表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第28章 おばちゃん、悪い人とニアミスする

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

404/420

第359話

 私たちは、オムダル王国の王都から少し離れた森の入口に立っている。距離があるせいか、ここから見る王都は、随分と小さく見える。少し先には、王都へ向かう大きな街道があるのか、馬車が数台、走っている。

 なぜ、王都の中じゃないのか、というと、ハロイ教の調査のためにオムダル王国内にいるカークさんと合流するためだ。なんとカークさん、王都ではなく、隣の公爵領にいるのだとかで、急ぎ、王都に向かってくれているらしい。


「なーんか、いやぁな感じがするんだけど」


 王都を見ていて思わず、顔をしかめたくなる。

 王都の全体が、なにやら、薄っすらと灰色の靄がかかっているようにみえるのだ。特に一番背の高い建物……おそらく王城と思われる……のてっぺんには、まるで富士山の上にかかった傘雲みたいに厚い雲のようなものがかかっている。高いって言ったって、せいぜい十階建てのビルくらいだろう。その高さで雲がかかるとは思えない。もう、怪しさ満点だ。見ているだけで、なんというか、気持ち悪い感じ。


「ねぇ、イザーク兄様、あの城の上の雲って、見える?」

「うん? 雲?」


 もしかして、この世界の季節的なもので、そういうこともあるかな、とか思って聞いてみたんだけど。


「あれ、見えるよね」


 指さして見るけれど、イザーク兄様には見えない模様。


「……オズワルド、お前には、見えるか?」


 今回は、護衛も兼ねて、オズワルドさんも同行している。これでカークさんと合流したら、最初に出会った頃を思い出しそうだな、とちょっと思う。


「いえ……私には特に異常は見られませんが」


 オズワルドさんも目を眇めて見ているけれど、彼にも見えないみたいだ。


「えぇぇ。私には王都自体も靄がかかって見えるんだけど、それも二人には見えてないの?」

「靄?」

「いや、普通に問題なさそうだけど」


 思わず、むーっと腕を組んで見ていると。


『美佐江、あれは瘴気の靄だろう』


 風の精霊王様が、不機嫌そうにそう答えた。


「え、瘴気?」

『魔物が生まれるには、魔素の影響が大きいというのは覚えているな?』

「ええ」

『今見えているアレは、その魔素の一歩手前のものだ。あれがもっと濃く、人の目で黒く目視できるようになったら……その場にいる生き物は全て魔物に変わる』


 な、なんですと!?

 思わず、あんぐりと口を開けて、驚く私。イザーク兄様たちも、驚きで固まっている。


「なんで、そんなものが王都に?」

『知らん、しかし、ハロイ教の教団本部に、前から物騒な存在がいたのは知っていたがな』

「ぶ、物騒って……」

『そのモノの名前は知らん……我ら精霊とは相反する存在としか言えん』


 何よそれ。精霊の対になるものって、何?

 もしかして、悪霊とか、そういう類のモノだったり? 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=791464659&s
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ