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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第25章 おばちゃん、モフモフに癒される

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第316話

 頭に思い描くイザーク兄様の顔は、嬉しそうな顔だったり、困ったような、照れたようなそんな顔。


「……はぁ。確かに……確かに、イザーク兄様の顔は、好みよ」

「だよねー!」

『アルム様っ!』

「好みではあるけれど、今は恋愛とか、そういうのはまだいいかな、と思うわけよ」


 まだ、この世界に来て一年で、愛だの恋だの、なんかより、もっと色々、やってみたいことや、行ってみたいところだとかもあるわけで。


「そんなこと言ってたら、イザーク、他の人と結婚しちゃうわよ」

『それでいいのか?』

『そうよ? あれでも優良物件だったのだし』

『うむ、あいつはいい奴だ』

『年齢的にも、買い時よねぇ』


 精霊王様たちなりに、イザーク兄様をチェックしてたってことだろうか。彼らが、意外にイザーク兄様押しなのに、ちょっとびっくり。


「もう! 本人が望んでるのなら、仕方がないでしょ? その時は縁がなかったのよ」


 若かりし頃に付き合った、数少ない元彼たちのことを思い出す。結局、結婚に至ったのは、彼らではなかったわけだし。人の縁なんて、そんなもの。これから先、イザーク兄様にだって、新しい出会いがないわけじゃないだろうし。


『……意外と粘ると思うわよ』


 私の考えをよそに、ぽそっと隣で呟いた地の精霊王様。その言葉に、他のメンツも、そうかも、って顔になってる。おいおい。

 勝手に恋バナで盛り上がっていく彼らに、脱力するしかない。


「あっ! のんびり話してる場合じゃなかったわ」


 いきなり、ティーカップを置いて身を乗り出すアルム様。のんびりの原因はあなたでしょうに。


「美佐江、ハロイ教とか言ってる奴らに気を付けて」


 いつになく真剣な顔と、嫌な記憶しかない『ハロイ教』というキーワードに、私も背筋が伸びる。


「あの気味悪い奴ら?」

「そう、あいつら、厄介なモノを生みだしてくれちゃったわ……私はこの世界に干渉できないし、人が作り出したモノは人が片付けるべきだと思うの」

「厄介なモノって」

「あうっ! 時間がないわ! 美佐江と話してると楽しくて、すぐに時間が過ぎちゃうんだものっ」


 ちゃんと説明してよ、と言おうとする間もなく、目の前が真っ白に変わった。




「……シャ、ミーシャ?」

「えっ!?」


 イザーク兄様の心配そうな声に、礼拝堂に戻ったことに気が付いた。

 散々、アルム様たちに揶揄われたせいか、イザーク兄様を目の前にして、つい意識してしまう。顔が熱い。でも、この薄暗がりのせいか、兄様には気付かれていないはずだ。

 アルム様から『厄介なモノ』情報を詳しく聞けなかったことが気になったけれど、精霊王様にでも確認すればいいか。しかし、あの口ぶりから、面倒そうなことが起こりそうな予感しかしない。


「随分、真剣にお祈りしてたわね」

「う、うーん、そうね」

「何を祈ってた?」

「内緒」


 双子に揶揄われつつ、祈り終わった私たちは、司祭が待っていると思われる奥の部屋へと向かった。 

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おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

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おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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