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最終話『俺たちの戦いはこれからだ』2/3

「あー違うぞ竜子、お前らわざと誤解される様な言い方をするな。単に俺の留守中お前らがこっちの世界の魔王になるってだけの話だろうが」


「ああ、そうか。礼司の姿で魔王をやるんだもんな。確かに魔王になった様なもんか」



「「「「いいえ違います!!私たちはお兄様が向こう側に行ったらこっちの玉座を奪います!!」」」」


 台本でもある様に同じ声で4人同時に喋っている。

 変なポーズを決めながら兄を指差して挑発している。


「え? ガチの反抗期?? なんでだ! お兄ちゃんの何がそんなに気に入らないんだ!! 俺はこんなに愛しているのに!! 魔王になるなんてお兄ちゃん許しませんよ!!」


 玉座からずり落ちる勢いで動揺する。

 この魔王、すごくみっともない。



「あーうん、実を言うと私達は魔王になりたい訳ではないのですけど、心構えというか仮にも玉座を預かるのですから野望を持たないと、お兄様に追いつけないと、思ってまして」


「玲奈! そんなのなくていいんだ!! お前達は何も悪くない!お兄ちゃんのワガママに付き合わされた被害者なんだよ?? だからお兄ちゃんを見捨てないで!!」


 この兄、妹に見捨てられないために必死である。

 蚊帳の外にされた女2人はそのシスコン具合に若干引いて遠い目になっている。


「巻き込まれた訳ではないんですよ、お兄様」


 テレポートの妹、玲音が兄に告ぐ。


「玲音」


「私たちは、お兄様に追いつきたい。私たちはお兄様達が見ている景色を見たい。それにこの世界は間違っていた。それを気づいていて、私は、何もできなかったのですよ? だからお兄様がその殻を破ってくれたのです!」


 胸に手を当て訴える、きっと彼女はフラタニアと見てきた景色がある。

 そしてこの世界の裏側を見てきてこれまでの全てに加担してきたのだろう。

 父親を殺してでもやらなきゃいけないことがある、しかし自分1人では何もできなかった。

 兄の魔族としての力を利用しないと何もできないと理解していた。


「……………玲音そうじゃない、()()()()()()()()()()()()。誰に対しても正しい政治なんて反逆者を殺し尽くした恐怖政治しかあり得ない。俺はそういう魔王にはならないつもりだが、きっと俺は世界中の大半の人に反逆される王になる、だから嫌になったらいつでも言ってくれ、俺はここに戻ってくる」



「「「「お兄様」」」」


 その時はまた人を殺す時。

 虐殺をしなければならないのかもしれない。



 絆で心を縛る。

 わざとでないにしろ流石は魔王と言ったところである。


 だが若干一名、玲音だけは反逆の意思を持っていた。


(望んでこうなったけど、この人にもう魔王なんてさせてはいけない。そんな気がする、私は、この人が好きだ。だからこの人を引き摺り下ろす、例え何年かかってでも!)


 その意思を竜子は見ていたがあえて何も言わない。

 その気持ちは礼司のためのものだから。


(そういう考えも有りだな、しかし玲音ちゃんは姉妹の中で一番礼司思いのいい子だな、腹黒ではあるが)


 そして、僅かにその腹黒さに同意できることでもあったから。


「それで? 礼司、具体的にどうやって向こう側に行くんだ? まさか『こんにちわ魔王です』と言って機密情報である魔術を教えろとでも言う気か? 誰でも知ってる事は教えてくれるだろうが恐怖政治では心を主体とした真の魔術は学べないと思うぞ」


 そう言いながらも竜子は金色の蛇眼を指差してアピールする。

 私の邪眼ならコピーできるぞと言いた気だ。


 しかし。



「そんな事する訳ない、一応あたりは付けてる。向こう側に行くのは俺だけではない、学生のSランク異能者を試験的にごく少数転移させる、その中に俺を混ぜる。全て内密にな」


「お前の顔はみんなに知られてるぞ? 魔王だとバレるぞ?」


「ふ、異世界側の人間は魔族になったこの顔しか知らない。こちら側の人間も似た様なものだ、有名な俺の顔写真って幼少の頃の顔だけだ、少し変装術を使っていけば大衆には分からんさ」


 案外そう言うものだ、時期王候補とはいえ異世界側にとってはただの人間、若い異能者にとっては偉い人の息子さん程度の認識だ。


「そこは大丈夫よ竜子ちゃん♡ 私の魔法で常に顔を変えてあげられるし♡ デュフフフ」


 ヒロインツラでゲスい笑顔である。

 そう、竜子は向こう側にいけないがこの女は行ける。

 そしてこの女はまだ魔王の妹化を諦めていない。


(これについても何か考えておかないとな〜〜〜とりあえずパイセンと2人っきりになるのを防がないと)


「魔法はなるべく使わない、それより変装技術で普段からの変装に慣れておかないとな」


「…………礼司、魔族という輩は魔術に長けているのではないか? 魔法で対抗しないと見破られるのではないか?」


「竜子、お前人の話聞いてたか? 他の魔術を知らない異能者を連れて行くんだ、いきなり魔族領に連れて行って全滅したら原作通りの展開になるだろうが、武器を持ち込まない少数交流だと言ってもそんな結果になったら何のためにオヤジをぶっ殺したか分からなくなる、俺らが行くのは人間領だ」



「…………人間領! ほうほう、つまりそれはあの魔族のムッツリホモが来れない場所だな!! よしよし、それなら安心だ、無理やりついて行くこともあるまい! ふはっはっはっはっはっ!!」


「ムッツリホモってまさかジンさんのことか? てかお前、まだそんなこと考えてたのか?」


「ホモ寝取られなど我慢できん!! そんな事になれば私は異世界もこの世界もぶっ壊してやる!!」


 明るくグッと手を握って強く語る。

 言ってる事は物凄く病んでいるが。


「だからさっきから怖いよ竜子さん!!」


 魔王はびっくりし過ぎてずり落ちる。

 座してなきゃいけない魔王がさっきから一番動いていた。

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