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Reincarnate 3/3

 あの女が転校してきてから妙な事件が頻発した。

 テラフォーミングした火星で見た火星で見たこともない巨大生物の目撃。

 嘘呼ばわりされてたけど、アレは俺も見た。


 巨大生物というかアレはドラゴンだった。


 校舎を包むほどの超重量の巨体が、その身体と同じくらいの面積の翼で飛んでいた。

 いや、無理だろ、構造的に飛べるわけがない。

 でも俺らの前で、高等部の生徒の前でそいつは現れたのだ。


 何があったかはわからないけど青頭の幼馴染と例の転校生が何かしたらしく、ドラゴンが撤退した。らしい。


 そして次の日、ドラゴン級のインパクトはないが学校に不審者が侵入したらしい。


 何人かが重軽傷を負って今も病院で容態が危ぶまれている。

 この騒動はどうやら幼馴染が、あの竜子が解決したらしい。


 そして昨日、時の止まった森林にてあの剣が竜子によって抜かれてしまったのだ。


 何かしらがあって抜いたらしいがそれが何なのかは俺は知らない。

 その瞬間、火星の人間は皆言い知れない不安が込み上げた。


 火星に住む100億の人間全てが、である。


 それはインターネットの伝播より早く中には魔王の復活だとか訳の分からない事を言った者もいるらしい。


 そしてその不安の渦の中心はこの封剣学園の高等部Sランク異能者専用校舎をであると、俺は確信していた。



 ◇ ◇ ◇



「その剣なんだよ?」


「お前には関係ない」


 俺と竜子は同じクラスだ、だから竜子もSクラスの異能だ。

 竜子は小さな頃は普通の女の子だった。

 珍しい青い髪の毛でいじめられる事もあったくらいだ。まぁ俺がけしかけたんだが。


 だが中学生からの竜子は別人だった。


 攻防速全てにおいて歴代トップクラスの異能。

 しかも一度見た異能を真似することができるという異能まである。


 異能、というより化け物だ。


 彼女がその気になればきっとこの校舎の全員を一瞬で殺すことが出来る。

 だから俺はあいつにも近づかない。同じSランクでもアイツは測定不能中の測定不能だ。


 あいつをいじめてた手下達も今は何も言えない、何か言って殺されるわけにはいかないしアイツらはBランクだしな。


 そんな化け物女が俺と同じクラスにいるのだけれど。


 大人しく学校の席に座ってはいるが例の剣を持っていた。


 紛失したはずの封印されし剣、誰にも抜くことのできなかった剣を持っていた。

 すごく長い、地面から肩ぐらいまでありそうだ。デザインは簡素で一枚のプレートを型抜きしたかの様な細さだが存在感が違う


 しかも鞘などない抜き身だ。

 一応目新しい包帯で全体をぐるぐる巻きにしていた様だがバレバレで何故か包帯が今解けた。


 異能者の中には武器を使う異能もありそういう人間は帯刀も許されている。


 だが竜子は素手だけで充分なので許されていないし、それは学園中の周知の事実だ。


 そんな化け物に剣など持たせられるわけがない。


「関係ないわけあるか! 大体それ封印されてた剣じゃないか?? そんな帯刀許されてないだろお前は!」


「許されてない? 許されてないからなんだ?」


 俺は知っている、この女は力はあるがそれをひけらかさない。

 その力で脅したりしない。

 知ってはいるが万が一があるから近づかなかった。


 だが。


「何……だと?」


「お前如きの力で私を抑えられるならやってみろ、今の私なら人殺しくらいきっと容易いぞ?」


 明らかな敵意、少し笑い邪悪なオーラを放っている。

 ションベン漏らしそうなくらいの怒気、その全てが俺が弱者の立場であるという位置付けを納得させるものだった。


 それ以上俺は何も言えなかった。


 


 思えば俺はこんなことの繰り返しだ。


 なんでこんな一貫性のない人生なのだろうか?


 母さんの事、オヤジのこと、復讐。

 姉と妹達の優先順位、そしてそんなに誰かのことを思えるのになんで俺は他人を傷つける事に全く罪悪感を持たないんだ?


 自分が嫌になる。


 復讐のために全てを犠牲にするわけでもなし。


 持っている力で悪の限りを尽くすわけでもない。


 かと言って完全に妹達のため、家族のためを思うなら地球の猿を皆殺しにするなんて考えるべきではない。

 なんでこんな半端なんだ俺は。




「す、すまなかった竜子」


「もう何も言うな、話し、かけるな!」



 この学園で2番目に強い俺が1番強い竜子に(こうべ)を垂れた、気のせいか少し竜子の顔が悲しそうだった様な気がする。

 いや気のせいだ、竜子が俺みたいなゴミを意識しているはずがない。




 ◆ ◆ ◆





 午後に差し掛かる時、俺は校舎の屋上でご飯を食べる習慣があるので妹の、玲奈の作った弁当を食べていた。


「あー昔のラノベの主人公みたいに突然竜子みたいな力に目覚めないかなー」


 多分俺はすごく贅沢なことを言っている、間違いなく俺はこの火星で一番つよい男でイケメンだ。

 抱いた女も数えてない。


 だけど竜子の前では雑魚だ。

 竜子を除けば俺は同年代の誰よりも強い。


 だが竜子にとって俺は『雑魚中で一番』と言うだけなんだ。



 竜子のとって? …………俺は?


 なんでこんなにあんな女の印象なんて気にしてるんだ?


「ああ、そうか俺気づいちゃったわ。俺……本当は竜子のことが好……」



 ギィイイイン!!!!


「んぐ、おえぇええっ!!!」


 吐いた、妹の作ってくれた弁当を吐いた。


 不味かったわけじゃないむしろ美味しい、だけどなんでか吐いた。

 脳が揺れる様な感覚に落ちて。


 おちぃて。




「思い出した」



 目がクリアになった、さっきからの違和感、空で音速を超える速度で戦う竜子と持っていた魔王を封印していた剣から出てきた初代魔王と戦うふたり。


 俺はこの世界の創造主、この世界はクソ小説に酷似した世界。

 そして俺は、そして俺はイケメンのサイコパス野郎に転生しこれからざまぁされる立場だ!!


 このままだと闇堕ちして場繋ぎの為に引き伸ばされて、七変化させられて作者(おれ)にもて遊ばれた挙句挽肉にされちまう!!


 生まれた恋心などすぐ忘れてしまう衝撃だった。


 そしてホモと化した竜子につけ狙わられる人生が始まるっ!!!


 次回、第二章 《許して下さい! なんでもしますから!!》


    第07話 「アイスティー飲む?」



☆こんにちはオニキです。

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どうかよろしくお願いいたします。


※次回から16:00以降の投稿になります。


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