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Reincarnate 1/3

 俺の名前は礼司。


 火星の王子。


 俺は復讐者。


 母さんの仇を討つ。



 俺の母親は、第二の母さんは暗殺されそうになった親父の盾になった。


 今でも思い出す。

 母さんの血の匂い。

 母さんの苦しむ顔。

 母さんの無理した笑顔。

 母さんの死んだ時の無表情。


 親父は革命者だ。


 地球環境の悪化による地球人の自業自得な生存危機。


 病原体の多種蔓延、猿並みの倫理観の欠如。


 そんな猿共が母さんを殺した。


 オヤジは母さんの持つ謎の力で火星のテラフォーミングを一代で成し遂げた。


 奇跡の男、カリスマ、人類の救世主、この火星の王になるのは時間を必要としなかった。


 そして地球の人間は嫉妬し、火星の王を殺すという凶行に出る。それは叶わなかったが。


 そして王の女、つまり母さんを殺した。


 母さんを殺され、オヤジは泣いた。

 泣いた。


 しかしそれは親父の計算だった。


 メディアの前で大泣きし、それを見て地球の人間は笑いやがった。


 そして、多少の倫理観を得た猿共はオヤジを見下しながら「許してやる」とい約束をして来やがった。


 母さんの死で、火星の、多くの顔も知らない奴らの命を救った。


 親父の涙で、害虫共の、文化も知らない奴らの憤りを解消させた。



 母さんの命で。



「ふざけるな!」


 誰もいない自室で俺は叫んだ。


 天井を見ていた、ベッドの上で寝ていた、右手を上げて飛べない人間が鳥を羨む様に。


 俺は無力だ。


 未来の王様だなんて名前も知らない可愛い手下にもてはやされてるけど、個人的な感情で地球の猿共を殺したくて仕方がない。

 こんな間違ったやつが王にはなってはいけない。


 更なる憎しみを背負うことになる、だいたい俺は俺みたいな奴を増やしたくはない。


 だからやるんだったら俺だけが殺される様な事をしたい。

 全ての憎しみを俺が背負って、俺だけが憎まれて、俺だけが世界の憎しみを浄化する為の犠牲になりたい。


 子供の夢想の様だ、俺だけが殺されたところで世界は平和になどならない。

 たとえ一瞬だけなったとしてもいずれは人間共は争う。


 だからオヤジは母さんを犠牲にして自分が世界を平定し憎しみの少ない世界を現実にしたんだ。


 短慮な俺にはそんな事出来ない。



 地球の猿共を滅亡させたい。


 何を利用したとしてもぶち殺したい。


 オヤジの様に愛する人を犠牲になどできるわけがない。



 オヤジは権力分断防止を理由に俺の母さん以外に誰とも結婚していない。


 火星は地球の法に従う必要はない、ハーレムも可能で実際貴族地位の奴らも何人も結婚している。

 だけどオヤジは母さんを愛しているから、ただ一人を愛しているから誰とも付き合っていない。


 そんなオヤジを尊敬しているからこそ、今のオヤジは許せない。


「さっきの声なーに? お兄ちゃん!」


「あーごめん、玲美(レーミ)九玲(クレー)玲音(レイン)玲奈(レイナ)、起こしちまったか?」


 可愛い妹達が四人とも起き出した。


 俺が高校生になってから中学生の彼女らはそれなりに発育がよく、実の兄としても鼻が高い。

 キモいおっさんみたいな評価の仕方だが実際可愛いんだから仕方がない。


 うん、彼氏ができたら絶対に認めない。徹底的に追い詰めてやる。


 姉の守礼(シュレー)は今大学生だ、多分もう学校にいるんだろうな。

 最近は顔も見ていない。

 普段はただの腐女子で俺をいやらしい目で見る最低な女だからいなくていいんだが。


「兄貴今私たちを汚い目で見たー!」五女の玲美。スポーツ女子だ。


「父ちゃんに言ってやるー」四女の九玲。ちょっとお洒落なおませっ子。


「セクハラだー」三女の玲音。少し長女に似てる婦女子眼鏡だ。


「お兄様にならそれでもいいです」



 ん? 最後のは次女玲奈だ、一番肉体的に精神的にも発育の良い読書系女子、背まで伸びた三つ編みポニテの女子だ! 絶対彼氏は作らせん! 次女〜五女は四つ子で一卵性で顔は同じだが次女だけは大人しくて可愛い、俺好みだ。

 妹だから絶対に手は出さん、そういう気もない。当たり前の事だが。


 俺が一人っ子なら地球の猿共を全滅させるためにテロ活動をしていたけどこんな可愛い妹がいたらそんなことして悲しませたくない。特に可愛いのは玲奈!


「玲奈はいい子だな、お前ら玲奈を見習ってもっと女の子らしくしなさい!!」


「お、お兄様」


 恥ずかしがってる、かわいいなぁ。


「え? 玲奈(あね)さ…………お姉ちゃんを?! あはははそんなことできねーぜアハハハハハハハ」


 あねさ? なんだ? まぁ五女の玲美はアホだからななんか間違えたんだろ気にしない気にしない。


「でもまぁお前らはみんな玲奈と顔は一緒なんだ、同じようにできる筈だ。あんまり気落ちしないでも大丈夫な筈だアハハハハハハハ」



「「「あはははははは」」」


「お兄様は優しいです」



 なんだかな、この四人はなんでか玲奈以外はアホみたいな笑い方をするよな?ワザとかな?いやいや考えすぎだな。



 今の俺は母さんの分身である姉妹を守らなきゃいけない。

 だから今復讐をしちゃダメなんだ。


 もっと時間をかけてじわじわと真綿で首を絞める様に、地球の猿共を絶滅させなきゃならないんだ。


 妹達が俺の手なしに強くなるまでは。

 復讐は諦めたくない、だが妹たちの命とは天秤にかけられない。



「学校行ってくるわ」


「学校、それはもしかしてあの青髪ビッチがいる所にですか?」


 んー玲奈の悪いところはこういう汚い言葉を時々使うところだな。


「あー、うん、てか兄の幼馴染をビッチとかいうんじゃありません」


「あ、すみません!」


 まぁ俺もあんまりあの女は好きじゃないけどな、理由は忘れたけど小さい頃虐めてたし、まぁアイツアホだからな虐められた事気がついてないだろうな、むしろ虐めから助けた恩人とか考えてそうだ。


「可愛い妹達よ着替えるから出てけー」


「はいお兄様」


「「「あーうんじゃあなぁーあにきぃー」」」



 作り笑いの様な笑顔で見送られ俺は後者に向かう準備をする。


 〈封剣学園〉の高等部第一年校舎へ。


三つ編みロングのポニーテール! 読書女子! これはいい子に間違いないなっ!(白目)


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