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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第25章 おばちゃん、モフモフに癒される

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第321話

 火の精霊王様の青い炎によって『黒い蔦』が消え去った。そして、ようやっとサンドラ様の姿が、私の目の前に現れた。

 赤毛でそばかすの細身の姿は、まるで某アニメの少女のよう。こんな華奢な方が、あの国王の番とは、随分と大変そうだな、と思ったのは置いておいて。

 王太子が言っていた、枯れ木のようになっているという右腕から、まさに、あの『黒い蔦』が、再びウネウネと伸びようとしている。上掛けをはいでみると、右足の方にまで枯れ木状態が広がっている。


「うわ、気持ち悪っ」

『美佐江、早く、元になるものを探せ』


 火の精霊王様の言葉に、頷く。

 実は薬局で薬を処方する時に『鑑定』を使ってたりする。おかげで、こういう時にも便利に使えることを知っている。応用力って大事。

 問題の根源はすぐにわかった。やっぱり、食事としてとったのだろう。身体の中心……胃の下あたりに黒い塊がある。それ自体から細い筋が広がっているのがわかる。


「まずは『ディスペル』」


 細い黒い筋が先の方から黒い煙に変わって、ズルズルと抜けていき、宙に浮かんでは消えていく。最後に残ったのは、アボカドの種くらいの大きさの黒い塊。これは『ディスペル』では消えないようだ。なんか、生き物みたいにドクドクいってる。

 ……もしかして、これって、魔物? いや、これ、卵みたいなもの? そう考えただけで、怖気に鳥肌がたった。


「……まったく、なんてものを作ってくれたんだっ」


 私は怒りでギリギリと歯ぎしりをする。


『浄化するしかあるまい』

「浄化で消える?」

『おそらくな』

「彼女の体の方は大丈夫でしょうか」

『我々も手伝う……早く消し去らねば、再び、動き出すぞ』


 精霊王様たちの言葉に、私の心は決まる。黒い塊がある辺りに手を伸ばし、お腹の辺りに押し付ける。掌にゾワゾワと嫌な感じがして、放してしまいたくなるけど、これを始末しないといけないのだ。


「任せましたからねっ……『浄化』っ」


 掌から白い光が溢れる。その勢いのよさから、部屋中が真っ白に包まれた。


 ギャァァァァァァァァウゥゥゥッ!


 まさかの、とんでもない叫び声に驚いて、手を放しそうになるのを、水と地の精霊王様が、上から押さえこんだ。黒い塊がのたうっている感じがして、負けてたまるか、とグッと押さえ込む。


『美佐江、もう少しよ』

『いける、いける』


 徐々に抵抗する感覚がなくなってきた。


『……よし、もう大丈夫ね』


 水の精霊王様の言葉で、ようやく手を放すことが出来た。


「ふぅ~、なんとかなったかしら」

『うむ、随分としつこかったが、ちゃんと消え去ったようだ……しかし、だいぶ、生命力を削られてしまったようだな……』


 火の精霊王様が、険しい顔でサンドラ様の顔を覗き込んでいる。私もそっと顔を見ると、かなり青白い顔をしている。


「治癒の魔法で、少しはマシになりますでしょうか」

『うむ……あとは番となる王が、まともになればだな』

「え?」

『人族は獣人の番となると、その獣人の強さに引かれて、生命力が強くなり、寿命が番となる獣人に合わせるようになる。今、そこに倒れている王自身も弱っておるから、この者自身も、弱まっておるのじゃ』

「なるほどね。じゃぁ、両方に治癒をしないと駄目だということ?」

『さすがに、あの解呪をした後の美佐江に二人分は厳しかろう……水の、国王の面倒をみてやってくれぬか』


 仕方がないわね、というように肩をすくめる水の精霊王様。さすが、美女は何をやっても様になる。そして、水の精霊王様は国王を、私はサンドラ様に治癒の魔法をかけたのだけれど。


「あっ……」


 さすがに、私も結構疲れていた模様。

 治癒魔法をかけ終えた思ったと同時に、意識がスンッと飛んでしまった。

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