表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第27章 おばちゃん、行商人の手伝いをする

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

387/420

第345話

 イザーク兄様は彼女の言葉を完全スルー。さすがだ。

 彼女の方はまさか無視されるとは思わなかったのか、固まっている。

 その隙に私たちは馬車の後部に回り込んで、ドアを開けてみた。奥には商品となる荷物が木箱に詰められ、積まれている。ほぼ隙間なく積んでいる様子は、なかなか圧巻だ。そして倒れないようにと、仕切りの板や、太い縄などで支えがされている。


「上手いものね」

「そうだな……我々じゃ、こうもいかないだろう」


 私とイザーク兄様は感嘆しながら、馬車へと乗り込む。

 それぞれが背負っていたリュック(といっても、見せかけの荷物だけど)を置くと、両サイドについていた、あまり大きくない窓を開けてみた。外の方が若干涼しい空気だ。

 座席に座ってみると、さすが大手の商会だけある。椅子は革張り、クッションもきいている。貴族でもここまでいいのに乗っているのは、そう多くはないだろう。見かけ以上に随分とお金をかけた馬車を用意してくれたようだ。

 同乗させてもらうにしても、ある程度のお金を払うつもりではいたが、予想よりも多めにしないといけないかも。一応、イザーク兄様も護衛として勘定してもらってもいい、とは言っていたけれど、それにしても、割に合わないだろう。


「ヤコフ様っ!」


 甲高い女の子の声が耳に入り、外を見ると、めんどくさそうな婚約者候補が、ヤコフを何やら責め立てているように見える。それを苦笑いしながら宥めているヤコフ。あれも、客商売の訓練の一環なのか、とか思ってしまう。

 結局、彼に宥められながら、婚約者候補が商会の建物の方に連れていかれていくのが見えた。あんなのが相手じゃ、ヤコフもかわいそうに。かなり苦労しそうなのが目に見える。

 気が付くと、もう一人の幼馴染らしき女の子が、彼らの後ろ姿を寂しそうに見つめていた。


「……青春だねぇ」

「うん? どうかしたか?」

「いや、なんでもないよ」


 人の恋路を邪魔するつもりはないけれど、気になってしまうのは、おばちゃんの性だろうか?


「イザーク様、ミーシャ様、そろそろ出発いたします」


 若干疲れたような顔のヤコフが戻ってくると、馬車のドアから顔をのぞかせて声をかけてきた。


「お疲れ様。じゃあ、お願いしますね」

「はい」


 ヤコフがうっすらと笑みを浮かべてドアを閉めた。

 再び外を見ると、幼馴染と話しているヤコフの様子に、再び、青春だなぁ、と心の中で呟く。彼女がすごく心配そうな顔で話しかけているのに、どこか呑気な感じで話しているヤコフ。彼女の気持ちに気付いてもいないんだろう。

 まったく、罪作りな男だことだ。

 一度、根掘り葉掘り聞いてみたい、と思ったのは言うまでもない。


****


2021年9月25日から、『がうがうモンスター』にてマンガが連載開始しております。

アプリでのみ閲覧できます。よろしくお願いいたします。


▼WEB(紹介のみ)

https://gaugau.futabanet.jp/list/work/60f7c7a27765619198000000


▼アプリ

https://gaugau.page.link/title-755

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=791464659&s
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ