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追加エピソードです。
作中の作者の作ったものです。
異世界にて始まりの勇者の修行で真なるエクスカリバーを会得した女勇者は、魔王となった〈強奪者〉芦崎礼司の元に先陣し光の速さで魔王城を攻略していた。
黒い金属で編み固められた魔王城内はとても大きくとても暗い、だが女勇者のオーラの輝きによってその不気味な城の構造は照らされていた。
まるで獣の骨だけになった剥製を内側から見た様な、胃の中にでもいる様な不気味な構造だった。
そんな中、女勇者は部下の魔族を全員倒し、広大な魔王城に、その魔王の間にたった二人。
魔王と女勇者がたった二人だけだった。
「ま、まさかお前がここまで恐ろしい力を持っていたとはなぁ!! 今からでも俺の味方にならんか!! 幼馴染のよしみで!!」
「くどい! もうお前は私の敵だ!」
黒いローブに身を包み悪虐の限りを尽くした魔王、彼は元々は異世界の人間ではなく、さまざまな運命の悪戯で今ここに立っている。
「くくく、この形態になるまでお前の仲間を何人屠ったか分かるか? お前如きにこの私は倒せない。お前の新しいエクスカリバーもまた〈強奪〉してやろうぞ!」
その言葉を聞いた女勇者はただ目の前の魔王を見つめ眉間に皺を寄せる。
セミロングサイズの光り輝く青髪はオーラの激流によって立ち上がり魔王を殺すスタイルに移行した事を示していた。
その手には一本の剣があった。
神々しい白一色のシンプルなデザインのつるぎ。
だがそれは再生の力を持つ剣だ。
「…………礼司、なんでお前と私が同じ世界で生まれたのか、今わかった、きっと私はお前を殺す為にお前の元に生まれてきたんだ」
初恋、だった。
だが初恋とは叶わぬもの、彼女はもう新しい恋、否!! 真実の愛に目覚めている!!
「お前、俺のことが好きだったんだろ? 今だったら正妃にしてやってもいい、世界の半分もあげよう! だから私のものとなれ! りゅうこおおお!!」
更なる魔獣化、目がヤギの目に、肌は蛇の鱗を纏い、肉体が強大に、完全にモンスターの様相になっていく。
「もう遅い、あの世界を追放された時に聞かされていればきっと心が動いていたかもしれないが、今のお前にはなんの魅力も感じない。さらばだ、礼司」
「死ねぇええええっ!!りゅうううこぉおおおおおっ!!!!!」
ザンッッッ!!!
一刀両断。
音速での踏み込み、ただ奪っただけの男に対応できる速度ではなかった。
魔王の首を切り落とした。
(さようならだ、初恋の人)
縁を断ち切るかの様に、真なるエクスカリバーによって真っ二つにされた。
「ば、バカなぁ、奪え?ない?何故?」
首だけで話すその姿はもう既に、幼馴染みが魔物になってしまった事を物語っていた。
「奪っているさ、お前が奪った瞬間に復活するんだこの剣は、だからこその絶対再生。本来はお前に使うためのものではなかったがな」
そして真なるエクスカリバーは魔物には使えない。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ」
断末魔の醜い叫びと共にその首は光の粒子と共に分解されていった。
「竜子ちゃん!!」
魔王の間に、ひとりの美少女がやってきた。
セミロングの黒い髪、清楚な雰囲気の柔らかい表情の聖女とまで言われた歌姫。
「陽菜! お前ついてきたのか!」
「私の竜子ちゃんが戦ってるのに一人でただ待ってるわけにはいかないもの! でも、もう終わったのね? 全く、いっつも速んだから♡」
「ああ、私はいつでも最速だ、特にお前の前では誰よりも、な。さぁ行くぞ? 私の愛おしい人」
そのまま熱い口付けをしてヒロインをお姫様抱っこし大きな翼を、白い翼を腰から生やし優しく飛んでいく。
ヒロインのために。
この世界のヒロインが悲しまない様に。
そして最も愛する女の為に魔王城から飛び立った。
To Be Continued………。
作者「コレがハッピーエンドと思っていた時期が俺にもありました」
次回、 リアルオーバー 転生 ラブ ざまぁ
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