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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
閑話

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従者は少女を追いかける(1)

 イザーク様からの指示の元、俺とカークはすぐに動いた。

 乗合馬車の窓口では、少女の一人旅の姿はなく、老婆の姿があったという話は出てきてはいた。それも南北両方の馬車に。だから、俺たちは二手に別れた。俺は北へ、カークは南へ。 

 万が一にもと思い、人影を探しながら街道を馬で走るが、それらしい少女の姿も、老婆も見当たらない。普通、こんな街道を歩くのは近くの魔獣狩りポイントへ向かう冒険者くらいだから当たり前だ。

 ようやく目当ての乗合馬車に追いついたのは、シューリス公爵領の領都アルトム。すでに日が暮れてはいるものの、ロータリーに集まる多くの乗合馬車に御者や護衛の冒険者のたむろする姿が多く見受けられた。


「すまん、王都からの乗合馬車はどこだ」


 近くに立っていた御者の一人に声をかける。


「ん? あそこでさぁ」


 御者が指さした乗合馬車には、御者の他に護衛の男たちもいるようだった。声をかけた御者に礼を言うと、俺はさっそく乗合馬車へと向かった。


「ちょっと聞きたいことがあるんだが」


 俺の声に、御者の傍にいた冒険者が訝し気に目を向ける。俺は腰に下げていた剣の飾り部分にあるリンドベル辺境伯の紋章をチラッと見せると、冒険者たちは一気に顔を引き締めた。護衛をやるような冒険者たちなら、当然の反応だろう。


「はい、なんでしょう」


 御者のほうは、そんな冒険者たちの様子に気付いていないのか、のんびりと返事をしてきた。


「王都からきた乗合馬車で間違いないか」

「はい、その通りで」

「よかった。すまんが、客の中で一人で乗り込んできた少女か老婆はいなかったか」

「老婆というなら、アンナ婆さんがいたが、最初の町で降りましたな。なんでも王都にいた娘んとこに孫の顔を見に行った帰りだったとか」


 なぁ? と確認をする御者に頷く冒険者たち。


「髪の短い少女らしいんだが……他にはいないか」

「ん~、髪の短い女の子だろう? そんなのがいたら、誰でも気付くだろうに」

「短くするなんて、修道院にでも入る予定だったのかね」

「うちのには、そもそも若い女の子なんか乗ってなかったしなぁ」

「……そうか」


 男たちの言葉に、残念に思いながら周囲を見渡す。北から来た者や港町から来た乗合馬車の周辺にも声を掛けてみるが、答えは変わらない。


「これは、南が正解か……もしくは……」


 御者達が気が付かなかっただけか。

 髪が短いだけで女だとは思わない可能性もある。そうか、少年か。そういえば、イザーク様にも少年の可能性を指摘されてたではないか。慌てて、もう一度、王都から来た乗合馬車に戻るが、タイミング悪く、連中は飯を食いに行ってしまっていた。


「この馬車は、明日には出るのか」


 留守番を頼まれていた男に声をかけると、早朝に出る事だけは確認がとれた。

 そこで捕まえられればいいんだが、と思いながら、俺は仕方なく、近くの宿屋に向かうことにした。


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おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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