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第13話 「やっぱりホモじゃないか!!」

「何を言ってるんだレージ?お前みたいな奴にそんな事はできない」


「いや、出来る。俺は朔者。この世界を歪めた張本人、今更世界征服なんてチョチョイのちょいさ」


「無理だ。だってお前は()()人を殺せない」


「殺せる。というか作者としての自覚が出た瞬間から俺は魔王を殺している、だから今、世界の半分を征服するという無様を晒しているんだ」


「違う、あの男を殺したのは私だ」


「嗚呼そうだな、俺の自殺の意思を聞いて躊躇なく殺した。お前は俺を助ける為剣を突き刺した、つまりは俺に(そそのか)されたんだよお前は」


 俺はこの世界の異物だ。本来のこの世界の流れがあった筈、ソレを俺という存在がクソ小説のシナリオ通りに歪めてしまったんだ。


 だから父親の悲しみも、母さんが死んだのも姉と妹達が悲しいのも何もかも全て俺のせいなんだ。


 こんなこと知ったらそりゃ自分の作った勇者に殺されたくもなる。


 地球の猿どものせいにしてた全てが俺のせいだったんだから。

 だが俺が死んだらリューコは狂うらしい、もう狂ってはいるが。

 だったら最後の最後までこの世界と喧嘩するだけだ。


 最後とは俺の死だ。


「俺は魔王を殺した魔王として誰かに倒されるその時までこの世界で足掻いて見せる」


「そのための世界征服、もしかして友達を助けるとか考えてるか?」


「嗚呼、そうだな。リューコお前は知ってるんだよな〈異世界先遣隊派遣〉の話を」


「まぁな、私は断ったが」




 異世界先遣隊。




 この世界の人間も馬鹿じゃない、自分らの異能がどういうものなのか考えていなかったわけでなく、異世界の存在を少しは把握している。


 俺の母さんは異世界人の血族。

 そして異世界の事を伝え聞かされていて、その事は全てオヤジは知っている。



 愚かな事にその異世界をも占領しようとしているのだ。



 オヤジとその下の権力者達は科学兵器を過信し過ぎている、少し考えてみれば分かるが異能者の強みは()()()()()()()()使()()()()だ。


 そして異世界人の事を科学を知らない田舎者か何かと勘違いしてるらしい、俺の前世の作ろう読者みたいだな。



 残念ながら向こうの世界では科学は通用しない。



「レージ、しかしお前は何をそんなに危惧しているんだ?確かにあいつらは魔術も魔術に対する戦い方もこの世界の人間とは比較にならないくらい熟練していたがそんなもの科学兵器の前には無意味だろ?」


「ん?ああそうか、設定をまた読み違えていたか俺は」


「?」


 竜子は()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そういえば俺もこの設定を思いついたのは異世界編の途中だったしな。



 礼司が異世界に科学兵器無双しようとして無惨にやられるっていうエピソードだ。



 そうだ、ざまぁってやつさ。


 何も考えず適当にその場凌ぎで書いた展開だったけど受けは良かったんだよなぁ。




 異世界で科学の常識は通用しない。




 爆薬が爆破しない。

 科学的に製造した日本刀が斬れない。

 化学繊維が引っ張っただけですぐに切れる。

 単純な毒薬は配合可能だけどこっちの世界での化学兵器と呼ばれるものが無毒化される。


 手榴弾で殺そうとした魔族に仲間を殺されて逃げ帰る、そして憎しみで〈強奪〉という異能に目覚めるんだが今の俺にそんなものはないし、分かっていて異世界に突っ込ませる気はない。


 そして何も知らない今のうちに働きかけて派遣をやめさせる。


 あとはこの魔王城の問題だけど、いやソレは後回しだ!考えたくないっ!


「……女勇者、焚ヶ原(たきがはら)竜子(りゅうこ)よ俺は何よりまず異世界先遣隊の話をぶち壊しにしたい、何故なら無駄にこの世界の有能な異能者が死んでしまうからだ、彼らは我が魔王城の配下に最も相応しい人材。父の無策で死んでしまうには惜しいのだ」


 って事にしよう。

 嘘じゃない、ぶっちゃけ今のSランク異能者は異世界人の村人レベルだけど正しく教育すれば魔人連中と肩を並べるくらいにはなる筈だ。


 まぁそんな恐ろしい事にはしないけど。


 ソレに人助けとなれば女勇者は断れない。



「悪い顔をしているなレージ」


「悪巧みをしない魔王なんているものか」



 心の声が聞こえないと分かった今、お前がどんなにブラフを効かせても無駄だ。

 まぁ、でもそのおかげで余計な情報を知らずに俺の目を覚まさせてくれたんだけどな。



 あと百合百合カップルはまだ諦めていない、絶対女勇者をヒロインとベロチューさせてやるのだ!!



「!! お前またあの魔女の事を考えていたな! しかもかなり卑猥な妄想だった! ユルサン私というホモがいながら他の女に現を抜かすなど!!」


 うーん中途半端に読むからこういう事になるんだなぁ。


「違う、何もかも違う、違うけど陽菜ちゃんも救助対象だよ」


「なんだと?確か派遣の条件は中高等部のS〜Bランクの異能者のはずだ、あの歌うしか脳のないカス異能魔女のFラン馬鹿女じゃ選抜もされないはずだ!!」


「普通にフルネーム言った方が楽じゃない? その代名詞。あーとFランだっていう彼女の評価は数日中に改変される。異能スキルの判断基準が一新される、だから一気にBランクくらいになってしまうよ」


 歌を強奪してしまえば、妹に強奪の異能がある事は確認済み。


 いや無理か。

 声の力があっても歌唱力で陽菜ちゃんに妹が敵うわけがない。


 強奪スキルは無条件ではない。


 先ずはラノベによくある結界という空間を作り出す、これだけで魔力をかなり使う。

 そして強奪したい相手を結果以内に入れて自分も入り決闘をして相手の強奪したいスキル、魔術、異能を正しい戦い方で相手に勝つ。



 つまり相手の武器で相手より上手く使わないといけないのだ、しかも魔力をかなり消費する。



 そういえば俺は魔力は無駄にある設定だったよな?

 そこら辺の掘り下げとかよくしてなかったけど。まぁいいだろうそこら辺はやぶ蛇だ、もし俺の忘れてる毒者どもの感想に余計なものがあったら妙な事に巻き込まれかねない。





 読者(気になる所)

「わかったぞレージきゅんはきっと勇者の末裔だ!ほら確か母さんが異世界人の血筋なんだろう?」 byホセ


 作者(返信)

「ざまぁサレ要因に慈悲はない」






 思い……出したぁ……ちっくしょう!


 絶対に異世界に行くわけにはいかなくなったぞ! これでもし勇者の血が目覚めたとかになってみろ!

 このクソ小説世界が更にめんどくせぇ事になる!


「ん?今なんか思い出して私に隠そうとしたな!! そういうのはわかるんだぞ!」


「い、いやなんでもないですよ? ヘーキヘーキ」



 そうだ、リューコは神の作りし勇者そのもの。

 何世代も重ねて血の薄くなった勇者なんて凡人と、アレ?


 この設定って確か……そうだ、王族。


 最初の勇者とお姫様の子供、ソレが脈々と受け継がれ王族の血に眠る。


 うわぁ、なんだこれ絶対あっち行ったら殺される流れじゃん。

 いや、ふむだが異世界の王族にも隠された王子キャラがいるんだよなぁ実は。


 あいつはリューコを導く友達サイドだからすっげぇいい奴なんだ。


 いざとなったらあいつを頼ろう、リューコの男バージョンみたいな見た目だけど中身は全然違うから。


 男だけどホモじゃない。安心。


「ぬ! また男で妄想している!! しかも今度は私を男にした様な見た目の男だと!! この変態!! やっぱりホモじゃないか!!!」


「ホモじゃねぇ!!」


「ホモは嘘吐き!」


「その論法やめろ! 言い逃れ不可能じゃねぇか!」


「逃れ? じゃあやはり()()()()()()?」


 ん? 嗚呼なんだ、玲奈か……え? 荒縄で拘束していたはず! すっかり忘れてたけど!


「大丈夫か?!すっかり忘れててごめんな玲奈!! そしてお兄ちゃんはホモじゃない、どノーマルだ!!!」


「んふ♡ 忘れるなんて最低です♡ お兄様、私という妹がいながら女勇者と密談するなんて! 私を拘束して! 寝取られっ❤︎ んっ…………もう! お兄様の意地悪!」


 今妹の口から不穏な言葉を聞いたが忘れよう、よし忘れたぞ。



 いつの間にか拘束されたはずの縄を解いて俺の横に、遠慮なく俺に抱きついて行く。


 妹だから性的な感情など一切湧いてこない。

 というか純粋だった頃の玲奈の幼少期が脳内再生されてすごく悲しい気持ちになる。まじで。


 こんなビッチになってほしくなかったよお兄ちゃんは。



この妹、狂犬。純愛過激派の兄の脳を破壊したい。


次回、第14話 「厨二設定は忘れた頃にやってくる」



☆こんにちわ、オニキです。

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