表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第8章 おばちゃん、魔物と遭遇する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/420

第66話

 翌朝早朝。おばちゃんに軽めの朝食を用意してもらってから、私たちは宿を出た。昨日よりは少し遅いせいか、朝日が眩しい。

 結局、私たちはエクトの街を目指さず、この町から街道を外れることにした。

 レヴィエスタへ向かう街道を目指して、魔の森の外縁を掠りながらショートカットすることにしたのだ。

 朝日に照らされて緑色に輝くのは、麦の穂。その畑は細い道によって区切られている。私たちはその道を、速足で馬を走らせる。さすがに猛ダッシュでは、この道の方が壊れそうなのだ。

 緑の海を走りながら周囲を見渡す。魔の森までは、あと少し。


 砦を出たところの森は、実は魔の森の外縁の一部だったらしい。ただ、だいぶ浅いところだったから、弱い魔物くらいしか出てこないそうだ。うん、だから私たち、遭遇しないで済んだのね。


 段々と森が近づいてくる。でも、やっぱり外縁部分だから、魔物とかは出てこないっぽい。私、この世界に来て、まだまともに魔物って見てないのよね。攻撃魔法あっても、使ったことないし。

 すでに畑の道はなくなって、まばらに草の生えている土地に変わってる。いわゆる森と畑の間の緩衝地帯ってことなのかな。

 いつの間にか、私とイザークさんを守るように、前にオズワルドさん、後ろにカークさんがついて走ってる。


「この辺りになると、低レベルの魔物が出て来たりするんですが……」

「低レベルって、どの程度のこと言うんです?」


 オズワルドさんが不思議そうにいうので、ちょっとだけ聞いてみた。


「そうですね……こういった森の入口周辺でしたら、角ウサギあたりがいてもおかしくはないかと。それを狙ったコボルトもいる可能性はあると思いますが」


 それでも、その気配すらありませんねぇ、というのはカークさん。

 うん、たぶん、私のせいね。まぁ、今は先を急ぐわけだから、余計な戦闘がないにこしたことはない。


 ……なんて思ってた時もありました。

 森の浅い部分から、少し奥に入っている私たち。そこを突っ切れば、また森がきれるはずなんだけど、残念ながら、ゆったりした時間は終りの模様です。


「イザーク様」

「どうした」


 私の強張った声に、イザーク様も少し緊張した声で反応する。


「えと、私、地図情報を見る能力あるんですけど」

「ち、地図だって?」

「あ、はい。それに合わせて、自分に対する悪意を感知するスキルあるんです」

「……ああ、アルム神様、ミーシャへのご加護に感謝を」


 イザーク様が馬上で祈る。うん、私もいつも感謝してるんだけどさ。


「ちょっと、急いでこの森を抜けたほうがいいかなって」

「何かいるのか」

「……ちょっと奥に赤いのがポツポツ出始めてて」

「赤いの?」

「それ、完全に敵認識されてます」


 そう話している間にもポツポツが増えてきて、ゆっくりとこっちに動き出してる。


「い、急いで森を抜けてくださいっ!」

「わかった。オズワルド、カーク、急げっ!」

「はっ!」

「はっ!」


 私は『身体強化』を皆にかけると、鞍の端にしがみつく。

 イザーク様たちは、少しでも明るい方へと、必死に馬を走らせた。

 いったい何が追いかけてきてるんだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=791464659&s
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ