第06話 「もうホモでいいんじゃないかな?」
一向に学校の屋上から降りない俺たち!! このまま最終回を迎えそうだ! やったな! ちくしょう!
俺のアニメ化までしたクソ小説の世界で今俺は女主人公こと女勇者!!
ヤンデレ暴力女勇者! ヒロインとの百合カップルを企む俺!
しかし俺の手下共が美少年だったがため女勇者にホモ疑惑をかけられた!!
その論理展開はおかしい!
「いや、俺ホモじゃないから!!!」
「だったらなぜリューコちゃんの様な超絶美人に言い寄られて全然靡かないの?ホモでない限り説明がつかないわね!! リューコちゃんこいつはホモで間違いないわ! こんな奴捨てて私と共にゆりゆりしましょう!!」
お、それは俺も賛成だぞ?
突然俺と話を合わせてくれた、どうやら俺が無害だと知ってくれた様で俺は嬉しい。
「どさくさに紛れて私を異常性癖にしようとするな魔女め! いいか私は決めたホモの礼司を正しく私にメロメロになってもらわなければならん!!」
百合は異常じゃない! 性癖じゃない!
ホモは悪癖! ホモは汚い! ホモは邪教! 昔BL本だと理解しないで見てしまい吐いた事を俺は忘れない! 前世でも! 今世でも同じ過ちを犯したがもう忘れないっ! いつか復讐してやる!
アレ!? ってか女勇者さん? 今何気に俺のこと好きって告白してませんか?
………確かにそういう描写はしたか? 気になる男子的な?
まさか本気で俺に振られたと思って混乱してる?
「リューコ、お前は陽菜ちゃんと百合カップルになる運命……」
「うるせぇお前が大好きだ!! 礼司。お前のことが昔から好きだった、だから百合とかいうふざけた幻想をぶっ壊してお前を娶る!!」
やだこの子イケメン!!
「兄貴を!? お前みたいなクソ女が??」
「兄貴にはもっと相応しいお方がいる!」
「顔だけで中身ブスのお前には相応しくないんだよ!」
やめろお前ら! その主人公を煽るんじゃねぇ!
マジで酷い目に遭うんだぞ!! それは俺がよく知ってるんだ!!
それ以上その女勇者を煽り散らかしたら俺が闇堕ちして場繋ぎの為に引き伸ばされて、七変化させられて作者 (俺)にもて遊ばれた挙句挽肉にされちまうだろうが!!
「ほ〜う? お前らが礼司をホモのイケナイ道に進ませた悪魔共で間違いない様だな、つまりお前らをぶち殺せばレージは浄化される!!」
女勇者は手に持ったエクスカリバーの第一形態[ロンギヌス]を伸ばす。
〈勇者スキル・エクスカリバー第1形態〉《ロンギヌス》
•物理的性質変質を自在にできる、魔力の限界まで大きくしたり重くしたり軽くしたり、伸ばしたり縮ませる事も出来る。物理法則は無視する。
•巨大にする代償として勇者の血を使う、男性器の海綿体とは無関係である。
『おいおいおいおいロンギヌスは槍だろJK』という兄貴達の声が聞こえて来そうだ。
〈JK〉=今回は『常識的に考えて』の略、女子高生の場合もある。
ロンギヌスとは元は人名、キリスト教でキリストの血を浴びた槍、その槍の持ち主の名前。
逸話としては別に槍である必要はないのだ。
俺はそれをエクスカリバーという剣の名前にわざわざつけたのはその特性に目をつけたからだ。
聖人の血を浴びた武器がロンギヌスなのだ。
ロンギヌスには血が必要なのだ。
勇者の血が。
「やめろ竜子!! その剣は便利だがお前の血を使う、こんなおふざけで使っていい武器じゃない!!」
「!?? 何故そんな事を知ってる! 確かにこのバスターソード大きく…………勃起させると頭がクラクラするんだよなぁ」
卑猥に言い直すな!!!
しまった、流石に竜子オリジナルのエクスカリバーの特性は母さんからの情報じゃ説明がつかない! でもいい。
「その大剣取り敢えずしまえ! お前のために言ってるんだぞ!!」
「ぬ! むぐぐ、まぁ私のためと言うのなら仕方がないな、うむ、仕方ないからお前の言う事を聞いてやろう! お前のためだけにな!」
そういうと簡単に剣をしまった、出すのも早いししまうのも早い。
それにしても今の台詞は捏造されたチョロインのセリフだ。
お前だけ感を俺に出して罠にかけるビッチのセリフだ。
お前からそんなセリフは聞きたく無かった。早すぎだ。
「俺はホモじゃないから、それだけは納得してくれ。そして私は幸せな百合カップルを遠目から見て微笑みたい、そんな紳士なのだ。だから俺のことは壁とか空気だと思ってく……」
「レージ、私にとってここにいる全てはお前以外カボチャだ、私の目にはお前しか映らない、お前が好きだ結婚しよう」
やだこの子さっきから全然めげない!!
しかもなんかすっごく真面目顔で言うから! くっ! カッコいい!
は!? せ、洗脳されるところだった!!
そして側で絶望の顔をしてるクレイジーサイコレズの陽菜さんが絶望の顔をしていらっしゃる、安心して絶対結ばせるから!!
今現在カボチャ認定されてるけど!
「私はカボチャ?カボチャ……」
「君はカボチャじゃない!」
「うっさい!! 近づくな穢れた男! 悪人! リューコちゃんの正気を返せ!!」
「御免なさい!!」
俺が謝ると女勇者がキレた。
「おう、魔女め私の礼司に悪人呼ばわりとはいい度胸だ」
ぐわし!
ぬが、いきなり背後に寄り掛かる様に肩組んできた。
めちゃくちゃ力がある、そうだステータスって奴だ、説明不要、数字で管理された謎の力だ。カタローッパ最高!
「やめろ! 青髪女! 兄貴から離れろー!!」
青髭みたいにいうのやめろお前ら。
名前なんだっけこの黄緑頭、作者も礼司もあんまり印象にないんだよな、まぁ金に群がった手下以上の印象ないしな。
アレでももしかしてこう言うやつがこのカオスな状況をなんとかしてくれるんじゃないかな? 顔もなんか女の子みたいだし、うん、ヤンキースタイルをやめさせて女装させれば愛でることもできる。
そういうジャンルあるし。
もうホモでもいんじゃないかな?
「絶対お前をホモにはしないぞレージ?」
「え?」
心を読まれた!!
「さっきからあのカボチャまんじゅうをいやらしい目で見やがって! お前は昔から優しいな、私をいじめてた奴を懐柔して私のためにホモになろうとしてるんだろ? 私はお前の全てを知っている! お前は優しい! お前は嘘つきだ! ええいもう素敵だ! 子供は何人作る? 産むのはお前だ!」
何言ってるのこの子?でもさっきからイケメン。
「勇者は混乱している! 目を覚ませ竜子! 俺とお前はただの幼馴染み! アイツらは俺の手下! 名前も思い出せないただの無意味な存在! そしてお前がさっきから魔女って言ってる陽菜ちゃんはお前を真実の愛に目覚めさせるよm……!」
「うるせぇ!! 行こう!!」
え?
ばきょ!!!
肩から腕を腰に、いつの間にかお姫様抱っこされた。
俺をお姫様抱っこした。
リューコが白翼を出して空を飛ぶ。
美少年手下、ヒロインを置いてけぼりにしてざまぁされるはずの魔王の俺を抱いて空を飛ぶ。
そしてヒロインとその他大勢を入り口を破壊した屋上に置いてけぼりにする。
あいつらどうやって降りるねん。
「あがっ………!!なんだこれ!」
「おお、可愛い声を出すじゃあないか礼司、流石は私の嫁!」
「声が上擦ったんだ!!ってか“嫁”は“息子の妻”だから日本語間違ってるからな!」
「ほう、じゃあ自分が私の妻になると認めるんだなレージ!」
言ってることがバグってる、目がやばい。
真っ金々に光ってる。
完全に混乱してやがる。
「お、落ち着け! 今は授業中だろう? だからな、戻ろう! な?」
早漏勇者 (♀)はにんまりと俺を見つめる。
「こまけぇこたぁ良いんだよ! それに授業など、くくくく、今の私はこの世界を支配できる力を持っている。学力など不要! 異世界の人類の命運?知った事か!! お前を孕ませる事に比べればどうでもいい雑事! さぁ今から愛を確かめ合おう! 私の子を産め!!」
さっきから男らしい!! でも頭おかしい! 学力大事! 特に保健体育!
「ふふふ、私は勇者。いつの日か魔術で男のままでもお前を孕ませてやる! きっと異世界にそういう魔術がある筈! (希望的観測)なければ…………私がもうホモのままでもいいんじゃないかな!!?」
嫌だ! こんなの望んでない! ああしかもこれ俺の作ったクソ小説の一番いいシーンでヒロインをお姫様抱っこしてリューコが「もう百合でいいんじゃなかな?」って言うシーンじゃねぇか! ふざけんな!! 汚された! 汚いホモイケメン女主人公に作者の百合ドリームが汚された!!
「飛ぶぞ? 舌を噛むなよ?」
どきゅうううううん!!!
急加速してどこかに連れていかれる。
音速でバリアを張りながら俺を、魔王になった俺をホモになった女勇者が誘拐した!
「あが! ぐひぇっ! んぎょお!!」
ぶっ飛んで、空を飛んで、少年漫画の様に滑空する。
どこに連れて行かれるのか、だが安心してくれ! 俺は生まれついての百合厨、絶対に大事なものをこの混乱した勇者に奪われたりしない!
絶対だ! フラグじゃないぞ!!
違うぞ!!
即落ち魔王は早漏勇者から処女を守る事ができるのか!!
待て!! 新章 第二章《許して下さい! なんでもしますから!!》ん?
次回!! 過去編をお送りする!(予定3話)
転生のターン Reincarnate 1/3
☆こんにちはオニキです。
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