世界はいつでも理不尽
だからテメェみたいな奴があっちに居たら問答無用でチートでぶっ飛ばしてやる!!」
そう言って、そう思って、そう考えて、俺はアイツに中指を立てて導かれるまま、というより天上の光の先に吸い込まれていった。
ぶっちゃけやぶれかぶれだ、だってどうせ俺に拒否権がないから。
腐るほど見てきた展開だ、あの女神を自称する少年もそのノリだった。
だから多分、アイツは物語を作ろうのノリを知っている。
何か狙いがあるのだろう、親切にする人間などあっちの世界でも居なかったのだから俺は信じない。
転生し終わった俺はそのあと空虚で真っ白な世界であの少年が何を言ったかは俺は知らない。
つか最後まで言わせろよ。
その後、俺は闇に飲まれた。
そして何も見えない無駄な時間が過ぎて行く。
それがなんなのか俺はなぜか理解できた。
これは世界を作る感覚、天文学的に言うならビックバンって奴だ。
世界を初めて俺の物語を作る。
小説の様に気がついたら転生してましたって楽な始まりじゃなかった。
天文学的には宇宙の想像とかそんなのを普通の人は想像するんだろうけど俺は違う。
まず俺は地球とか地動説とかみんなが常識と言ってることが大っ嫌いだ。
世界の法則と命の輝きが数字となって現れる。
こういうの全てが魔法ってやつの正体なのだろう。
こう考えると死ぬ前の世界で盲信されてた科学って奴が胡散臭く見える。
あれは観測される現象を後付けでこじつけるズル、つまりチートだ。
そんなのは間違ってる、やはり魔法ってやつは存在してたんだ、チートがそれを見えない様にしてた。
今の俺ならそれがわかる。
世界の創造をなす神の様な存在となった俺なら、科学なんてものはチンケな学問だったのだ!!!
「まぁ、そう言っても科学で満たされた世界は心地よかったよな。今考えれば」
確かに日本にいる凡俗どもは俺を差別して卑怯にも自分が罰を受けない様にルールを守って俺を蔑ろにだけしやがった。
全く、そんなに常識って奴が大事なのかあいつらは!!
まぁいいや、もう俺があいつらに会う事はない。
俺みたいな天才があんなゴミと一緒に工場で仕事をしてたのが間違いだったんだ!
こんな事にならなくても俺は一人立ちしていた。
本当、運が悪いぜ。
時間を進めて戻しての繰り返し。
それを全部パズルの様に組み合わせて俺の小説通りの世界を作る。
ぶっちゃけぬるい作業ゲーだ。
制限時間はない、俺が考えたくない時は時間が止まる。
なんなんだこれ。
一応作った世界の中に入れるらしいけど、そうなると人の体を奪って転生するしかないらしい。
そしてそれをするとそいつの一生が終わるまで抜けることができない。
「めんどくせぇ、てか乗り移るとか人道に反する。悪霊じゃねぇかそんなの」
暗闇の世界に球体の命達の塊。
魂の筋が無数に別れて伸びてその球体の形を作り世界を作っていく。
そして俺はようやく一千年前の世界を作るに至った。
「ジンの世代、か。ここは丁寧に、しかしきちんと思いを踏みにじらない様に作らないとな、だってあいつの正体は」
どうでもいいはずだったそのゲームに俺は夢中になっていた。
だって自分の作った小説の世界が映像として現れている。
これが嬉しくないやつがいるわけがない。
それにしても無駄に上手くいくな?
もうちょっと難航するかと思ってたんだけどここ何千年かは時間を戻すこともなく思い通りに進んでいく。
まぁ小説の世界を全部頭の中に叩き込んでるからな、俺の場合。
だからかな? まぁ上手く行ってるのだからあまり疑問に思っても無意味だな。
取り敢えず殺し合わせよう。
この世界に起きてることは俺には関係ない。
確かに俺が作った世界だが愚かな人間とはどこにでもいる。
そこまで俺のせいにされては敵わない。
世界はいつだって理不尽なんだ。
そこでどんなに人が苦しんでいようが俺の知った事ではない。
俺だって民衆という凡俗どもに差別されたんだ、これで、これでやり返してやった様なもんだ! ざまぁ!! ざまぁ!!! ざまぁ!!!!
そして急に目の前に赤いステータス画面みたいなのが現れた
[警告]
これより先はあなたの小説の世界になります。
[強制イベント発生]
これより先は強制的に転生が発生します。
2人のキャラクターの中から選んでください。
①焚ヶ原竜子
②芦崎礼司
他のキャラでも可能ですが、上記2人にする事を強くお勧めします。
ああ、なるほど。
これが俺の転生物語の始まりか。
よくありそうな物語だ。
物語を作ろうの中からならランキングに入るには、ちょっとまどろっこしいかな?
もっと分かりやすく流行りに乗らないとランキングどころかただ時間を奪われる小説になっちまうぞ。
って、これは小説じゃあなかった。
「こ、こんなことがリアルで起こってたんだったな。ははは、常識外れすぎるぜ! こんなの、こんなの望んでねぇよ。馬鹿野郎が!!」
多分これまでの数千年のゲームは、あのガキの力だ。
それをまるで自分の力みたいにイキってガキみたいに神だのなんだの言ってた。
全く馬鹿らしい。
こんなの俺の馬鹿にしてた科学と一緒だ。
もらった力で後出しで操って、自分が殺したんじゃないと誤魔化しながら自分の好きな世界に作り替える。
「くだらないっ!! 本当にくだらないっ!! 俺は許さない! あのガキがどこにいるのかわからないがあいつの思い通りになんかなってたまるか! 俺は選ばない! 強制だと? 知った事か! 俺は悪霊になんかならない! 拒否する!!」
[警告]
・強制イベントを拒否しますと2人の中の無意識的存在となります。
・貴方如きの意思の力でそれに絶えられるとは思いません、さっさと悪霊でも何にでもなって下さい。
「けっ!! やっと本性を表したなクソゲーが! 俺は反逆する! 俺は俺だ! 俺は誰の思い通りになんかならない!! 俺はお前らの……………」
ぶつんっ!!
また俺の意識は別の何かに移送され途切れてしまった。
次回『叛逆の意思』
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