも星の花畑を作ろうとしてます。どうか、道具をお貸しいただけないでしょうか?」
「そんなこと、遠慮なく使ってくださいな。素敵なお花畑を作りましょ。このなろうワールドに星の花の恵みを」
そう、ここ"なろうワールド"は星の花と言う素敵な、それは素敵な花を育てるのが住人たちの目標でした。
星の花は、簡単には咲かないことは前述しましたが、とても丁寧に思いを込めて育てれば咲くのです。
星の花畑は、"ポイント"で評価されてもいました。
素敵な星の花畑には高ポイントの評価が成されるのです。
道具を早速借りたわたしは、土と言う"物語"の土台を作りました。
次に"ストーリー"という種を蒔きました。
わたしはそこで呪文を唱えます。
「この種は、素敵な恋物語の種。出会った恋人たちが引き裂かれながらも、運命にあらがうという恋物語……。育て、育て。恋物語の星の花」
ぽわん。
地面から、芽が出ました。
わたしは、其の芽の前跪いて祈ります。
「この物語の種が、星の花の恵みの雨を受けますように……」
すると、
「あら、素敵な花になりそうね」
先程の隣の領地の方が、心配だったのか見に来てくれたみたいです。
そして、その芽の前に手をかざしました。
パアア……!
芽から光がその人の手に吸収されていきました。
「嗚呼、恋人たちはまた出逢えるのかしら、そう、そうなの! こんな再会をするのね!」
その人は、わたしの蒔いた種からの物語を読んでくれたのでした。
そして涙を流しながら、手を下ろします。
「素敵な恋物語の花! ありがとう! この星の花にどうか私からの恵みを!」
天に向かって、そうその人が祈ると。
天から、光にシャワーが降ってきました。
雫が、星の形をした雫が、5つ。
ぽわわわ……!
「わあ……」
わたしは初めて見ました。
わたしが蒔いた種の物語を、読んでくれた人が、感想を述べてくれた人が星の雫のシャワーを降らせてくれたのを。
星の花はこうやって育っていくのです。
現にわたしの星の花は、見事に小さいながらも咲いたのです。
「ありがとう、ありがとうございます!」
わたしはその人の手を取って喜びを伝えます。
このなろうワールドには、まだ未知の種が、芽を出ることを夢見ながら眠っています。
そして、それを育てる人が、一生懸命育てる人がたくさん居るのでした。
何だか矛盾だらけですが、お読みくださり本当に本当にありがとうございました。