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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第9章 おばちゃん、家族(?)たちと遭遇する

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第75話

 青ざめた顔でエイミーさんは、ゴクッと唾をのみこむ。うーん、もしかして状況が芳しくない?


「今朝、日の出前に、斥候役を引き受けてくれた二つのパーティが魔の森に向かいました。まずは彼らからの正式な報告を受けてから、うちのギルドで討伐クエストを出すことになります」

「……それはオクトのギルドからの指示か」

「はい。理由としては一番に、この町には上位ランクのパーティが存在しないことがあげられます。今日、斥候役で出てくれているパーティ自体もCランクなんです」


 エイミーさんの顔もどこか泣きそうな顔になっている。


「最近、北の海側に新たなダンジョンが発見されまして、軒並み上位ランクがダンジョン攻略に向かってしまったんです。もともと、魔の森に近いとはいえ、外縁の浅い部分、あまり危険な魔物も多くはないこともあって、皆さん、町を離れてしまって……」


 うーん、魔の森の傍だというのに、気が緩んでるとしか言えない。

 それだけ表立って活動していた魔物が少なかったのかもしれないけど、今現在、こうしてオークの集団が出来てるってことは、魔の森の奥には当然、もっと強そうなのだったりいるはず。


「まいったな……」


 イザーク様が眉間に皺をよせて、呟く。

 最悪、私の魔法で、とか思わないでもないけど、昨日のはたまたま上手くいっただけかもしれない。今度の場合は、予想がつかない。攻撃魔法の練習とか、しておけばよかった。

 そんな後悔をしながら、周囲を見ていると、入口の方が騒がしくなってきた。カウンターの中のエイミーさんが、いきなり立ち上がる。


「も、戻って来たみたいですっ」

 

 その言葉に、全員で振り向くと、汗だくになった若い男の人が一人、肩で息をしながらバタバタと入ってきたかと思ったら、力なく膝から崩れ落ちた。まるで駅伝でゴールした人みたい。


「マ、マイク、大丈夫!?」


 エイミーさんの言葉に、すぐに返事が出来ない様子。ごくんと唾を飲み込んで、マイクと呼ばれた男の人は、エイミーさんを見上げた。その顔には、すでに絶望の色が浮かんでいる。


「はぁ、はぁ、はぁ……んっ、ヤ、ヤバイっす……あの数は、うちらじゃ無理っすよ」

「ちょ、ちょっと待って、ギルマス呼んでくるから」


 慌ててカウンターから離れるエイミーさん。


「やはり、かなりの数だったのか」


 イザーク様が、マイクと呼ばれた男に声をかける。肝心のマイクの方は、どんだけ全速力で走ってきたのか、まだ足がプルプルいってるみたいで、立ち上れないでいる。それでも、息の方は落ち着いてきたのか、ゆっくりと話し始めた。


「は、はいっ。場所的には魔の森の表層と深部の間、それでも深部よりあたりに、オークの集落らしいのがありましたっ。でも、それが一カ所だけじゃなくて……見つけられただけで、五カ所、点在してました……もしかして……最近、魔物が減ってたのって、あいつらが弱いのを狩ってたってことなんじゃ」


 マイクは目を大きく見開きながら、最後にそう呟いた。

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