第49話『49日』4/7
心が男とか関係ねぇ!!
よくみりゃコイツちょっと背の高いボーイッシュなイキリ女の子じゃないか、くっはー!!
顔の良い女が目の前にいて食わないわけに行くか!! 据え膳可愛いは愛でるべき!!
こっちとらこれが生き甲斐なんじゃ! ヒャッハー!
丁度今私の手には麻酔銃、よっしゃ準備万端やんけ! グヘヘ何が心は男だ、私の中指でメスに目覚めさせてやんよ〜♡
「丁度今私の部屋に美味しい紅茶の葉があるの、飲みにきなさいな」
私は体をビシッとして部屋の奥に案内しようと横に出す。
部屋の中には色んな強力 (意味深)な薬草がたんまりある。
医学でも知られていない野草だから見つかっても安心なやつ。
まぁ成分調べられたら終わりだけども。
意識を昏倒させるには十分な薬草だ。ふひひひ。
「なんで、お前いきなり真顔で鼻から血を…………??!」
つぅう〜〜っ!!
口の中が鉄臭いと思ったら私ったら興奮して鼻血出しちゃってたー☆いっけねー☆
「おおっと、服にも血がついてしまったわ。これは責任とって一緒にお風呂に入らなくっちゃぁあねぇえ??」
「な、何言ってんの?!」
道理で化粧品じゃない良い匂いがすると思ったんだ!
全くこんな大好物がいるとは私も世間知らずだね!!
何があっても此奴の処女は今のうちにいただく!!
あー! これじゃあ、ガキの言ってたレズ女に私がなっちゃってるじゃあないか?
でもこれは演技だからなー、仕方がないよねぇ!!
「と、取り敢えず中に入りなさいよ。積もる話があるんでしょ?!」
「ん? まぁその通りだけどさ、まぁいいや」
へっへっへ!
中に入れちまえばもう私の思い通りだ、覚悟しろよ。
ふっへへへ!
私の部屋に獲物がかかった。
カチャ。
鍵を閉めた音ではない。
食器をテーブルに置いた音である。
私は専用の窯でに出した昏倒成分の入った草茶をテーブルの上に出した。
これは予行演習、竜子ちゃんと致す前の予行演習じゃけぇノーカウントじゃあ!
「美味しいわよ♪」
「…………お構いなく」
オラさっさと飲め! 魔女の釜で効果と味を向上させた特別製やぞ! 魔力でコトコト煮込んだケェのぉお!!
「まず何から話せばいいかな? アイツとの出会いからか? いや、そうじゃないなそんなのは時間を無駄位するだけだ。簡潔に私とお前の利害関係をはっきりさせたい、アンタはあの青鬼が友達として好きで救いたい。そして俺はアイツを、魔王と言われている間違いを正したい」
何が“俺”じゃ! 女の分際で女の私にイキリ散らしおって! その茶葉飲んだ後はお姉様と呼ばせちゃるけぇのぉ!
「間違い? 事実として礼司は王であり父の盾一を殺して王位を簒奪した奴よ? 男畜生の話はここまでにしない?」
そうじゃ! スリーサイズとかあの日のこととか色々聞きたいんじゃあ!!
「違う!!」
バン!!
獲物は机を両手で叩き叫ぶ。
悔しそうな顔で綺麗な翡翠の様な髪を揺らす。
うん、すっごく綺麗だと思ってたんだ!!
「何が違うの?」
「兄貴、じゃなくてアイツはあの青鬼に利用されてるだけだ! 俺はあの青鬼の本性を知っている、アイツは残忍でも残酷でもない、ただ目の前の人間を人間と思ってない! 人形やおもちゃの様に利用してるだけだ! 兄貴もきっとそのおもちゃのひとつとして遊ばれてるだけだ!! きっとこの騒動も全部あの青鬼の仕業なんだ!!」
──────やはり所詮は女、か。
「惜しいわね、ちょっと違うわ」
「違う?」
私は一向に飲まれない茶汁に目を配らせながら語る。
「竜子ちゃんはあの男だけは特別扱いしてるわ、ちょっとしか話してないけどなんとなく分かる、あの男の話をするときだけ眼が輝くの、だからちょっと嫉妬もしたんだけど大抵はあの男の話で誘わないと聞いてもくれやしない。嗚呼この子はあの男しか興味がないんだって思ったわ」
まだ共闘するとは決めてない。
だけどこれは訂正しなければならない。
この女はあのガキを何も決められない純粋な人間だと思ってる、でもそれは違う。
「あの女のことなんてどうでもいいんだよ! 兄貴が利用されてることに変わりはねぇ!!」
「違うわよ、フラタニアちゃん。さっきから勘違いしてるわ、あの男は、芦崎礼司は女を籠絡する悪魔的才能がある。それは貴女の心が男でも関係ない、認めたくないけど竜子ちゃんもそれにやられた、貴女は認めてないみたいだけどね?」
「な、何を言ってる?」
女はスパイ活動にあまり向かない。
何故ならすぐに感情的になるから。
直ぐに男を求め男を捨てるから。
美しくて目立つから。
男の方がやり易い。
だけど諜報を主な活動としている仮面メイドはその全てが女。
つまりこれは玲子様の計略。
何があっても仮面メイドからあのガキの味方をさせようとしている。
私もその一人、所詮歯車のひとつ。
だけど私はあのガキを殺す。
「ねぇフラタニアちゃん。私がもし礼司を殺したら女として怒るの? 男として怒れるの?」
「!!?」
顔に出ている、赤面させて涙が溢れそうになる。
心がどうだろうと体の呪縛からは逃れられない。
この翡翠の少女は礼司に女として自覚させられそうになって困惑してる。
でもそれを必死で抵抗して誤魔化している。
本当は女として抱かれたいくせにホモの道を進もうとしている。
なんて歪んだ女。
でも私そういうの好きよ❤︎
「ねぇもう自覚したでしょ? 貴女は」
「俺が男だとか女だとかはどうでもいい、ただ俺は、俺は兄貴を救いたいんだ!!」
あらやだ、意外と純情。
ちぇ、このまま心を無茶苦茶にして妹にしようとしたのに。
「どうやって救うの? 私と貴女の仲間だけで現在世界支配者にどうやって楯突くの?」
「────方法はある。今月の29日、丁度盾一の49日、この校舎を使って何か悪いことをしようとしてる!! その時に兄貴とあの女がやってくる予定だ」
なんですって!!?
「なんですって!!?」
ホットティー飲む? Y/Y




