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第04話 「魔女と勇者と魔王」

「やめろ!! ハルナ!」


 俺との間に女勇者が割って入る、一瞬で、だ。


「!?! 竜子ちゃん!」


 先に言っておくと陽菜ちゃんがナイフ持ってるのは普通なんだ!この世界だと火星の治安が悪くて親に武器を持たされてたんだ、だからナイフを持ってても…………なんですかその出刃包丁? あれー?


 陽菜ちゃんは出刃の鞘の代わりにしていたであろう包帯を風に靡かせ、存在感のある鋼の出刃包丁をこっちに慣れた手つきで切先を向けていた。



「竜子ちゃんは騙されてるのよ!!? その男は悪の気配を持ってる!!」



 そう!陽菜ちゃんは俺の自演イジメの真相は知らなくてもそう言った人の悪意を感じ取り歌の力で癒す能力を持っている。


 だから目を覚まして竜子! 俺は悪人さ! ざまぁされるキャラなのさ!!



「ハルナ……いや花陽菜! お前は私のなんだ? お前は数日前に転校してきて出会ったのは昨日今日だろう? 確かに魔族からは助けたけどそれだけの事、レージを悪人呼ばわりされて黙って居られるわけがあるか!!」



 正確に言うと転校してきたのは3日前、ハルナちゃんが襲われて助けたのは2日前、そして仲良くなったのは昨日!! つまり百合カップル成立! Q.E.D.-証明終了- この程度の事作者の俺にかかれば簡単です!!


「ぬぎふ!! リューコちゃんをそこまで洗脳してるのか、まるで魔王!!」


「ハルナ、貴様!!」


 あれ? この子っていきなりこんな事口走るほどこんなにやばい子だったっけ?

 確かにナチュラルに百合発言はさせてたけどそれって女の子が好きな女の子には当然の行いだよね? ゆりゆりするのは女の子の義務だよね?




 読者 (気になる所)

「なんやマジでこの陽菜とか言う女、絶対心に病みも闇も抱えてるわ、絶対魔王の配下とかそんなのだろう? もしくは歌の力(笑)とやらで人を洗脳して自分を綺麗に見せてるやっばい奴」 byホセ


 作者 (返信)

「百合以外の解釈は死すべし慈悲はない」





 え?


 ヒロインは口を大きく開けている。


『竜子ちゃん、貴女の敵はソイツよ』


 放たれた言葉は異能の雰囲気を持っていた。




 〈異能・歌〉 ランクF

 声の振り幅を変える異能。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 その際のランクは未知数。(現在の規格ではもたらす直接的被害が基準のため)





「何を、何を言って……」


 目が、暗闇に堕ちていく、洗脳が始まった様だ。

 嗚呼、そうかそう言うことにしたいのかよ! こんなの俺の作った作品の世界じゃねぇ! こんなの毒者の世界じゃないか。



「やめろ!!!」


 そのまま何もしなければ俺の狙い通りに百合エンドだ。百合乱暴エンドだ。

 その方が俺にとっては、作者にとっては願ったりの展開だった。みんなには内緒だがそういう展開は大好きだ。


 だがそれは俺の、今の俺の本当の願いじゃない。


 礼司としても、前世としても、そんな外道をヒロインにさせるなんて許せない。


 ルールを守って正しくゆりゆりするんだ!!


「? やめろ? 何言っちゃってるんですかぁ? 礼司さぁ〜ん?」


 洗脳を俺にもしてきているけど、洗脳はそれをしてきているのを理解していればかかることはない。

 何故なら洗脳術は被験者の協力が必須だからだ。心にバリアをはららればかからないのである。


「洗脳なんて止めるんだ!」


「!?? …………お前っ、なぜ私の洗脳スキルを知っている?!!」


 何故って、嗚呼そうか。


 そんな能力があるのを隠さないわけがない。

 異能と現実のスキルの組み合わせ自体珍しいしな。

 作者である俺にも知られないはずの、自分の心すら洗脳したと言う事になる。


 いや…………もしかすると分からずにやったのか?

 ごく自然に、そんな洗脳能力があると知らずに自分を洗脳して自分の能力を隠してきた。


 そんな自分でも知らないことを今俺に暴かれた。

 だから驚愕している。


 もし今、俺が止めなかったらこの子は、魔女になって居た。

 いや、この子は僕の作ったこのヒロインはヒロインとして成長させないと、そうしないと魔女になってしまう。


「話せ、礼司。何故お前は私に洗脳の力があると…………そんな事を知っているんだ??!」


 計算も何もなく、知らなかったから洗脳能力がある事を否定もしない。

 成る程、コレは俺の予想は当たりと言うことか。

 ならば。


「花陽菜、君は聖女になるべきだ。ずっと君を見てきた、君の未来は魔女じゃない!!」


 コレで良いはずだ、ストーカーみたいだけどいきなり「この世界の創造主(さくしゃ)です!」だなんて言っても異常者扱いされて終わるだけ、だったらプロファイリングでも人間観察で見破ったちょっとした有能だと思われた方が後々いい展開になるはずだ。


「は? キモ…………は! リューコちゃん?」


「そうリューコ、ん? 竜子?」



 ずぉん!!


 更にさらに凶悪、冷たい殺意が俺ではなく眼前のヒロインに向けられて居た。


 そう、竜子ちゃんだ。


「りゅ、リューコ? どうしたんだ? お前、そんな顔を、え? 何?」


 リューコちゃんは凶悪なオーラを放っている。

 嫉妬の表情である。



「礼司ぃいい? お前そんな女が好きだったのかぁ? ああん?」



 何故か、涙を浮かべて睨みつけてくるも害意は感じない、むしろなんだろう、今にも泣きそうだ。


 今の俺は礼司だ。

 いじめられてた時のリューコの表情は知っている、泣いた顔も笑って顔も知っている。


 だから、何故いじめられっ子に向けて居た怒りの表情を今、そのヒロインに向けるのだ??!


「な! リューコちゃんは私に向かってそんな殺意を向けるの!!?」


「うるさいぞこの泥棒猫、レージが目の前に居なかったら貴様なぞ殺してるところだ? まぁあとでぶっ殺すがな」


 リューコさん!!?


「何、を、怒ってるの? 俺はただヒロインを救おうとしただけで」


「ヒロイン??! そうかそうか! お前はこんな魔女みたいなビッチが好きなんだな?! オマエガソコマデ心酔スルトハ、サテハ洗脳サレテイルナ?」


 獣の、野獣の顔になった。

 俺の設定だとキレた竜子に洗脳系統の力も何も効かない。



 つまり俺も死ぬ。



「ま、待て! 意味がわからない! 俺が陽菜を好き?? 違うぞ陽菜ちゃんを好きなのはお前だろ!!」


「!!? 何故貴様が私とリューコちゃんの仲をとり持とうとする?」


「俺は! お前と竜子にゆりゆりしてもらいたいんだよ!!!」




「「は?」」



 野獣の顔が冷めて一瞬でいつもの顔に戻る竜子と慌てて自分がレズだと言う事を隠そうとして恥ずかしがってる陽菜ちゃんの対比が萌える。


 しかしここは創造主、いや二人を作った父親の立場として言わせてもらおう。


「そんな邪険にしなくても! お前らふたりは結ばれる運命なんだぞ!!」


 断言したった!


「レージ…………どうやらこのクソビッチに洗脳された様だな、魔王を籠絡するなどなんという魔女、まさしくこの世に生まれた邪悪、そうか私はお前を殺すために生まれたのだな!!」


 嗚呼、今更人殺しをした罪悪感の責任転嫁を嫁に!!(俺はこの世界の作者でリューコの父のようなモノ、()()()だから嫁と呼称する、間違っていてもだ!!)


「違う!! 私は貴女が好きなのよ!!」


「残念だが、私はノーマルだ。変態」


 拒絶、百合告白を穢れたものを見る目で絶望の拒絶を見せつけた。

 ああ、前世の俺が思い描いた情景が脳内再生される。



 白銀の片翼の魔術で大空を飛ぶリューコ、そしてお姫様抱っこされたハルナ、二人は異世界転移で来させられた敵地で、愛を確かめ合う。


 リューコの羽ばたいた羽根がキラキラと舞い落ちて二人を祝福するんだ!




「クレイジーサイコレズ、ぶっ殺す」


「ちっがぁああう!!」




 殺意満々でエクスカリバー村正を向ける、だが俺はその矛先の陽菜を守る形で遮る。


「退け、お前ごと斬ってもいいんだぞ!!!」


「勇者がそんな事してんじゃねぇ!!」


「!!? なんでお前がその事を!」


 あ?! その事を知ってるのは言ってなかったっけ? 変に疑われる。


「それは、その……」



 だが大丈夫、このレージという男にはちゃんと魔王になるための資質がある様に設定で調整している、そしてそれは俺自身の記憶で確認済みだ。


「俺は、俺の母さんは異世界人なんだ!」


「な、何!?初耳だぞ??!」


 ざまぁ要因にはそれなりのウザさとしつこさが必要だ、なおかつ主人公に対抗して読者に気持ちよくなってもらうためにそれなりの才能とスキルもあった方がいい、俺は作者(ぜんせ)の時礼司をリューコに力量に合わせるために出自を後付けしてズル、いわゆるチートをプラスした。


 つまり主人公の劣化コピーの様な存在にしたのだ。


 だから礼司にはそれなりの過去があったりする。





 読者(気になる所)

「この礼司くん何気に辛い過去背負ってない?ざまぁ要因にするには可哀想すぎたんだが?てかこいつ実質主人公じゃね?」 byアニマ


 作者(返信)

「イケメン死すべし慈悲はない」




「俺は死んだ母さんから異世界の事を聞いている、世界の壁のことも、魔法の事も、そしてあの()()()()()()()()()()()()()()()()()事も、何もかも。そしてお前が、勇者の竜子ちゃんがどういう辛い運命を背負っているか知っている」


 そうだ、母さんから聞いたって下りは嘘だけど俺は何もかも知っている。

 だって俺は作者、この物語の事を100%知っているいわば知識チートという概念そのものなのだから。





 残された武器を使って礼司は屋上から逃げる事ができるのか?!!

 答えはこの章の名前が知っている!!!



 次回、第05話 「100%を越えるもの」



☆こんばんはオニキです。

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※次回から16:00以降の投稿になります。

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